月刊ウララ1月号特集『冬のご馳走ごはん』より自分へのご褒美ごはんをご紹介。

2021/01/10

白い湯気立つ、温かい蕎麦。荒波にもまれ脂がのった旬の魚。
寒さが一段と厳しくなり、滋味あふれる食材もそろう冬は、まさにご馳走を味わうベストシーズン。
2020年に新しくオープンしたお店を中心に、おもてなしの和食や季節の風景と味わうランチ、素材を活かした贅沢おうちごはんを紹介します。
今年一年、頑張ったじぶんへのご褒美に。

おもてなしの和食

旬の時期に旬のものを味わう贅沢。
そんな食材や料理へのこだわりは和食の醍醐味であり、この時期にふさわしいおもてなしの味わい。

うるしや

日本酒の香りをまとい、牡蠣の旨みが凝縮した蕎麦。

季節の蕎麦
酒で煮込んだ旬の牡蠣はプリップリに身を膨らませ、日本酒の香りをほのかにまとう。煮込んだ汁を麺つゆに組み合わせている。季節によって具材が変わる。1300円(税別)


蕎麦前と酒と蕎麦。この言葉の響きに粋を感じること、つくづく日本人に生まれてよかったと思う。ご馳走にお酒は付きもので、それが「蕎麦前」と呼ばれる酒のあての発達につながり、締めにそばを一杯、というスタイルとなった。
現代に復活した“おろしそば1丁目1番地”の『うるしや』は、かつての店が持っていたDNA、単なる食事の場ではない“サロン”的至高の場所を目指す。「武生は商家が多く、芸事に精通している旦那衆はここに集まって蕎麦前と酒をたしなみながら情報交換の場所として交流を図っていたと思うのです。この店ののれんを受け継ぐということは、そういう高尚な場所を作り、地元の誇りとなって100年続く場所にすることに他ならないという覚悟を持つということです」(オーナー原崎衛さん)。そのために蕎麦前文化は必須。「蕎麦前セット」は「蕎麦飲み」を推進するための第一歩ともいえよう。
焼きのりは軽くあぶって。炒った蕎麦と炊いた蕎麦を合わせた蕎麦味噌は日本酒が確実に進む。今の時代を照らすように無病息災を祈願した“むびょうたん”には地魚と蕎麦屋らしく、にしんの甘露煮。そして蕎麦前定番中の定番、出汁巻き玉子。こちらの出汁は数種類の荒節を使うが、魚の種類により出汁が頂点まで出る時間が違うため、それぞれに出汁を取るという手間暇をかけている。力強い出汁と玉子の風味が混ざり合った、左党ならずとも口にしたい味。
締めは名代おろし蕎麦だが、ほかにも左党には是非食べてほしいのが、今登場している季節の蕎麦。これほどにふくよかな牡蠣を温かい蕎麦といただく贅沢。出汁と牡蠣の旨味に汁まで完飲したくなるほど滋味が溢れている。

蕎麦前セット
むびょうたん、焼きのり、出汁巻き玉子、蕎麦味噌に名代おろし蕎麦が付いて3000円(税別)。好きな地酒と共に楽しんで



万延元年(1860年)に蕎麦屋として暖簾を掲げた。神楽坂『九頭龍蕎麦』の原崎衛さんにより、令和元年に再スタートを切った

うるしや
【住所】福井県越前市京町1-4-26
【電話】0778-21-0105
【時間】11:00~22:00(17:00以降は予約制)
【休日】水曜
【席数】60席
【駐車場】13台
【HP】あり



酒は純米 魚は地魚 酌は髱 魚六 ウオロック

ほろりととろける甘みと旨味、旬の寒ザワラ。

寒ザワラのわら炙り
上品な甘さと独特の食感はほかの魚では味わえない美味しさ。軽く炙ることでよりその旨味が際立っている。900円(税抜)




秋から冬へと寒くなるについて、県内の漁港でも脂がのった大型のサワラが水揚げされ始める。魚へんに春と書いて「鰆」と書きながら、寒ザワラと称されるほど、冬の美味として親しまれる。ブリと同じく、出世魚としても知られる縁起のいいお魚だ。
「マグロのトロにも負けない美味しさがありますよ」。
福井駅前にある居酒屋『魚六(ウオロック)』の大将、鈴木大輔さんも寒ザワラに魅了された人物のひとり。お店では、河野漁港で水揚げされた5キロ以上の大物を、丁寧な下処理で信頼を寄せる地元の漁師から一本買い。お造りはもちろんのこと、味噌焼きやすき焼き風のメニューで提供したり、あら汁として振る舞ったり。
お店でも氷水で低温熟成をかけて最大限、サワラの旨味を引き出す。お造りは注文後、藁で皮目を炙り軽く燻製した状態でたたきとして提供。下ごしらえから調理、提供に至るまで魚の特徴を生かした工夫と手間暇を惜しまない姿勢を貫く。
口に運んでみると、サワラの身は想像以上に柔らかく、ほろりと口の中でとろけるような甘さと味わいは肉厚でちょうどいい。
「魚本来の美味しさを楽しみながら」と大将がすすめるのは、藻塩に辛子を軽くアクセントにした味わい方。藁の煙の香りとサワラの旨味をストレートに感じられる。
岐阜出身の店主とあって、味噌にもこだわりと愛情をのぞかせる。自家製ブレンドの味噌でつけ込み、香ばしく焼き上げたサワラも美味。岐阜の地酒「小左衛門」をお供に。

サワラのすき焼き
冬の野菜と一緒に一人用の小鍋でいただく新メニュー。甘い割り下でまた違ったサワラの味わい方が楽しめて、体も温まる。1500円(税別)



酒は純米 魚は地魚 酌は髱 魚六 ウオロック
【住所】福井県福井市中央1-21-5 コムハウス1F
【電話】0776-43-1169
【時間】11:30~14:00、17:00~23:00
【休日】日曜、第3月曜、年末年始(12/31〜1/3)
【席数】40席
【駐車場】なし
【HP】なし
【SNS】Instagram


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#エンタメ#グルメ#月刊ウララ

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