日々URALA(ウララ)

福井で開催中の「ミニチュアライフ展」。 田中達也さんに見どころをインタビュー!

田中達也さんの「ミニチュアライフ展」

現在、『福井市美術館』で開催されている、田中達也さんの「ミニチュアライフ展」。開始から2週間で、来場者が2万人を突破したようですが、皆さんすでに、行かれましたか?

どこにでもあるような日用品を、あっと驚くような視点で他のモノ・シチュエーションに見立てるミニチュアの世界。

展覧会を開催する際は、その土地ごとにテーマを設けた作品を制作している田中さん。今回の展覧会でも、福井だけのオリジナル作品が登場していますが、このインタビューでは、その作品についての制作エピソードや、福井での展示の楽しみ方についてお話を伺いました。月刊URALA3月号に掲載されている内容とも併せてお楽しみ下さい。

-早速ですが、今回、福井だけのオリジナル作品、どのようなものを制作されたのでしょうか。

田中さん(以下敬称略):カニを用いて恐竜、クビナガリュウを表現しました。正確には、その化石ですね。タイトルは、《博物館ではお静カニ》です。

《博物館ではお静カニ》Crabsaurus
/©Tatsuya Tanaka

-カニと恐竜、福井が詰まった作品ですね。 どうして、このようなモチーフにされたのですか。

田中:やはり福井の印象として強かったのがカニと恐竜でした。なので、何かこの2つを組み合わせたものを作れたらなと。他には、名所・東尋坊をなにかで見立てられないかとも思っていました。

-「東尋坊」の作品も観てみたかったですね。月刊URALAで取材させて頂いた時(1月下旬)は、まだ完成していませんでしたが、間に合いましたね。

田中:はい、ギリギリでした(笑)。ちょうど展示が始まる2週間前に完成しました。毎日SNSなどに投稿する作品は日々のアイデアからストックしているもので制作しますが、展覧会のオリジナル作品は会場が決まって、そこから考えていくので、ギリギリになることが多いです。

-そうなんですね。
やはり苦労された点も多かったですか。

田中:そうですね。まずカニの構造を知ろうと思い、実際に、正月に福井から越前ガニを取り寄せて、甲羅や脚がどういう形をしているのか探りました。脚や殻を割らないように慎重に身を取り出し、そこから型をとって、カニの食品サンプルを作りました。もちろん、そのカニは美味しくいただきましたよ(笑)

-実際に取り寄せていたとは驚きです!
では、そこから恐竜を表現していく作業に。

田中:ここからが難しかったですね。当初、恐竜を「ティラノサウルス」などをイメージして、カニの脚を組み立てて胴や腕を模そうと考えていたのですが、それだと甲羅やハサミを活かしきれず…。そこで思いついたのが、カニの長い腕とハサミで首と顔を表現できる「クビナガリュウ」でした。

ただ、クビナガリュウに見立てたからこそ「生前は鍋の中の湖に生息していたが、地球の気候変動とともに水の温度が上昇して、気付かぬうちに茹で上がって絶滅してしまった」という作品のストーリーができあがりました。

カニの表面の少しざらっとした感じも化石っぽく、よい仕上がりになったと思います。

-なかなか伺えない制作エピソード、ありがとうございます。それから、写真についてですが、このアングルを設定した理由はありますか?

田中:やはりハサミのインパクトが大きいと思ったので、そこが活きるアングルを。僕の写真は、一眼レフカメラの広角レンズで撮っていますが、スマートフォンでもこうやって同じように迫力ある雰囲気で撮影できますよ。もちろん、これはあくまでも僕の視点なので、いろいろな見方で楽しんでいただけたらと思います。


-視点というお話が出ましたが、作品を鑑賞する上で押さえておくべきツボなどはありますか。

次ページ → そこに注目!? 田中さん流「ミニチュアライフ展」の楽しみ方。

-視点というお話が出ましたが、作品を鑑賞する上で押さえておくべきツボなどはありますか。

田中:例えば、作品のタイトルにもぜひ注目してみてください。写真だと、食べ物が本物なのか区別がつかないですが、見分ける方法があります。キャプションに注目して見ると「#このあとおいしくいただきました」と書いてある作品は本物を使っています。一方で「#食品サンプル」と書いてあるものは撮影の時点で食品サンプルを使用したということが分かります。

また、写真作品では主役である部分にフォーカスを当てて、強調していますが、あれも僕の視点なんですね。上記画像の作品、実際に撮影いただくと、どうして僕が女性にピントをあてたのか自然と分かってくると思います。地図のピンにピントを合わせると、また違った作品に見えてくると思いますよ。

ただ、中にはアングルが重要な作品もあります。チョコミントアイスを地球に見立てた作品がそうですね。真正面から見ても、アイスの上に人が載っているようにしか見えません。ところが宇宙飛行士越しにアイスを見ることで、アイスが地球に見えてきます。

-なるほど。視点を変えるだけで、楽しみ方は無限大ですね。
ところで、月刊URALAの取材で「毎日発表している作品がシングルCDで、展覧会はベストアルバム」とお話されていましたが、実際どういうことでしょうか。

田中:展覧会では、美術館という箱の中で広く展示をするので、作品のカテゴリー分けができます。毎日インターネットで作品を発表する中で、季節やイベントなどに合わせて作った作品(シングル曲)が、例えば、“家族”というテーマで1つのエリアに集約されて展示ができる。
すると、それぞれの作品にストーリー性が生まれるんです。「あの作品の男の子と、この作品で結婚している男性は同一人物だ」というように想い描く方もいましたね。これも似たテーマを並べることのできる展覧会(ベストアルバム)ならではの楽しみ方だと思います。

-テーマごとで田中さんの作品を楽しめるのも展覧会の魅力ですね。
今回の展覧会について、福井でのオリジナル作品以外に、特徴があれば教えて下さい。

田中:マスクを用いた作品やソーシャルディスタンスなどをテーマにした、コロナ禍ならではの「Stay Safe」コーナー。新型コロナウイルスの収束次第では今回の展示が最後になるかもしれません。もっとも、コロナが収束してくれることが一番ですけどね。

その他、展覧会のたびに、フォトスポットを準備しています。今回初めてクライミングのシーンを用意しました。登っているようにポーズをとったり、作品の人の下に隠れてみたり、いろいろな写真を撮ることができるので、どんどん挑戦してほしいです。

また、代表作である「新パン線」の駅名を「福井」にしたり、展覧会のポスターが作品の中に隠れていたりと本展ならではの遊び心を散りばめてみました。一度訪れていただいた方も、そのあたりに着目してみると、また楽しめるかと思います。

-ポスターが隠れていることもあるんですね(笑) ぜひ探してみます。
全国で展覧会を開かれていますが、『福井市美術館』での展示、いかがでしょうか。

田中:まず会場を見たときに、壁面が湾曲していて、展示が難しそうだなと感じました。入り口から展示会場までのアプローチを含めて、かなり回遊させるようなつくり。正直、ここまでぐねぐねした会場での展示は初めてでした。マクロな視点で見ることによって、まるで人の体内をめぐっているような不思議な感覚になる、ここならではの展示となりました。

-一度最後の部屋まで行ってみて、それからまた戻って観るのもよいですよね。福井には何日か滞在されたのですか。実際訪れてみていかがでしたか。

田中:約3日間滞在しました。地元鹿児島ではなかなか降らない雪が降っていたので、個人的にはすごくよいタイミングで訪れることができました。また、福井の名産・へしこを食べたのですが、これがとても美味しかったです!

-へしこ気に入っていただけて良かったです。
それでは、最後、福井のみなさんにヒトコトお願いします。

田中:福井での初めての展覧会、会場の雰囲気も含め、素敵に仕上がりました。現在はコロナ禍で「ぜひお越しください」と大きな声では言えませんが、ゆっくりとお楽しみいただければと思います。一人でお越しいただいてもよいですし、友人、お子さんなどと一緒に訪れると、また、視点が変わってくるかもしれません。会期は3月末まで続きますので、ぜひ何度か足を運んでいただき、ミニチュアの世界を存分に満喫していただけたらと思います。


<プロフィール>
田中達也(たなかたつや)
ミニチュア写真家・見立て作家。1981年熊本生まれ。2011年「MINIATURE CALENDAR」を開始。以降、作品を毎日インターネットで発表し続けている。主な仕事に、2017年NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバック、日本橋高島屋S.Cオープニングムービーなど。
http://miniature-calendar.com
https://www.instagram.com/tanaka_tatsuya
https://twitter.com/tanaka_tatsuya
https://www.facebook.com/miniaturecalendar


MINIATURE LIFE展 ミニチュアライフ展
‐田中達也 見立ての世界‐
【会場】福井市美術館(福井県福井市下馬3−1111)
【日程】2021/02/19(金)~2021/03/28(日)
【時間】9:00〜17:15(入館は16:45まで)
【特別開館日】2/22(月)
【休館日】3/22(月)
【料金】当日券 一般/1100円、大学・高校生/800円、小・中学生500円
【お問い合わせ】0776-33-2990(福井市美術館)
【HP】あり



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