【気象予報士 二村千津子の風と雲】

梅雨時だからこそ、防災情報をちょっと真面目に語ります。|気象予報士 二村千津子の風と雲

2021/06/01

『おかえりモネ』という気象予報士を目指す女の子が主人公のドラマがNHKで始まり、百発百中で予想を当ててる素敵な気象キャスターの登場で、肩身が狭い二村です。半分冗談、半分本気(笑)

5月5日、全国のトップを切って沖縄地方と奄美地方で梅雨入りの発表がありました。その後は、西日本だけでなく東海地方まで異例の早さで梅雨入りの発表が続きました。

6月に入り、そろそろ福井県を含む北陸地方でも雨の季節が到来します。




皆さんは「梅雨入り」のニュースを聞くとどんな印象を持ちますか?

「あーどんよりした日が続くのか~」「ムシムシじめじめした日が増えるのか~ゆううつ」「また、どこかで大雨が降るのかな…」などと、ブルーに感じる方が多いでしょうか?

たしかに私たち気象予報士も梅雨入りの発表は、「大雨への備えを再確認する」タイミングだと思っています。「大雨への備えって言われてもね…」と、思われる方が大半かもしれません。とはいえ最近は、毎年のように日本のどこかで豪雨災害が発生していて、防災への意識が高まっていることは間違いなく、私自身、公民館などで講演をさせていただく時のテーマは、防災についてお願いされることが多いです。でも、どうしても実際に目の当たりにしないとなかなか「自分事」としてとらえることは難しいかもしれません。

今回のコラムでは、ちょっと真面目に(これまでももちろん真面目)梅雨時に知っておいていただきたい防災情報をお伝えします。

毎年のようにどこかで大雨の災害が発生すると、国や自治体、気象庁などで同じような被害を少しでも減らしたい…と情報をよりわかりやすく、多くの人に伝わるように話し合いをして、情報の出し方などをブラッシュアップしています。

5月20日から自治体から発表される「避難の情報」が変更になりました。




「避難の情報」というのは、これまでは「避難勧告」とか「避難指示」といったものです。それらの避難情報を私たちの行動に直結しやすいように、5段階の警戒レベルの数字とともに発表していました。

レベルの数字が大きくなるほど、災害の危険が高まっていることを表しています。ただレベル4を見ると「避難勧告」とさらに緊急性が高まっている「避難指示(緊急)」が同じレベルなので違いがわかりにくく、行動に移しにくいなどの見直しがあり「避難勧告」という表現をやめ「避難指示」に一本化されました。

レベル3は「高齢者等避難」で、ご高齢の方だけでなく体が不自由な方や小さなお子さん連れなど、移動に時間がかかる方は避難開始のタイミングです。

この表をみると「レベル4までに必ず避難」とあるのですが、大切なことは「危険な場所から」避難するということなのです。。つまり、皆さんが住んでいる場所が「危険な場所」にあたるかどうかというのが大事なポイントです。




それを知ることができるのが「ハザードマップ」です。

「ハザードマップ」は、地図上に土砂災害や土石流の影響がある範囲や川が氾濫した時の浸水の地域などを塗りわけされたものです。それを見ると自分の家がどんな時に危険があるのか、もしくは危険はないのか、ということがわかります。
つまり、土砂崩れに巻き込まれたり、水が入ってきたりする危険がなければ自宅で危険を回避することができるわけです。もちろん周辺が浸水したり、ライフラインが止まったり、しばらく自宅で過ごさなければいけないときのための備蓄や対策は必要です。

「ハザードマップ」はお住いの地域のHPで見ることができるので、ぜひ一度このコラムを読んでいただいた流れで「ハザードマップ」を検索してみてください。

もし、ご自宅が土砂崩れや浸水の危険区域の場合は、レベル3、レベル4のどちらが避難のタイミングなのか考えましょう。そして避難する場所は、避難所に限らず、家族や親せき、友達の家など、安全を確保できる場所を考えておくことが大切です。皆さんだったらどこで過ごすのが一番安全で、そして安心して過ごせるかを考えてみてください。

発表される情報が皆さんに届かなければ、情報に意味はありません。




梅雨の時期はたびたび大雨への警戒が必要になりますが、これからは皆さんが積極的に「情報を見に行く」ようになっていただくとうれしいです。まだまだお伝えしたいことはあるのですが、防災に関する情報は折をみてお伝えします。

さて、5月25日発表の3カ月予報によると、6月は前半は天気が周期的に変わる見通しなので、北陸地方の梅雨入りはいつもの年と大きく変わらない可能性があります。平年は6月11日ごろ。6月の後半には雨の季節が始まり、7月は平年より曇りや雨の日が多い予想。例年だと7月23日ごろに梅雨が明けるのですが、一気に梅雨明けとはいかないかもしれません。ただ、8月はいつもの年と同様に晴れの日が多い予想となっているので8月には夏本番を迎えそうです。

大雨が降る降らないは、梅雨の期間の長短とは関係はありません。大雨という自然現象は自分の思い通りにすることはできませんが、被害を小さくすることは自分次第でできるということを忘れないでいてください。


二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ



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