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【気象予報士 二村千津子の風と雲】
2021/08/01
8月です。
暦の上では立秋を迎え、挨拶も「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に変わります。残暑というには暑すぎる日がまだまだ多い時期ですが、それでもすこーしずつ、朝夕は風が涼しく感じられる日も増えてきます。
8月の話題。
これしかない…「夏の高校野球」です。
毎年、甲子園に通うようになって10年以上経つでしょうか。もともと、京都に住んでいた学生から社会人時代、ふらりと観戦に出かけることはありましたが、いつの間にか当たり前のように出かけるようになりました。最近は、開会式のブラスバンドの子たちがスタンバイする様子を見ているだけで涙腺が緩みます(たぶん、保護者と思われている笑)。
平日が仕事だったので、土日の観戦が多かったですが、運よく福井県代表の試合日程に重なったこともあります。
甲子園は兵庫県西宮市というところにあって、海からの距離がだいたい1キロちょっと。その海から球場に向かって吹き込む風があるのですが、それが「浜風」です。
球場の向きでいうと、ライト方向からレフト方向(一塁側から三塁方向)に吹く風になるので、打球の方向によって追い風にも勢いを抑える風にもなるので、ゲームを握る風になることがあります。
今夏の福井県代表は敦賀気比高校に決まりましたね。残念ながら一般の観客は入れないとのこと(宿を予約して願っていただけに残念です…)。
2年ぶりの夏の大会。悔いのない全力プレーを応援しましょう。そして、実況の方が「浜風」というフレーズを口にするかどうかにも注目してみてください。
この「浜風」、気象用語では「海陸風」と言われる風の一種です。福井県内も海に接しているので、よく晴れて気温が上がる日などは、だんだん海からの風が吹きやすくなります。これが夏の気温変化にも大きく影響します。
今年は梅雨明けしてから一気に暑くなりました。なかでも小浜は35度以上の猛暑日が1週間続き、7月としてはこれまでにない暑さとなりました。でも、海に近い三国は午後になると気温の上昇が落ち着くことが多いんです。それは海からの「わりあい」涼しい風が吹き込むためです。海沿いにお住いの方は、肌で感じていらっしゃるかもしれません。
海陸風は、海と陸の暖まり具合の違いから生まれます。海よりも陸の方が暖まりやすいという性質があります。海陸風のしくみを図を使って説明すると…
①同じように強い日差しが照り付けても、陸地の方が海以上に暖まる。
②空気が暖まると軽くなって上昇気流が起こる。
③上昇気流が起こる→空気が少ない=低気圧ができる。
④それに比べると海上の方が陸地より気圧が高くなる。
⑤気圧が高い方(海の方)から気圧が低い方(陸の方)へ空気が流れる。
これが「海風」です。
夜になると、反対の現象が起こります。相対的に暖かい海上の方が上昇気流が強いために、低気圧と高気圧の関係性が逆になります。陸から海に向かって吹くので「陸風」と言われます。そして、この風の流れが変わるとき、風が収まるタイミングがあります。それが朝と夕方です。
「朝凪」「夕凪」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうか。「凪(なぎ)」と言われる状態です。
三国にとっては、暑さを和らげる「海風」ですが、「海風」が勝山や大野などには猛暑をもたらす風になることがあります。そのしくみについては、またいつか。
今年は梅雨明けが早く、夏本番の暑さがいつもの年より長くなりそうです。
1か月予報をみても、8月も例年同様か、それより暑くなる可能性もあります。近年、暑さも「災害」といわれるようになりました。熱中症で命を落とす方が本当に多いからです。若い方も、体力に自信があるという方も、過信は禁物です。
「あれ、いつもより疲れているかな」と思ったら、無理をせず体を休めてくださいね。
二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ
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