小浜市の『朽木屋』の浜焼き鯖を丸ごと一尾かぶりつき! 夏に食べたいご当地グルメを買いに行こう。

2021/08/07

 豊富な魚介類に恵まれている福井県の中で越前がにや甘えびと同じくらい、いやそれ以上に親しまれているのが鯖だ。大衆魚であり、各地でブランド化もされていることから、県民に限らず多くの人が好きな魚の一つだろう。
 福井には、古くは若狭小浜から京へ食物を運んだ「鯖街道」があり、江戸時代には大野の殿様が領民の健康を慮って「半夏生の鯖」を奨励。焼き鯖寿司や鯖缶ブーム、最近では「よっぱらいサバ」なる新ブランドも登場している。そう、福井県と鯖の付き合いは長く、深い。そして、そんな鯖好き県民の中でも特に人気が高いのが丸ごと焼く“焼き鯖”だ。



 ご馳走として食卓を賑わせ、祭りや結婚式などのハレの日を飾り、お土産としても重宝し、故人を偲ぶ哀しみの場面にも登場することもある焼き鯖。一尾丸ごとどか〜んとあるだけで存在感は抜群。主役級の役割を果たす郷土料理に、話も盛り上がるに違いない。
 近年、伝統行事の簡略化で、郷土料理を作る家庭の減少や孤食などがささやかれるが、焼き鯖に限ってはあまり関係ない話かもしれない。
 暑い夏、簡単に食事を済ませてしまう日もいいが、焼き鯖を食卓にど〜んと置き、話を弾ませながら食べれば減退気味だった食欲も復活! 大野や小浜、熊川の焼き鯖を味わい比べてみれば、自身の鯖エピソードや自慢話が増え、またさらに焼き鯖が好きになっていくはずである。






鯖街道で運ばれた味は、和食文化も支えている!

 奈良時代から朝廷(天皇)へ食べ物を納めていた御食国(みけつくに)、若狭小浜。さまざまな海産物や物資が京へと運ばれたが、特に大量に獲れた鯖はひと塩され、熊川宿を通り、夜通し歩いて都への到着時にはいい塩梅になった。それが京の食文化や今日の和食文化を支えたのだが、その道が鯖街道だ。2015年には「御食国若狭と鯖街道」が日本遺産にも認定された。

 焼き鯖はいつ頃からあったのか? 焼き鯖専門店『朽木屋』12代目の益田 隆さんに聞いた。「私の幼少期には店頭販売されていました。それ以前は、店のすぐそばの海の浜辺でタテ焼きにしていたのを覚えています」。

 江戸時代から昭和初期の若狭小浜では、鯖が豊漁だったこともあり刺身以外に浜辺で焼くのは自然な流れで、残れば郷土料理の「なまぐさ汁」になって食されていた。豊漁により、多彩な料理が生まれてきたが、『朽木屋』では13代目の友和さんが「にんにく鯖」を新たに考案し、好評だ。
「子供が生まれて、代々続く焼き鯖を残さねばと想い、家業を継ぎました。お客様に愛されている店だと感じることが多く、焼き鯖の素晴らしさをもっと伝えていきたいですね」。



創業時は焼き鯖も扱う鮮魚店。鯖街道全盛期には、“朽木屋”の手形で関所もフリーパスだったとか。焼き鯖専門店になったのは12代目から。今年5月に新店舗ができ、2階に食事処の併設(現在はお持ち帰りのみ)。焼き鯖は1404円〜


朽木屋
【住所】福井県小浜市小浜広峰39
【電話】0770-52-0187
【時間】8:00〜16:00
【休日】1/1、2
【駐車場】あり
※食事処再開はHPで告知予定
【HP】https://www.kutsukiya.jp/
【SNS】https://www.facebook.com/朽木屋-2070632503176287/

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