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【気象予報士 二村千津子の風と雲】
2021/11/01
こんにちは。気象予報士の二村です。
11月の原稿を書き始めた10月半ば頃になっても、今年はキンモクセイの香りが漂ってきませんでした。それどころかNHK福井放送局前のさくら通りのサクラが数輪、花開いてしまいました。
それもそのはず、10月上旬は10月上旬とは思えない暖かさ(というより暑さ)。でも、その後は10月中旬にはなかなかない冷え込み。私たちは服装で調整できますが、植物たちにとっては、うっかり咲いたり、なかなか咲けなかったり、戸惑う気温変化だったと思います。
さてさて11月。11月の楽しみは2つ。
一つは「時雨虹(しぐれにじ)」、
一つは「天空の城」です。
時雨というのは冬のはじめごろ、冷たい雨が降ってはやんで、やんでは降って、時には日が差したり、少し変わりやすい天気です。冬型の気圧配置などで、上空に寒気が流れ込んだ時に、日本海側を中心に現れる天気。
なので、暮らしの中では、洗濯物も外に干しづらいし、傘が必要そうで意外に出番がなかったり、北西の季節風は冷たいし…と、まあ、ブルーと言えばブルーな天気なのですが、そんな変わりやすい天気だからこそ現れるのが時雨虹。サーッと冷たい雨が降った後、急に太陽が顔を出した時は、時雨虹がみられるチャンス。
仕事中、急に日が差してきたりするとそわそわしちゃって、11月だけでも屋上に透明の仕事部屋があったらいいのに…って思っちゃいます(笑)
ぜひ、この11月「あすはしぐれの天気となるでしょう」という予報の日には、「時雨虹」に注目してみてください。
天気がしぐれるときは、冬型の気圧配置になっていることが多いのですが、11月はまだ冬型の気圧配置は続きません。西高東低の「高」が本州付近に移動してくると、冷え込みが強まります。
福井市中心部でも濃い霧に包まれることもあります。そんなときに現れるのが、天空の城です。福井県で知られているのは、大野市の越前大野城の天空の城ですね。ナマの天空の城、ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?私はこの5年弱の間、2度ほどトライしたのですが、まだ見ることができていません。
天空の城が現れやすい気象条件は
①朝の冷え込みが強まる
②前日までは雨が降ったりしていて湿気がある
③風が穏やか
そんな感じです。
濃霧注意報が出ているというのが、わりと目安になるとは思うのですが、それでも難しいのは霧が濃すぎるとお城まですっぽり霧に包まれてしまい、浮かび上がらないので一筋縄ではいきません。今シーズンもチャレンジしようとは思っています。
天空の城が現れるということは、地上付近にも濃い霧が立ち込めやすい日なので、車の運転など注意が必要です。
初冬の福井、どんよりとした空が増える時期ですが、空や雲が作り出す世界を楽しんでみてください。
二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ
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