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【わたしのレコ麺】
2022/01/07
福井への移住をきっかけに麺料理にドはまりしたライター・にしやま(岐阜出身)がレコ“麺”ドする食レポ企画。訪れた先で出会ったローカル麺を歴史あるお店のたたずまいや、人情味あふれる店主とのやりとりとともにつづります。
自宅で仕事をしていると、「気づいたらもう夜じゃん」ということがよくある。そんな日は晩ご飯を作る気にもなれないし、一日中家にいたことがなんだかしゃくにさわるものだから、ふらりと夜の街に繰り出す。繁華街の中心部にあるわが家。お店の選択肢は多いが、なかでも自宅から徒歩数分の距離にある、鉄板焼き屋『どんどん』は定番だ。
『どんどん』にはカウンターが数席と、5~6人で座れる座敷が2つ、ボックスタイプのテーブル席が2つ。営業時間は18時から深夜2時までと、深い時間まで食事ができるので、週末ともなると2軒目、3軒目とシメにやってきくる地元客でにぎわう。
だから一人で行く時は空いている時間を狙うようにしている。わたし的なゴールデンタイムは18時のオープン直後。カウンターを独占し、まずはママとの世間話を楽しむ。しばらくすると、ちらほらと常連さんがやってきて、常連さん達と会話が弾むことも。そこに子供連れの家族が夕食を食べにやってきて、座敷でお好み焼きを焼き始める。そんな世代を超えた人間模様が繰り広げられているお店なのだ。
この日もカウンター席で一人、ママとたわいもない話をしながら、「カレー焼きそばと生ビール」を注文。カウンターのすぐそばに鉄板があり、そこでママが手際良く焼きそばを焼いてくれる。
注文した料理を待つ間、「これ食べて」と小鉢が差し出される。ご近所さんというご縁もあって、行く度にお店のまかないを分けてくれるようになった。家庭料理という感じのソレは、“敦賀のお母さん”ができたみたいで温かい気持ちになる。
「はい、おまちどうさま」の合図で、鉄板を離陸したばかりの熱々の焼きそばが目の前に。
てっぺんに乗せられた目玉焼きをすかさず割り、麺や具に黄身を絡めて一緒にいただく。カレー味をマイルドにしつつ、全体をまとめてくれる目玉焼きは絶対に欠かせない。一口食べると地元の製麺所が作る極太麺に驚くはずだ。ソースや具材の味に負けじと、しっかりとした麺の存在感が印象に残るのは、私的にも新しい焼きそば体験だった。
お店は今年30年目。叔父さんから店を引き継いだ2代目店主として、ママが切り盛りする。代替わりしてから12年ほどが経過。メニューも味も先代からほとんど変わっていない。そんな中で、今回の「カレー焼きそば」は珍しい、ママ考案のオリジナルメニューという。「何かを参考にしたとかもなくて、こんな感じかなあと思って作ったんや」と笑って話してくれる。かつてはスナックを営んでいたこともあった、波瀾万丈なエピソードにも引き込まれる。「今が一番幸せ」と楽しそうに話すママとの時間に、私も「さあ、明日も頑張ろう」と、エネルギーをもらっている。
どんどん
【住所】福井県敦賀市本町1-5-22
【電話】0770-23-8230
【時間】18:00~26:00
【休日】日曜
【席数】27席
【駐車場】あり
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