【気象予報士 二村千津子の風と雲】

「春が待ち遠しいから?? 2月に登場する“春”の言葉たち。」|気象予報士 二村千津子の風と雲

2022/02/01

こんにちは。気象予報士の二村です。

2月は「光の春」と言われます。

冬真っ只中ではあるのですが、確実に昼間の時間が長くなって、ふと、日差しの力強さを感じるようになる。そんな「光の春」です。

具体的に福井市の日の出日の入りの時刻で昼間の長さを調べてみると、1月1日は9時間45分、31日は10時間23分で、ひと月の間に38分昼間の時間が長くなります。一方で2月はというと、2月1日は10時間25分、28日は11時間22分と、実に約1時間近く長くなるのです。春への歩みの歩幅が少し大きくなる感じですね。




2月後半にもなれば沈丁花の香りが漂い、ピンクや白の梅の花たちが、時折広がる青空に映えるようになります。

ちなみに3月は音の春、4月は気温の春と言われます。それはまたおいおい。そして、暦の上でも「立春」を迎え、春が始まります。

二十四節気は、この「立春」から始まります。二十四節気については、以前、このコラムでもお話しましたがこの「立春」から数えて88日目は八十八夜、210日目は二百十日(にひゃくとおか)と呼ばれます。いずれも雑節という暦にあたりますが、八十八夜は聞いたことがある方も多いと思います。「夏も近づく八十八夜♪」という茶摘みの歌の歌詞にもあり茶摘み作業の目安になっています。二百十日は、台風が襲来しやすい日として、農家さんたちに注意を促す日とされています。そんな暦の基準になるのが「立春」です。

「光の春」「立春」と「春」がキーワードのようになっていますが、もう一つ「春一番」の発表があるのも、立春以降です。

「春一番」は、冬から春へ季節が移るときに、初めて南風が強まった時に発表されます。沖縄と東北、北海道をのぞいた地域ごとに発表されます。福井県の場合は北陸地方(福井、石川、富山、新潟)に含まれます。北陸地方における「春一番」は次の4つの条件が目安となっています。

① 「立春」から「春分の日」の間であること。
② 日本海で低気圧が発達すること。
③ 新潟、富山、金沢、福井のいずれかの気象台で 風速10m/s以上の東南東~南~西南西の風が観測され、なおかつ、上の気象台を除く新潟、富山、金沢、福井のいずれかの気象台で風速6m/s以上の東南東~南~西南西の風が観測された場合。
④ 最高気温が前日より高いかほぼ同じになること。

例えば、去年「春一番」の発表があったのは2月20日でした。その日の天気図を見てみると、

日本海の低気圧が発達しながら北上していきました。実は、この日の福井はたいして風が強まらなかったのですが、ほかの3つの県で条件を満たしたために発表になりました。

つまり、厳密に言うと、上の条件にあるようにいずれかで南よりの風が強まった時に発表されるので、福井ではそこまで強まらなくても発表になることもあります。

「春一番」が吹くと、もうすぐ春が近いのかな~と思ってしまいそうですが「春一番」のあとは、強い寒気が流れ込み一気に寒くなることもあります。2月はまだまだ冬型の気圧配置が強まりやすく、北西の冷たい風が主役のことが多いです。平成30年の豪雪も2月に発生しました。

平成30年2月豪雪時の様子(さくら通りにて)

この冬は、いまのところ嶺北、嶺南ともに極端な大雪にはなっていませんが、まだまだ油断は禁物です。先月のコラムで、大雪の時に活用していただきたい情報などをまとめたので、改めて振り返っていただけると幸いです。


二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ



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