【気象予報士 二村千津子の風と雲】

「雨のシーズン到来へ。何が違う?春の雨と夏の雨。」|気象予報士 二村千津子の風と雲

2022/06/01

こんにちは。
気象予報士の二村千津子です。

6月と聞くと、やはり、「そろそろ雨の季節か…」って思いますね。今年の梅雨入り、5月24日発表の3か月予報によると、梅雨前線の北上が、例年より少し早いかも…という見通しなので、平年よりも少し早まる可能性があります。北陸地方の梅雨入りの平年は6月11日ごろなので、上旬にも雨の季節に突入、ということになるかもしれません。うっとうしいけど、農作物たちの成長には欠かせない雨。うまく付き合っていきましょう。

さて、今回も読者の方からの質問にお答えします。

福井市のイクチャンさんから

「いまの季節、雨が降る前に必ず風が吹きます。夏の季節は風も吹かないうちに雨が降ります。どうしてですか?」

という質問をいただきました。ありがとうございます!

日ごろから風を感じていらっしゃる様子。素敵ですね。質問をいただいたのが、先月の初めごろだったので、風を感じるのは春の雨。夏の季節の雨は急に降る夕立のような雨のことなのかな…と解釈しました。春の雨を降らせる主な原因は「温帯低気圧」です。温帯低気圧は暖かい空気と冷たい空気がぶつかり合って発生します。

気象庁HPの天気図をもとに作成

暖かい空気と冷たい空気がぶつかり合う所に「前線」ができます。この前線が通過する前に、前線に向かって風が吹き込むため、雨が降る前に風が強まります。

気象庁HPの天気図をもとに作成

実際に、この天気図の令和4年4月26日の福井市の天気を振り返ると、午前9時20分ごろから雨雲がかかり出したのですが、その日、最も風が強まったのは、午前7時半過ぎの風速8.4メートルでした。雨が降り出す2時間ほど前でした。
以前、三国のお食事処の女将さんが「さっきまで風が強かったけど、雨が降り出したからじきに風は収まりそう」とおっしゃっているのを聞いて、海沿いだからより風を感じやすいのかな…と思いました。もちろん、前線が通過した後に、逆向きの風が強まることがあるので一概に言えることではないのですが、イクチャンさんのおっしゃる通り、春の雨は前線を伴った低気圧によるものが多いため降る前に風が吹きます。

そして、夏の季節の雨、夕立ですが、これは、低気圧に伴う雨ではなく、積乱雲に伴う雨です。もちろん、低気圧による雨でも積乱雲が発生することはありますが、夕立の場合は、夏の強い日差しで地面が熱せられて上昇気流が発生し、上空に向かってどんどん雲が発達して雨雲になるパターンです。



この時は、雨雲に発達するまでは、風の気配はほとんどないかもしれません。

でも実は、この雲からの雨も、降り出す直前、ヒューッと冷たい風が吹き出すことがあります。



それが激しい雨のサインでもあったりするんですよね。夏の雨は、夕方でなくてもこの「夕立」パターンが多いので、直前まで風を感じない雨と言えそうです。イクチャンさん、ありがとうございました。

そして、今回は、もう一つ質問をご紹介します。

福井市のニックネーム:今日も1日頑張りましょう!さんから。

「気象予報士さんは、基本的に過去のデータと現在の気象図をもとに天気予報をされていると思いますが、気候の自然的な変化で天候を予測する方法・着眼点などあれば教えてほしいです!(向こうの空が暗い。雨が降りそうだ。きょうは星がよく見える、あすの朝は冷え込みそうだ。など)実はコレ、○○の合図なんですよ、的なことが知りたいです」といただきました。

ありがとうございます。頑張りましょう(笑)

まさに先ほどの急に冷たい風が吹き出すというのは、ザッと降る雨のサインだったりします。あとは、空の様子で「天気が下り坂」を知ることもあります。太陽のまわりに、大きな虹のわっかができている時。

これは「ハロ」とか「日暈(ひがさ・にちうん)」と言われる現象です。
上空の高い所に氷の粒でできた薄雲が広がった時に雲の中の氷の粒に太陽の光が当たることで現れます。それまで晴れていて、このハロが現れた時は、上空には少し湿った空気が流れ込んできたので、そのあと、天気が崩れることがあります。

そしてもう一つは、「飛行機雲」です。飛行機雲がすぐに消える時は晴れ。すーっと長く伸びて、なおかつ、その雲が広がって長く残る時は天気が下り坂のサインです。



「飛行機雲」がすぐ消える時は、上空の空気が乾燥しているので、雲が発生してもすぐに消えてしまうのですが、天気が下り坂でだんだん上空が湿ってくると、長く残るようになるのです。

ハロと飛行機雲がわりと発見しやすく、わかりやすいサインなので今日も一日頑張りましょう!さんも、ぜひ、空を見上げて「飛行機雲がすぐ消えるから、上空の空気は乾燥しているんだな…」とか感じていただけると幸いです。雲や風、あとは虹、動物、それから音などで、今後の天気を知ることを「観天望気」と言ったりするのですが、まだまだあります。今後も折を見て、ご紹介できればと思います。

6月は雨の季節。雲や風の変化にいつもよりも少し敏感になると、天気予報を見なくても、雨のサインを感じられるかもしれません。あ、でも、天気予報も見てくださいね(笑)

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※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。


二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ



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