「KOSEI KOMATSU EXHIBITION 光と影のモビール 森の夢」。夢の世界へ旅に出よう。【6/12まで】

2022/05/26

『金津創作の森美術館』で6月12日(日)まで開催されている「KOSEI KOMATSU EXHIBITION 光と影のモビール 森の夢」。みなさんもうチェックしましたか?
5/27(金)・28(土)は20:00まで延長開館しているので、まだの方はこちらにも注目してみて下さい。

『はるかぜ』と小松宏誠さん

アーティスト・小松宏誠さんが、自然と人間からのインスピレーションを受けて組み立てられた“想像”の世界を大規模なインスタレーションで展開。一歩会場に足を踏み入れると、音や光、影、動く立体作品が私たちを不思議な世界へといざない、夢か現実かだんだんとわからなくなっていきます。



今回、そんな不思議な世界を組み立てた小松さんに企画展の見どころなどを伺いました!(最終日6/12(日)には小松さんのギャラリートークが会場にて開催!)

複雑な形をしたモビールが光に照らされ動き、さまざまな陰影を作る。そして時折、鳥のさえずりや風の音が聞こえてくる不思議な展示「光と影のモビール 森の夢」。

まず、会場の入り口近くでお出迎えしてくれるのは、たくさんの不思議な曲線形のモビールが連なる『はるかぜ』。春先のこの時期に合わせて作られたという作品は、黄色とピンクの光を反射する偏光フィルムと和紙で作られたモビールの数々が風によってふわふわと動きます。

空調や人の動きによっても位置が常に変わり、また、窓から差し込む光の反射によって色も変わります。それはまるで生き物のようにも思えてきます。

このように、繊細に表現された作品は見る側の心をつかんで離しません。作品は動き続けているのに、どこか時が止まったかのような錯覚におちいってしまいます。



宙に浮かんでいるような作品
『Lifelog_シャンデリア』

小松さんは建築学科出身ということもあり、構造の知識を用いながら少しずつ手作業で立体作品を制作しています。室内会場中央にいくつか浮かぶ、ガチョウの羽根で作られた『Lifelog_シャンデリア』は、羽根が組み合わさった造形がふわふわと回り続けるその姿と、何重にもなった影が幻想的。

「高さや積み重なる羽根の回転方向、軸の長さなど、すべてを細かく設計して制作しました」(小松さん)。一見、感性によって作られているようにも思える夢の世界が、しっかりと計算された設計図によって作られているというから驚きです。正確に作られているものが風などの影響で自然的な動きをすることが不思議な感覚におちいる理由の一つなのかもしれないですね。



「雨のうた」 © Kosei Komatsu / photo : Shin Inaba

また、室内会場の奥にある作品『雨のうた』は、きらっと光る円形のモビールがくるくると回る姿にうっとりします。時々動きにシンクロするかのように水の音が流れてきますが、この仕掛けについて「普段の生活のなかでも、例えば電車に乗りながらイヤホンで音楽を聴いているとき、たまに車窓から見える動きと流れている音楽のタイミングが妙に合ってハッとすることがありませんか。そんな日常の中に現れるふとしたことを表現しました」と小松さん。



会場ではこのように、仕掛けられた作品の動きと音が偶然シンクロする瞬間が時に現れます。流れる音は、サウンドアーティストのsawakoさんが担当。昨年秋と今春に会場を訪れ、実際に会場近くの森のなかの音を録音して制作したそうです。「『雨のうた』は、音と風、動きを体感しながら、さまざまな角度から味わってみてほしいですね」(小松さん)。

正面からだけでなく、横から、下からといろいろな角度から見てみると、もっと不思議な感覚におちいっていきます。すると、はたと気づくはず。雨のしずくって、雨音ってこんなに美しいものだったのかと…! ぜひこの感覚を楽しんでほしいです。

「マジックアワーモービル(仮)」イメージ © Kosei Komatsu

そして今回の企画展には、森と融合した屋外作品も登場。朝日と夕日が現れる時間「マジックアワー」を表現した『マジックアワーのモビール』は、反射する光が色を変え、魔法の世界を作り出します。

「完全な自然の世界でもなく、かといって人間だけの世界でもない、調和されたこの森だからこその作品です。その時の天候や、見る時間帯によって見え方が異なるので、2回、3回と足を運んでほしいですね」。

また、小松さんの恩師・土屋公雄氏が福井県出身ということもあり、福井での作品展はとりわけ特別な想いがあったそうです。「今回挑戦した屋外作品は、こちらの『創作の森』だからこそ実現できたと思います。気候条件などもあり、正直大変な部分もありましたが、地元の方が重しの石を運んでくれたりして、本当に助かりました」。

雨や風、光と影など自然のものを想像的な世界で表現する小松さんの作品。ぜひこの不思議な世界にトリップしてみてほしいです。そしてその旅から戻ってきたあとには、福井にある身近な自然や日常の世界がちょっぴり美しく見えるはずです。



アーティスト・小松宏誠
こまつこうせい/1981年生まれ。徳島県出身。武蔵野美術大学建築学科卒業、東京藝術大学大学院修了。「浮遊」への憧れから「軽さ」「動き」「光」をキーワードに作品を制作。DSA日本空間デザイン賞2015優秀賞を受賞。2020年「日本博」オープニング・セレモニーにてインスタレーションを担当。2022年4月~武蔵野美術大学建築学科特任准教授。


KOSEI KOMATSU EXHIBITION 光と影のモビール 森の夢
【会場】金津創作の森 美術館 アートコア・野外(福井県あわら市宮谷57-2-19)
【日程】開催中~6/12(日)
【時間】10:00~17:00(最終入場16:30)
【休館】月曜
【料金】一般600円、65歳以上・障がい者300円、障がい者の介護者・高校生以下無料
【お問い合わせ】0776-73-7800
【HP】あり
6/12(日) 14:00より小松さんによるギャラリートークが開催(要入場券)



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#イベント#坂井

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