【かずのすけの美容塾】
2022/06/10
Q:思春期の頃と同じではNG!? 大人ニキビの正しいケア
「ニキビ」というとかつては10代の思春期にホルモンバランスが大きく変化することが原因で発生するもので、若い世代特有の肌悩みと捉えられていた時代もあります。しかし昨今では思春期だけにとどまらず、ニキビ悩みをお持ちの20代や30代以上の人も多いことがわかってきています。こういった大人のニキビのことを現在では「大人ニキビ」と呼んで周知されるようになってきました。
一般に思春期ニキビは、男性の場合は男性ホルモンの増加、女性の場合は生理期間中の黄体ホルモンの増加に従って皮脂分泌量が増えることが原因とされており、突発的に皮脂量が多くなった結果毛穴が閉塞されて内部で皮膚常在菌(主にアクネ菌)が繁殖して炎症を起こす…というのが一連の流れです。ゆえに皮脂分泌量が多いおでこや鼻といった「Tゾーン」と言われる部位に発生しがちです。
一方で大人ニキビでは男女関係なく、既に皮脂量の分泌は落ち着いているもしくは恒常的にその分泌量に慣れているにも関わらずニキビが発生します。部位もTゾーンではなく頬や顔周り(Uゾーン)などに群発することが多く、皮脂量とは関係ない部位にできやすいです。これは何らかの刺激を与えたことがきっかけで炎症が起こり、その結果角化亢進(異常なターンオーバー促進)という反応が起こると、異常発生した角質によって毛穴が詰まってしまいニキビになると考えられています。単純にメイクなどの成分が毛穴に詰まって起こっているという場合もあります。
このように成因を考えると、思春期ニキビは突発的に増えた皮脂量に対してのケアが重要であるのに対して、大人ニキビは刺激やメイクなどのケアが重要になります。このため思春期ニキビ用のスキンケアでは皮脂を除去する洗浄力の高い洗顔や、殺菌作用のスキンケアが主に利用されていますが、大人ニキビ用では抗炎症成分などを配合した、マイルドな処方のスキンケアが開発されています。
思春期ニキビ用のスキンケアを大人ニキビ対策として使用すると、過剰な脱脂や殺菌成分による強い刺激を受けてかえってニキビが悪化してしまう場合があります。大人ニキビの場合は「ニキビ予防」と標榜されている製品の中でも、殺菌成分(サリチル酸・硫黄・イソプロピルメチルフェノールなど)ではなく、抗炎症成分(グリチルリチン酸2K・トラネキサム酸など)が配合されたものを選ぶと良いです。メイクも皮脂くずれ防止などの強固なものよりも、毛穴が詰まりやすい部位では落としやすい処方のものを使用するなど工夫が必要です。
ニキビ対策のスキンケアと言ってもどのニキビに対して有効なのかというのがそれぞれ異なっていますので、ご自身のニキビタイプに合わせて最適なものを選べるとより効果的です。
かずのすけ
美容化学者。横浜国立大学大学院修了。化学で美容を解説するブログが人気で月間500万PV、Twitterフォロワー19万人超。著書は『コスパ厳選!感動美肌ベストコスメ』(扶桑社ムック)、『美肌成分事典』(主婦の友社)など全10冊。坂井市丸岡町出身。本名:西 一総(かずさ)
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