2022/07/29
新幹線開業で人口流出をさせないためには
『崎陽軒』という言葉を聞けばすぐに思い浮かぶ“シウマイ弁当”。一口サイズのシウマイは、冷めてもおいしい作りで、駅弁としては全国トップの売り上げを誇っています。2022年に福井県は『崎陽軒』と協定を結び、北陸新幹線開業に向けて、福井の魅力をアピールすることとなりました。
今回キックオフミーティングで訪れた4代目社長・野並晃さんは、「協定はメリットデメリットがあります。関係が公のものになる一方、結んだことで立ち止まってしまうという点です」。そこで県産材を盛り込んだお弁当を開発して関東圏で販売することや、県内事業者向けのワークショップを開催するなど、具体的な事業を計画しています。「北陸新幹線延線は、何かコトを起こさないと吸収されてしまいます。人がいる方に、こちらまで来てもらう環境を作らないと、一極集中になりかねません。そしてそれができるのは、地域の人たちの強い思いだけなのです」。
真のローカルブランドから世界へ
『崎陽軒』は1908年に創業し、1928年に「シウマイ弁当」の販売を開始します。軌道に乗ったのは戦後になってからで、小説や映画に登場したり、しょう油入れの「ひょうちゃん」がブレイクしたり、台湾への出店も行なったり、毎年何かしらの取り組みを実施してアピールに努めています。その結果が『崎陽軒』=シウマイになり、横浜の名物になり、横浜市のシウマイ購入金額は全国1位になっていったのです。
「といっても、私たちの会社は横浜のローカルブランドという認識で、規模も中小企業です。だからといって大企業と比べると劣っているかと言えばそうではありません。特に地域とのつながりは大企業に負けない強さを持っています。それが、お客様の言葉『崎陽軒のシウマイは崎陽軒のものじゃない、横浜のものだ』に集約されていると思います。もはや私たちのものではない、真のローカルブランドになっていったと感じています」。
社長が教えてくれる、私たちがすべきこと
真のローカルブランド=地元で圧倒的なブランドになるまでの道のりは、地域とのつながりを絶やさないこと。当たり前にあることを続けること。その先にこそインターナショナルへの道が続いていく、そう感じているそうです。「横浜はペリー来航以来誕生した歴史の浅い街です。特産品も名物もありませんでした。それに比べたら、福井は歴史も文化も名物だってありすぎるくらいあると、こちらから見るとそう思います。地域のことを知るようになれば、地域で何ができるかを考えることができ、問題解決の糸口が見えると思います。福井の人がそれに気づき、お互いが盛り上がるような機運ができるのを期待しています」。
そう、福井にはいろんなものがあります。地元の人の思い一つで全国に通用する名物にもなるのです。この協定を機に、“フクイシウマイ”が名物になると面白そうですね。
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