2022/11/09
学生で起業、なんて言葉も今や普通になったこれからの時代を作っていく、Z世代の福井の学生はどんな風に福井が見えているのでしょう。リレー形式で紹介する「学生の肖像」。
2001年越前市生まれ。武生工業高校を卒業後、福井工業大学環境情報学部デザイン学科へ
俯瞰で見て人の流れを考える
北畑さんが建築の世界を目指していく中で出会ったのが“まちづくり”と言う概念でした。高校卒業時の制作研究で今と昔の越前市のまち並みを比較したときのことです。
「建築単体よりも全体でのスケールで考えることに魅力を感じたんです。俯瞰して見てみると、建築物をつくることは、まちをつくることに他ならなくて、建築物一つで人がどう動くか、いわゆる交通の面での考え方に興味を持ちました」。
まさに越前市役所が新しくなったことで人の動線が変わったのを間近で見てきたことが北畑さんにも影響を与えました。
まちづくりができる会社へ
大学進学時は“まちづくり=行政の仕事”というイメージで公務員を志望していましたが、フィールドワークを重ねていくうちにそのイメージが変化してきます。
「いろんな社会人の方々と交流をしていくと、必ずしも市民の声と行政の進め方が一致するものではない、ということでした。もちろん行政の方々もいろんな施策を行なっていますが、民間でもアクションを起こせるのでは、と思うようになっていったんです」。
では、どこが民間でまちづくりを行なっているのか、調べていくうちにある会社と出会います。それが『ホリタ文具』でした。北畑さんにとってこの会社は“まちづくりの会社”という認識があります。
「社長の『文具店やめます』という言葉に『なぜ?』となったんですが、武生中央公園に店舗を構えたのを見たとき、公園とまちをつなぐ存在になっている、と思ったんです」。
立地条件は申し分ない、あとはアクションの継続と、地域の連携を作っていけば、より公園とまちをつなぐ存在になっていく、そう考えたのです。
そこで北畑さんが取った行動が、卒業制作で『ホリタ文具』の実践的なワークショップを行なうこと、でした。これはある意味大学での学びへのアンチテーゼのようなものでした。
「大学の授業でいろんなアイデアが出るんですが、そのほとんどが机上の空論で終わって、実践されることがありません。学生の設計も実際できるのか、予実管理まで考えて突き詰めていくことで、学校と社会が連携していくのだと思います」。
就職先の企業を題材に研究を行なうという、あまり聞いたことのない実践方法は、もはや学校だけでなく社会に対して提案をしているかのよう。
ワークショップは“大人が求める居場所”、そして“子供が求める居場所”を作るもの。親子で参加してお互い気付き合うことで、より良い“場”を創っていくことが目的です。
「制作展などもやってみたいですし、この先もトライアンドエラーで実践し続けていきたいと思っています。ゆくゆくは『ホリタ文具』でそういった地域連携やまちづくりの部署を創っていきたいと思います」。
退化することもまちづくり
北畑さんにとって“まちづくり”とはどういうものかを尋ねてみました。
熟考した末に出した答えは、ずっと変わらない思いでした。
「高校のときに研究した、今と昔を比較することなのかな、と。まちづくりというと、何でも新しいものを作ればいいという考えに囚われがちですが、いいものも悪いものも、昔と比較してみてわかるのだと思います。それを通して、新しいものが本当にこのまちにとっていいことなのか判断できるのではないでしょうか。私は、進化することだけがまちづくりじゃないと思っています。退化すること、つまりそのまちが持っている大事なものを守ったり、残したり、昔に戻ってみるのもまちづくりじゃないかと」。
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