【わたしのレコ麺】
2022/12/10
福井への移住をきっかけに麺料理にドはまりしたライター・にしやま(岐阜出身)がレコ“麺”ドする食レポ企画。訪れた先で出会ったローカル麺を歴史あるお店のたたずまいや、人情味あふれる店主とのやりとりとともにつづります。
今回は、月刊URALA STYLE 12月号の特集ページ「福井のラーメン冬の陣」でも紹介している敦賀の真鯛ラーメンに注目。実は最近気になっていた、港町らしさあふれるラーメンの味を求めて、市内3店舗を巡ることに。果たして、話題のラーメンは店主たちの熱い想いに後押しされて、敦賀の新たな名物グルメとなるのか…?!3回にわたって、各店のレコ麺をレポートします。
真鯛ラーメンを求めて次に向かったのは、敦賀市道口にある麺魚房『松月』。「うちのイチオシは、本当はレモンラーメンなんだけどね!」と言いつつも、店主の木村英二さんは快く鯛ラーメンの取材に応じてくれた。数年前からじわじわと準備してきたキッチンカー営業も本格的に始動。週末の夜になると、国道8号沿いのレジェンドラーメン屋台たちとともにアーケード沿いを賑わしている。昼過ぎに訪ねたこの日、そのビビットなイエローのキッチンカーは店先で出番を待っていた。
お店は今年で創業42年。高校・大学に加えて調理師専門学校での1年を県外で過ごした木村さんが敦賀に戻ったのは24歳の時。当時は、先代である木村さんの父親が店をオープンしてまだ数年が経ったくらいの頃。その2~3年後に、木村さんはラーメンの調理を任されるようになった。他の板前さんたちはあまりやりたがらないから、という少し消極的な理由からだったそうだが、英二さんは「むしろ計画通り。今では最強の武器になりました」と苦労が実るまでの日々を振り返ってくれた。
木村さんがラーメンを任された頃、お店で提供していたラーメンは、今よりもずっと簡易的なものだったという。独学で進めたラーメン研究には、県外で過ごした学生時代に食べ歩いたラーメンの知識が役に立った。メディアへの露出をきっかけに徐々に松月のラーメンが注目を浴び始めたころ、新型コロナの危機に訪れる。お店は大打撃を受けた一方で、コロナ前から計画していたキッチンカー出店には大きな追い風となった。「コロナがなければこんなにも早く屋台は出せなかったと思います」と、まさに時代の波を乗りこなした。
店の営業の妨げにならないようにと、営業終了後に寝る間も惜しんで仕込むスープは、昔ながらのうどん出汁、レモンラーメン用のオリジナル出汁、そして潮汁から着想を得て開発した真鯛出汁の3種類。店の人気メニューはやっぱり独創性溢れる「レモンラーメン」だが、それに負けじと、じわじわとした人気を誇るのが「鯛出汁ラーメン」だ。
もともとは鯛のアラが手に入った時にだけ作る限定メニューだったが、反響の大きさから今では定番メニューへの仲間入りを果たした。鯛に生姜、ネギなどのベーシック素材から出汁を取り、味付けは塩のみ。非常にシンプルな味付けが鯛の味わいを引き立てている。「めっちゃ鯛!」とメニューに書かれたコピーにも納得だ。個人的にハマったのがトッピングのみじん切り玉ねぎ。ほどよい辛味と甘み、そしてシャキシャキとした食感が、シンプルな鯛出汁スープのアクセントになる。
フリルがかわいらしい見慣れぬ野菜が気になって尋ねると、なんと「ケール」だった。癖の強いイメージのある野菜だったが意外にもサラリと食べられる。「実はスープにも少しだけケールが入っているんですよ。栄養価の高い野菜なんで捨てるのはもったいなくて。本来は捨ててしまう軸のところをスープに練り込みました」。
言われてみると、スープに少しケールの味を感じられるような。美味しいだけでなく、栄養もバイタリティも満点な一杯だった。
松月
【住所】敦賀市道口 1 36
【電話】0770-23-0296
【時間】11:00~21:00 (LO 20:30)
【休日】 水曜
【駐車場】あり
【席数】80席
【HP】あり
【SNS】Instagram
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