【ハナ金 夜ふかし倶楽部】

現実と幻を行ったり来たり。夜にこそ読みたい物語3選。

2019/07/25

眠りに落ちる夜更けの時間こそ、現実から逃避できるトリップタイム。福井駅近くの本をつくる小さな本屋「HOSHIDO(ホシド)」の店主・佐藤実紀代さんから、枕元で楽しんでほしい古本3冊を紹介いただきました。本の中へと入り込み、「現実」と「幻」に触れながら、その世界観をじっくり味わってみませんか?

画本 オッベルと象 / 作・宮沢賢治 画・小林敏也

ずる賢さに長け、百姓をこき使いお金を儲けて、自分は裕福に暮らす雇い主・オッベル。ふと目の前に現れた白い象を巧みにだましながら、悪条件の中で働かせ、象はついに憔悴しきってしまいます。純粋に楽しみながら働く白い象を利用し尽くす冷酷なオッベルに、賢治は日本の社会を重ねていたのでしょうか。小林敏也さんの繊細で力強い線画に加え、セメント袋用のクラフト紙や大胆なインク使いなど、細部までこだわり抜かれたデザインがインドの空気感や宮沢賢治の深い世界へ誘ってくれます。




村田エフェンディ滞土録 梨木香歩

舞台は1900年代のトルコ。日本から招聘された研究留学生・村田くんが、一つ屋根の下でギリシア人、ドイツ人、イギリス人、トルコ人、オウムと共に過ごした日々の記録です。異国の地で考古学の研究に向かい、世界と歴史という縦と横を往来し、同志と共に言葉と心を交わす。学び悩み楽しむ青春の時に、憧れを抱く人もいることでしょう。ついつい亡霊を目撃してしまう性質の村田くんは、梨木作品の『家守奇譚』『冬虫夏草』にもほんの少し登場しますので、ぜひ合わせて読んでみてください。




海辺のカフカ 上・下 村上春樹

童話、歴史に浸れたら、長編小説に挑戦!「世界で一番タフな15歳になる」と告げられた少年カフカ。母と妹の影の間にゆれながら、「もう一つの入り口」を探す旅に出る。村上小説は多くのメタファーでできていると言ったのは、誰だったか忘れてしまったけど、とにかくどの文章も手を抜かない緻密な表現にどんどん心を奪われていきます。ずぶずぶと村上作品の「沼」にハマっていって、気がついたら現実世界からずいぶん遠くへ来ていた…なんてことになるかも。そんな時は迷わず、夢の中へ。


【本日のハナ金コンシェルジュ】
HOSHIDO  佐藤 店長
福井駅から徒歩3分の町の本屋さん。薄暗い空間に所狭しと並べられたいくつもの古本。地域本、図鑑、県外のフリーペーパーなど、多様なジャンルの本が揃い、読書好きには堪らない空間だ。


HOSHIDOホシド
【住所】 福井県福井市中央1-22-7 ニシワキビル1F
【電話】 090-3291-5319
【時間】9:00~14:00(水曜のみ12:00~21:00)
【休日】不定休
【駐車場】なし
【HP】なし
【SNS】 Facebook Twitter

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