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【気象予報士 二村千津子の風と雲】
2023/08/01
お暑うございます。
気象予報士の二村です。
きっと8月も、この挨拶がぴったりな暑さでスタートしていることでしょう。
今回は読者の方からいただいたテーマについて綴ります。
福井市 ニックネーム:てるてるさん(男性)より
二村さんこんにちは。完全に個人の趣味ですが、天気にまつわる漢字が好きです。霰・霙・露・靄など、この辺りは全て雨冠なので統一感もあってかっこよく感じています。見た目重視なのですが、きっと由来もあるんですよね。ニュース等になると、どうしてもひらがな表記になることが多いと思いますが、二村さんは天気に関する漢字、お好きですか?ぜひ「天気にまつわる漢字」というテーマでお話聞きたいです!
ありがとうございます。
このお仕事をするようになって、天気にまつわる言葉の多さを知りました。漢字一文字で表される文字はもちろん、熟語で「時雨」や「時化」など、雨の降り方や波の状況などを表す言葉があります。漢字一文字だと、てるてるさんが例えに挙げた、雨かんむりの言葉が圧倒的に多い気がしますね。
霰(あられ)・霙(みぞれ)・露(つゆ)・靄(もや)のほか、雹(ひょう)・霜(しも)・雷(かみなり)・霞(かすみ)などなど、日ごろ、登場する漢字がたくさんあります。
では、この漢字は何と読むでしょう。
正解は「ながあめ」です。
音読では「リン」と読み、秋霖(しゅうりん)と言って、秋の長雨のことを表します。
日ごろ、使わない漢字でも、日や風を意味する漢字もけっこうあるんですよ。わたしが好きな漢字はこちらです。
見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、「こがらし」と読みます。
普段は「木枯らし」を使うので、日ごろの気象情報ではあまり登場することがありません。部首としては几(つくえ・かぜかんむり・かざがまえなど)になります。
このほかにも凪(なぎ)、颪(おろし)などがありますが、いずれも現象をイメージしやすい文字になっているなあと思っています。
凩は木の葉を散らす風、凪は風がやんだ状態、颪は山の斜面を吹き下りる強い風というイメージ通りの文字です。
そして、お日さまの日のつく漢字はどうでしょう。
「日」をお日さまの意味にとらえていて、わかりやすいのは曇(くもり)ですね。文字通り、雲がお日さまを遮っているので「くもり」と読みます。
では旱はどうでしょう。こちらはひでりと読みます。
お日さまが照り付けて、水分がなくなっていく状態がイメージできますね。そして、これから日本の南の海上を賑わす台風のことを昔は野分(のわき)と呼んでいました。
立春から数えて二百十日や二百二十日のころに野の草を吹き分ける強い風のことで、今でいう台風のことです。昔の人は台風の進路が予測できるようになるとは想像だにしていなかったと思いますが、だからこそ「二百十日」や「二百二十日」と言って、台風が襲来しやすい時期として農業の目安にしていたようです。
近年、台風の予測精度もどんどん高まって、数日前から備えができるようになっています。台風情報の見方などについては、2021年9月のコラムで詳しく解説しているので、ぜひ参考になさってください。
さらに、ことしの6月からは、予報円と暴風警戒域の予測をさらに絞り込んで、予報円の半径が、これまでより最大40%小さくなったという発表もありました。
さて、今回は、天気にまつわるいろいろな漢字をご紹介してきました。
いろいろな文字を組み合わせて、自分でオリジナルの漢字も作れそうですよね。夏休みの自由研究に、天気にまつわる雨や風、日のつく言葉を考えてみるのもおもしろいかもしれませんよ。
※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。
二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ
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