2023/08/20
2025年福井県を金融リテラシーの高い県にする。
金融教育、という言葉をよく見かけるようになった。かつて日本でベストセラーになった金融教育の書籍、あの頃から金融教育の必要性を感じていたはずなのに、20年を経過した今も遅々として進んでいない。その理由は〝どうしていいのか、何から始めたらいいのかわからない〞に尽きる。ならばその入り口を作ろうと、2023年4月より始まったのが「金融リテラシー検定」だ。この検定制作にあたり、対応テキストの作成に携わったメンバーの一人である彼は今、福井大学の客員准教授として教壇に立っている。
進学校の同級生たちは、大学に進んだ後も目覚ましい活躍をしていた。そのコンプレックスが彼の行動原理。自分も負けじとフェアトレード、環境問題に正面から取り組んだ。3週間の海外ボランティア活動で英語を話せなかった自分を悔やみ、1年間のワーキングホリデーで英語を上達させた。
学生時代さまざまなことに取り組んだことの一つに金融教育があった。キャリアセンターの職員に誘われ何の気もなしに受けたその授業に鳥肌が立った。「こんなに面白い授業なのに、学校では何故教えていないのだろうと思ったんです」。それでもその授業では専門用語が散見され、もっとわかりやすい言葉が必要なのでは、と感じてもいた。
それを実践するため、金融業界に身を置き、各地でセミナーを開催し、動員数も増やしていった。ただ、本当に金融教育が必要なのは生徒・学生たち。彼らにどう金融と接点を作ることができるのか。仲間たちと考えた末、生まれたアイデアが「金融リテラシー検定」だった。「一般社団法人金融財政事情研究会」とともにスタートし、自身もこの検定と社会がどう関連づくのかを研究するため大学に出向することとなった。「福井県は幸福度No.1であって、教育分野はずっと1位を獲得しています。そうした教育の土壌がありながら、そこには金融教育は入っていません。金融広報中央委員会が作成した金融リテラシー調査では、福井県は35位と低迷しています。研究する大学、地元の教育的価値観がきちんと組み合わさったら、もっとその順位は高まると思っています。自分の目標としては次の調査である2025年にはその順位を上げていくこと。そうなったとき、福井の活性化も高まるのではないでしょうか」。
金融の知識は経済分野における1丁目1番地。彼は教育でもなく文化でもなく、金融でまちづくりを担っていく。
(月刊URALA STYLE 8月号より抜粋)
日々URALAからのお知らせをLINEで受け取れます!