【気象予報士 二村千津子の風と雲】

永遠のテーマ、“あなた”に伝わる天気予報のために心がけていること|気象予報士 二村千津子の風と雲

2023/10/01

こんにちは。気象予報士の二村です。

ことしも残すところ3か月とは思えないような残暑で9月が終わりました。

今回は読者の方からの質問にお答えします。

福井市 むーさん より

「ニュースザウルスふくい、いつも見ていますよ〜 僕の周りはリアルタイムでテレビ見てる人が少ないけど、気象情報は「今」見ないといけませんからね。
さて、9月もお彼岸近いというのに日中のこの暑さ、そして最近多い記録的短時間大雨情報。10年に一度とか、50年に一度とか、感覚的には誰も思っていないと思います。毎年こんな感じが普通になっているというか。天気予報の伝え方も「この暑さは普通」となればいいと思うのですがいかがでしょう?
でもそれだと注意喚起にならないか。。。この暑さが当たり前になった時代に、お天気の伝え方について、二村さんが意識していることはありますか?これからもテレビ見ますので頑張ってください。」

番組をご覧いただいていてありがとうございます。気象情報はナマものなので、わたしも、見逃し配信で気象情報が流れるのは、正直、複雑です。(自分の予報に自信がないわけでは…ないですよ(笑))

そして、むーさんの質問、なかなか深いご質問です。
もしかするとむーさんのように、「ことしの暑さ」や「局地的な大雨」が10年に一度とか50年に一度とか、感覚的には誰も思っていないと思われている方も多くなってきたのかもしれません。これが普通のような。
一方で、わたしのまわりでは、「ことしはなんでこんなに暑かったの??」とか、「昔はこんな雨降ったことなかったがの~」という声が上がっています。実際に、ことしの夏は経験したことのない暑さだったという話は、前回のコラムでも少し触れましたが、9月も、その異例の暑さを引きずりました。

9月25日までの福井市の平均気温は26.7度で、これまでの1位の記録を1.5度ほど上回るダントツの1位でした。敦賀市は27.1度と、こちらもブッチ切りの1位。(※9月30日の時点で、値は確定します)

また、ことしの真夏日(最高気温30度以上)の日数は9月25日までに福井市は86日、敦賀市は76日とこれはいずれも過去最も多い日数となりました。

この暑さの影響で、熱中症とみられる症状で搬送された人の数は、9月17日までに644人に上り、統計が確認できる2011年以降、最も多くなりました。

このニュースは、わたしにとって、とてもショックなニュースでした。もちろん、わたしの呼びかけが、すべての人に伝わるなんてことは、思っていません。でも気持ちは目標熱中症ゼロです。番組でも何度も使ったフレーズです。

お天気の伝え方ですが、私が意識しているのは、「きょうと比べるとどうなのか」、「去年よりどうなのか」、「よくあることなのか、すごく珍しいことなのか」を織り込んでお話するようにしています。そうすると、それを受け止める皆さんが、「きょうの自分」を振り返って、「きょう、長袖で暑かったから、あしたは半袖にしょう」と、自分に合った行動をとれるかな…と思うからです。稲刈りのシーズンに、去年のこの時期より、かなり暑いよ、とお伝えすれば、去年でもバテちゃったから、ことしはもっと気を付けよう…など、イメージしやすいようにお伝え出来たらと思います。

暑さや寒さ大雨についても、できるだけ何か比較できることを交えてお話して、これからも聞いて下さる方が、「あの時自分はこうだったから、今度はこうしよう」と行動につながる伝え方を今後も心がけたいと思います。

むーさんの質問のお答えになりましたでしょうか?改めて伝える姿勢を思い出させてくださる質問をありがとうございました。

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※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。


二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ



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