2023/12/15
福井生まれではないけれど、福井における偉人伝にも数えられるかもしれない、そんな人物がいます。アメリカ生まれ、明治初期に日本にやってきた“御雇外国人”の一人、ウィリアム・エリオット・グリフィス。福井市にある「グリフィス記念館」は、まさしくグリフィスと福井市との交流を記念して復元されたもの。
何よりもグリフィスは、当時ニュージャージー州のラトガース大学にて、福井藩初の海外派遣留学生・日下部太郎との交流がありました。日下部太郎は“秀才”という言葉が似合う人物で、このラトガース大学でも常にトップの成績でした。しかし、貧しい生活の上、過度に勉強をして体を壊し、卒業2カ月前にこの世を去ります。しかし大学側も彼の優秀さを認め、アメリカの名誉団体である「ファイ・ベータ・カッパ協会」会員に推薦され、その証である金の鍵を授与されます。
亡くなった日下部太郎が受けた金の鍵、これを福井の父の元に届けたのがグリフィスなのです。運命的にグリフィスは福井藩にて化学と物理の教鞭を取ることになったのです。そのときに住んでいたのが「異人館」(グリフィス記念館の場所より150mほど東)でした。
約1年間の滞在でしたが、ここで“日本初”のイベントを開催するのです。それは「クリスマスパーティー」。このときは明治4年、西洋文化もまだまだ入っていない時代に、グリフィスはかつてアメリカで自身が経験したクリスマスパーティーを、地元の人たちと共に催したのです。プレゼントを入れる靴下の代わりに「足袋」を使い、日本にあるものを使って、教え子たちと共に楽しんだそうです。
そんなグリフィスの人生をたどる物語『幸福の足袋』は、苦悩しながら、それでも福井の人たちとの幸福感をかみしめたフィクションとともに描かれる、フィクションでありノンフィクションでもある物語です。
今年のクリスマスに是非読んでおきたい本ですね。
幸福の足袋
【定価】1650円
福井県内での販売は
勝木書店全店、TSUTAYA福井パリオ店、TSUTAYA武生店、福井大学生協
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