【気象予報士 二村千津子の風と雲】

雪の予報 里で降る?山で降る?天気図にヒントあり|気象予報士 二村千津子の風と雲

2024/01/01

あけましておめでとうございます。

気象予報士のふたむらです。今年もよろしくお願いします。

暖冬傾向と言われているこの冬ですが、先月、12月中にもたびたび強い寒気が流れこむタイミングがありました。1月、2月も一時的に雪を降らせる寒気が流れ込む可能性があります。

昔から福井に住んでいる方や、雪国出身の方は「山雪型」「里雪型」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?文字通り、「山雪型」は山で雪の量が多くなるパターン。「里雪型」は里でも雪がたくさん降るパターンです。
同じように雪を降らせる寒気が上空に流れ込んできても、どこで雪が強まるのかを予測するのはなかなか難しいのですが、天気図を見ると、山雪型か里雪型かを見極めるヒントがあります。

北陸地方など、日本海側で雪を降らせる典型的な気圧配置が西高東低の気圧配置。よく冬型の気圧配置と言われます。
西に高気圧、東に低気圧があって、日本付近は等圧線の間隔が狭く、縦じま模様になります。この気圧配置になると、大陸からの季節風が強まって、冷たい空気が日本に向かって吹き込みます。

この天気図のように、等圧線に歪みがない時は、ダイレクトに風が山にぶつかり雪雲が発達し、山間部で大雪になるパターンです。下の図は気象庁のホームページで解説されている山雪型の仕組みです。

では、次の天気図はどうでしょう。

山雪型ほど、日本付近にかかる等圧線の数は多くはありませんが、同じように西に高気圧、東に低気圧があり、西高東低の冬型の気圧配置です。そして日本海の部分に注目すると少し大陸側に凹んでいる部分が見られます。(黄色い線の部分)
等圧線というのは、気圧の等しい部分に線を引いているので、凹んでいる部分は周辺よりも高かったり、低かったりするわけですが、この場合、凹んでいる所は周りより気圧が低くなっているので、そこに空気が集まりやすくなります。
空気が集まると、行き場をなくした空気が上昇気流となって昇っていき、冷やされ雲になります。

また、この時は上空の強い寒気が山雪型に比べると南に下がる傾向にあります。つまり、この等圧線の凹みがあると、海上で雪雲が発達し、上空の寒気の影響も受けるため、山にぶつからなくても、雪雲が発達するので、平野部で大雪になることがあります。これが里雪型です。

天気予報で、平地でも雪を降らせる強い寒気が流れ込んできますよ、という時は予想天気図も確認してみてください。
「お、これは里でも雪が降るパターンだな」とわかると、気の引き締め方が変わるかもしれません。もちろん、上空の寒気の程度によっては、山も里も関係なくドカ雪になることはあるので、気象台からの情報にはしっかりと耳を傾けるようにしましょう。

里雪型の場合、さらに悩ましいのが、雪に変わるタイミングです。もちろん、上も下もキンキンに冷えていて、降れば確実に雪、という時もあるのですが、平地の雪は一筋縄ではいきません。ほんのわずかな気温や湿度の違いで、雨のままだったり、積もるほどにはならなかったり、と、“予想に反する”ことが多いです。

この表は、雪で降るか雨で降るか、みぞれで降るかを判別する目安です。例えば、気温が4度で湿度70%だと、ぎりぎり雨。でも、同じ湿度でも気温が少し低くなるとみぞれの域、一方、同じ4度でも湿度が少し下がれば、みぞれの域になります。とっても微妙な境界線があるのです。
里雪型の気圧配置で、上空には平地で雪を降らせる寒気が入っている、そして降り始めが雨、という時、一番、ドキドキするタイミングです。そうなると、もう地上の気温とにらめっこです。ただ経験的にですが、一つ言えるのは、気温が1度を下回ると降った雪がそのまま積もり出すということです。1月、2月、気温のベースが高いと、ますます難しくなる雪の予報ですが、天気図と気温などに注目すると、雪の奥深さを感じることができるかもしれません。

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※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。


二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ



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