【2/12】日本タンゴ界を牽引し続けるトップランナー、小松亮太がデビュー25周年記念コンサートを開催。

2024/02/01

1998年のデビュー以来、バンドネオンの第一人者として国内外で活躍する小松亮太さん。

2023年にデビュー25周年を迎え、同年秋に2タイトルのアルバムを同時リリース。2月12日(月・祝) に「ハーモニーホールふくい」でコンサートを控えている彼に、四半世紀を振り返っての想いや、タンゴをこれからどう伝えていきたいのか、お話をうかがった。


タンゴの本質を正しく伝えていくことが、僕のこれからの使命だと思っています。


――2023年にデビュー25周年を迎えましたが、この25年を振り返って思うことは?

そうですね。タンゴに出会って、バンドネオンの奏者として地球上で一番恵まれた存在だったと思います。両親ともにタンゴミュージシャンで、たまたまバンドネオンを手に入れて、それが僕に回ってきて始まった。これまで好きにやらせてもらえたし、恵まれた存在だったと思います。ただ、もう少しタンゴという音楽が身近に広まってくれていたらな、と思いますね。僕がデビューした頃に想像していた未来と違って、タンゴを楽しむ人、タンゴの本質を捉えている人はとても少なくなってしまった。これは、タンゴ界がもう少し外に向けてタンゴをアピールしていく必要があったと考えています。

――デビュー以来、国内外で活躍されていますが、この25年でタンゴを取り巻く環境に変化を感じることはありますか。

悪くいえば、タンゴの世界がよりニッチになってしまったということです。アルゼンチンタンゴの演奏者は、タンゴのコアなファンの方だけを向いて演奏していて、なんだか間違ったタンゴのイメージが定着してしまったというか……。これをなんとか変えて、タンゴの本質を正しく伝えていくことが僕のこれからの使命だと思っています。

でもね、良いこともあって、昔ながらの楽器職人は亡くなってしまったけど、若い楽器職人が出てきたんです。戦前あたりのドイツのバンドネオンと比べるとまだまだですが、最近の楽器を触るといいな~と。タンゴの伝承が完全に止まってしまったわけではないなと感じています。


――「間違ったタンゴのイメージが定着してしまった」とおしゃっていましたが、それはどういう意味なのでしょうか。

タンゴと聞いて「情熱的」「官能的」というイメージばかりが膨らんでしまって。ジャズやクラシックがこれだけ世界中の人に演奏されているのは、やはりその世界にいる人たちが外に向かって、「クラシックはこうですよ」「ジャズはこんな魅力があるんです」とアピールしてきたからなんです。タンゴは供給する側がそれをしてこなかった。マイナーな演奏者がマイナーなファン向けに発信して、よりマイナーな世界になってしまった。これは大きな問題だと僕は感じています。

――デビュー25周年を記念して、昨年9月にアルバムを2枚同時リリースされました。オールタイムベスト第2弾の『小松ジャパン第弐集』は前作に続き幕末のコスチュームですね? タンゴの世界を変えるという意図とか?

いやいや、スタイリストの人が持ってきた衣装で(笑)。前作の坂本龍馬も面白かったから、今回は土方歳三で行こうかと。レコード会社の方のアイデアです。毎回、タンゴがどうしたら売れるか、聴いてもらえるのかと考えているのですが、確かにこういうアイデアもありだなと思いました。

――全17曲を収録していますが、曲のセレクトはどう決められたのですか?

収録曲は信頼するレコード会社のスタッフが決めてくれました。タンゴって先ほども言いましたが「情熱的」「官能的」。または、2021年に僕も生誕100年を記念して全国ツアーを行ないましたが、アストル・ピアソラのイメージが非常に強すぎて。タンゴが売れすぎていた頃のイメージを払拭して、それでいてどうやったら売れるのか?って常に考えているので、この17曲はさすがに良い曲を選んでくれたなと感謝しています。

――アルバムを聴いてみて、いかがでしたか?

良いものを作ってきた自信はあったので、我ながら良い曲ばかりだなと。スタジオジブリの「風の通り道」や「さんぽ」、大貫妙子さんとの「Tango」や2005年に収録した「リベルタンゴ」も入っていますし、いつも側に置いていただけるような聴き応えのある内容です。精一杯やってきたなと感慨深い部分もありましたね。オーセンティックなタンゴ曲とポピュラー系トラックなのですが、日本のタンゴの巨匠である藤沢嵐子さん、志賀清さん、阿保郁夫さんとの曲も収録されています。タンゴのDNAが受け継がれていることを感じていただけたら嬉しいですね。

2023.09.27 ALBUM
小松ジャパン第弐集
The Greatest Hits of Ryota Komatsu volume2
SICC-39105 / 3000円(税抜)

次のページ→タンゴでアレンジしつつも、原曲のイメージを壊さないようにしました。

#エンタメ#コンサート#音楽

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