6年ぶり最新作「戦雲(いくさふむ)」。三上智恵監督が舞台挨拶|メトロ劇場で26日まで上映

2024/04/22

ドキュメンタリー映画「戦雲(いくさふむ)」の三上智恵監督が4月18日、舞台挨拶のためメトロ劇場(福井市)に登場。舞台挨拶の中で「豊かな自然や尊い文化、誇り高く生きている人たちのかけがえのないものが奪われ、足元から崩されようとしている。この作品を見た皆さんは目撃者であり、当事者。南西諸島だけでなく、日本列島全体がアメリカの防波堤となっている状況を現実として受け止めてほしい」などと訴えました。

三上監督は、自衛隊ミサイル部隊の配備や弾薬庫の大増設など、急速に軍事要塞化が進められている沖縄・南西諸島の状況について2015年から取材を続けてきました。その中で平和な暮らしを脅かされる島民の姿を本作では映し出しています。

「日本の国土で戦争してしまうことを政府も国民も許してしまっている。(作品を見て)当事者の一人として、望まない事態が進んでいることを目撃してほしい」と三上監督(写真右)

8年を費やした取材と1500時間に及ぶ膨大な映像資料をもとに制作した渾身のレポート。自身5作目となる今回の映画では、過酷な歴史を乗り越え、沖縄に生きる人々の暮らしぶりや豊かで美しい自然が何度も映し出されます。

舟を漕ぎ、競争する「ハーリー」と呼ばれる、沖縄の伝統行事を映した印象的なシーンについて、三上監督は「あの場面じゃなければ伝えられない大事なことがたくさんあった」と説明。ありふれた日常のすぐそばで着々と進む自衛隊の軍事拠点化や島民の避難計画などの動きが状況の不気味さを際立たせています。「誰も戦争なんてする気がないのに、戦争になるから島を出ていけと言われている人たちがいる」(三上監督)。

民意を置き去りにしたまま、なし崩し的に進む戦力配備の衝撃的な実態を伝えるとともに、全国の空港・港湾の軍事拠点化、兵站基地化が進められていることを指摘。「(作品を見て)一緒に目撃者になってほしい。観客というよりも、一人ひとりが当事者」と三上監督。「日本のどこかで戦争をしても仕方がない状況に直面している。その望まない事態がどこまで進んでいるかを目撃しに来てほしい」と言います。

今年3月に公開を開始した「戦雲」は三上監督にとって6年ぶりとなる最新作。メトロ劇場では4月26日までの上映予定となっています。

PROFILE/三上智恵(みかみ・ちえ)
映画監督、ジャーナリスト。1987年、アナウンサー職で毎日放送に入社。95年、琉球朝日放送の開局時に沖縄に移住。同局のローカルワイドニュース番組のメインキャスターを務めながら、沖縄の文化、自然、社会をテーマに多くのドキュメンタリー番組を制作。13年に映画版『標的の村』で映画監督デビュー。15年に『戦場ぬ止み』、17年に『標的の島 風かたか』、18年に『沖縄スパイ戦史』(大矢英代と共同監督)を発表。24年1月17日に「戦雲 要塞化する沖縄、島々の記録」(集英社新書)を上梓。

メトロ劇場
【住所】福井県福井市順化1-2-14
【電話】0776-22-1772
【HP】あり
【SNS】Twitter(メトロ劇場) Twitter(メトロ劇場 支配人)







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