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【~7/13】浮世絵の魅力を継承! カラフルで表現豊かな「新版画」の世界。福井市美術館で展覧会が開催中

近年、アート好きの間でちょっとしたブームを巻き起こしている「新版画」。浮世絵と同じ木版画でありながら、より芸術性の高い作品が多く、国内外で高い人気を誇っています。『福井市美術館』では、新版画の魅力を改めて紹介する展覧会が開催中です。会期は7月13日(日)まで。

川瀬巴水《旅みやげ第一集 若狭 久出の濱》1920年 渡邊木版美術画舗蔵

日本の伝統木版画といえば、江戸時代に爆発的に流行した浮世絵です。しかし、そんな庶民に愛された一大娯楽も近代化の波には抗えず、明治に入ると衰退の一途を辿りました。その中で、浮世絵の伝統を復興し、新時代にふさわしい新たな芸術に発展させようとする動きが起こります。こうして誕生したのが「新版画」でした。

チャールズ・W・バートレット《ホノルル漁夫》1919年 渡邊木版美術画舗蔵
新版画の版元・渡邊庄三郎は国籍を問わず、さまざまな画家をスカウトして下絵を依頼し、古い型に囚われない新たな芸術を生み出した

今展のタイトルに登場する渡邊庄三郎(1885-1962)は、新版画を提唱した人物。版元として絵師・彫師・摺師による伝統的な制作体制を継承しながら、新しい時代に受け入れられる木版画を模索しました。今回会場に並ぶのは、渡邊庄三郎が版元としてプロデュースした約180点の新版画です。

「展示される版画作品は初摺(最初に摺られる200枚前後)です。江戸時代の浮世絵は“とにかく速く大量に”と制作されたため、質の悪い後摺も少なくありません。対して、新版画は“質の良いものだけを世に出す”というこだわりのもと制作されていました。流通数がもともと少なく、震災や戦災で焼失してしまったものも多いため、状態の良い作品がまとまって一堂に会するのはとても貴重な機会です」と学芸員の前田さん。

遠近法など西洋画のエッセンスを取り入れ、高い木版画技術を惜しみなく使った美麗な画面にも注目。重ね摺り技術の向上により、浮世絵の時代には10色程度だった色数も30色以上に増えています。ちょうど『越前和紙の里美術館』では浮世絵の展覧会が開催中なので、両者観比べてみるのもおすすめですよ。

小早川清《舞踏》1934年 渡邊木版美術画舗蔵

東京・銀座の渡邊版画店(現・渡邊木版美術画舗)を中心に制作された新版画ですが、実は福井との意外な接点も。なんと作品のほぼ全てに、高級な越前和紙「越前生漉奉書(えちぜんきずきぼうしょ)」が使われているんです。

「庶民の娯楽だった浮世絵を、日本を代表する芸術作品として国内外に発信するにあたり選ばれたのがこの越前和紙でした。絵の具の発色が美しいだけでなく、時に何百回にもおよぶ重ね摺りに耐えうる耐久性があり、保存性も高い。伝統木版画を100年、200年先の未来まで残したいと考えていた渡邊庄三郎にとって、これ以上ない素材だったと思います」。(前田さん)

高橋弘明(松亭)《白猫》1926年 渡邊木版美術画舗蔵

美術館1階には「越前生漉奉書(えちぜんきずきぼうしょ)」についてより詳しく紹介する特設コーナーがあり、職人によって漉かれた実物を実際に触ることもできますよ。
また、6月22日(日)には渡邊庄三郎の孫にあたる渡邊章一郎氏(渡邊木版美術画舗代表取締役)によるギャラリートークも開催されます。その他、木版画の重ね摺りを体験できるコーナーなど、楽しくためになる催しが目白押し。ぜひ足を運んでみてくださいね。

THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦
【日程】2025/6/7(土)~7/13(日)
【会場】福井市美術館(福井県福井市下馬3-1111)
【電話】0776-33-2990
【時間】9:00~17:15(入館は16:45まで)
【休館日】毎週月曜
【料金】一般1200円、高校・大学生800円、小・中学生500円、未就学児無料
【HP】あり

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