【パルタージュ】

画家が感じた ParisとFukui

2019/09/06

『バルコニーの花』 ©Tomoko Iozaki

 画家・熊谷守一(1880〜1977年)の晩年を描いた映画「モリのいる場所」を見て彼の作品に関心を持つようになり、パリに戻る直前『熊谷守一記念館』を訪れた。
 彼の晩年の作品は、モチーフを直接見ながら描くのではなく、長い観察とデッサンをもとに、固有色にとらわれない自由な色面で構成されていて、大胆に単純化した構図に驚かされる。
(映画で見た)小さな森のような画家の住まいはもう存在していないが、一昨年訪れた「子規庵」に重なった。正岡子規もまた味わい深い作品を描いていて、自宅で多くの時間を過ごした人生は2人の共通点だと気がついた。
 守一の人生を象徴するように、映画の中で自宅の庭に寝転んでアリを眺めているシーンがあった。「アリは左の2番目の足から歩き出す」と語る彼は大きなアリを描いたが、効率を考えて生き急いでいる私にとってそのアリはとても小さいものに見えた。

画家/五百崎 智子
1971年、福井市生まれ。福井大学美術科、大学院で油絵を学ぶ。今年は6月から7月にかけて福井を拠点に京都や金沢、東京と移動しながら過ごした。約1ヶ月半ぶりに戻ったパリでは40度を超える猛暑に見舞われた日もあった。

#エンタメ#パルタージュ#連載

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