株式会社オームラの〝夢〟
“おくる心”が地域にあふれる社会を作り、まちに温もりを広げていく。
大村直央

別れの儀式を通して家族や地域の絆を深め、命の尊さを次世代へつなぐ。地域の精神的な安心を支える〝心のインフラ企業〟への挑戦。
100年の歴史を支えた心のバトン。
18歳のとき、父を見送った。ひとりの息子として迎えた通夜の日、大勢の弔問客が訪れ、感謝の言葉と共にその人柄を語ってくれた。病床の父からの最期の願いを受け、後を継ぐことは決めていた。だが、葬儀の本質に触れたのは、このときが初めてだった。
「葬儀は悼む場であると同時に、残された者の人生を支える時間でもあります。悲しみの中でも人は感謝を思い出し、家族は絆を再確認し、前を向く力を少しずつ取り戻していく。送ることは、命をつなぐことなのだと学びました」。当事者としての実体験が、大村社長の「〝おくる心〟が地域にあふれる社会を作りたい」という夢の原点になった。
この思いの根底には、1926年の創業から受け継がれる言葉がある。
「心のええ人になれ」
創業者の曾祖父・甫氏がお客様からかけられた言葉で、人に寄り添い、誠実に仕事と向き合う、同社の姿勢を象徴するものだ。祖父も父もこの言葉を体現するように事業を営んできた。「心の通った仕事でなければ届かないものがある。時代が変わっても、その大切さは変わらないと信じています」。規模や技術以上に心を重んじる精神が、4代にわたる事業のバトンをつなぎ、『オームラ』の社風を育む原動力になっている。
社長就任後は父が温めていた経営理念を軸に、社内に〝おくる心〟を浸透させ、全員が同じ方向を目指し、行動できる組織づくりに力を注いだ。遺族に向き合うとき、社員として、ひとりの人間としてどう接するべきか。心の軸を揃えることで、「心のええ人」がそれぞれの個性や能力を活かせる会社を作ろうとしている。
同社の取り組みは、葬儀の空間やサポートにも表れている。県内でいち早く納棺の儀や女性スタッフの配置、北陸初のエンバーミング導入など、専門葬儀社のパイオニアとして歩んできた同社は、時代に対応した小さなお葬式向けのホールも展開。「会場の雰囲気も含め、故人との距離の近さや時間の密度を大切に、本来の目的であるお別れの時間に集中できる葬儀を提案していければ」と語る大村社長。家族の思い出や故人の人生を振り返るヒアリングの時間を大切にし、思いを共有しながら、感謝や絆を見つめ直し、悲しみに区切りをつける時間を支えるグリーフケアにも力を入れている。
さらに、葬儀の前後だけでなく、高齢者の買い物代行や通院の付き添いなどの支援事業も開始。誰かと話すこと、頼れる存在がいることが、地域で生きる安心につながる。そうした一連の取り組みを通して、社会に〝心のインフラ〟を築こうとしている。
創業100年の節目を迎えた現在、夢の達成度は60%というが、ここからが本当の勝負だと大村社長は考えている。「短期的には2030年を目標に、地域の皆様からより大きな信頼とシェア率を得て、次の100年に向けた基盤を固めていきたい。その中で、多くの方に私たちの思いに触れていただき、命の尊さを次世代へつなぐ文化を育てていきたいと思っています」。
同社が発信する〝おくる心〟とは、想いを受け取り、次の世代へ手渡していく営みそのものだ。人を想い、心を込めて関わる。その連なりを地域に広げていくこと。大村社長の夢は社員の成長を原動力に、まちの風景そのものを温かく変えていこうとしている。
株式会社オームラ
【住所】福井市西木田3-4-33
【電話】0776-35-1253
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