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2019/09/27
福井市・東郷地区、堂田川のたもとにいる河童。季節に合わせた素敵な衣装を着ていることで近所ではちょっとした有名人だ。しかし、地域住民に聞いてみると「“衣装を着た河童がいる”という事実しか知らないんです」との声が多数。この河童、一体何者なのか。河童氏本人を直撃した。
――いきなりですが、河童さん、誰かに似ている、と言われませんか?
お気づきになりましたか? 実は私の父(作者)はあの“せんとくん”を生み出した彫刻家でして……。そのことを皆さんにお伝えすると「どこかで見た気がしてたんですよ。せんとくんにそっくりですね!」と納得されます。
――その衣装はご自身で?それとも誰かにお願いしているとか…?
実は、私には親しい“友人”がいまして、その人が作って着せてくれています。ただ、その正体が誰なのか、いつ着替えさせてもらっているかはお答えできません。友人はとても恥ずかしがり屋なんです。今回の取材の件も友人に話したのですが、「正体は絶対に明かさないでね」と言われています。内緒にしておく、と約束していますので、私と友人だけの「ひ・み・つ」ということでお願いします。
私と友人との出会いは20年ほど前。友人がこの地区に引っ越してきてからある年の冬、寒そうにしていることに気づいた友人は、私に手袋と帽子を用意してくれました。季節が移ろい夏になると、頭の皿が乾かないか心配して麦わら帽子を、手にはひまわりの花も持たせてくれましたよ。
――衣装はどんなバリエーションがありますか?
直近でいうと、梅雨明けからはひまわり、お盆明けからほおずきを持って、それに合わせた衣装を着ました。そうですね~、全部で20種類くらいあると聞いています。そうそう、9月半ばからのこのコスモスの衣装、実は友人はコスモスか柿かどちらにしようか迷っていたんです。しかし、「URALAの人が来てくれるなら写真映えする方にしようね」ということでコスモスにしたんですよ(笑)。
――衣装のこだわりについて、何か聞いていることはありますか?
「河童くんはお顔に特徴があるからか、派手なお花よりもさりげないお花の方が似合うと思うよ」と言っていましたね。手に持つ花も着る衣装も、私に似合うものにしてくれているみたいですよ。
それと、友人が私に衣装を着せてくれるのは、夏や冬の暑さ・寒さ対策以外に、地域の人やここを通る人を楽しませたいからなんです。「河童くんを見た人が思わずほほ笑んじゃうようなものを作りたいな」と言っていました。
――最後に、一言お願いします。
まず友人には、いつも素敵な衣装を着せてくれて本当にありがとうと言いたいですね。そりゃあ、初めの頃はちょっと照れ臭いなと思っていましたけど…。現在は月1回ほどのペースで衣装を替えてくれていますが、私自身も「今回はどんな衣装かな」と楽しみになっています。
この衣装は私たちの“友情の証”。これからも2人で皆さんを楽しませていきたいですね。
(日々ウララ編集部・三好)
『河童』(かっぱ)
1997年生まれ。堂田川の橋「ときへのかけはし」(福井県福井市東郷二ケ町)在住。父(作者)は彫刻家・籔内佐斗司氏。