【パルタージュ】

文豪・バルザックの家を訪ねて。

2019/10/12

『ロダンのバルザック像とラスパイユ大通り』 ©Tomoko Iozaki

 最近、前向きに展覧会を鑑賞するようになった娘と2人でパリ16区のパッシーにある「バルザックの家」を訪れた。そこは私が美術学生時代に住んでいた街で、バルザックが借金取りから逃れるために使ったというエピソードが残るベルトン通りの思い出などを懐かしみながら散策した。
 バルザック(19世紀の仏小説家)についてあらためて知り、ロダン作のバルザック像のことを思い出した。写実的にではなくバルザック自身を表現しようと、ロダンが試行錯誤し1年を費やしたその像は当時の人たちに受け入れられなかったが、私もバルザックの生々しい人間としての全体像が力強く表現されているのだと気が付いた。
「芸術の使命は自然を模写することではない。自然を表現することだ」というバルザックの短編小説「知られざる傑作」にある言葉の通り、2人に共通する「表現」に対する厳しい姿勢や、その喜びと楽しみこそが彼らの作品に生命を与えているのだろう。

画家/五百崎 智子
1971年、福井市生まれ。福井大学、大学院で油絵を勉強。卒業後、フランスのニース大学、パリ国立高等装飾美術学校で学ぶ。今月は、1つの作品を時間をかけて仕上げたロダンやバルザックに倣って、色や構図を数点試作して描いた。

#コラム#アート#連載

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