月刊ウララ10月号から“かなり見せ”企画!「What’s Hot?」

2019/10/17

発売中の月刊ウララ10月号「What’s Hot ?」から、今、気になる場所、モノ、ヒトをご紹介。

What’s Hot ?①]トンデモ図書室 伊藤堂

トンデモ図書室 伊藤堂

価値はアナタが決める。新たなコト消費の地。

一軒家にマンガや書籍が現在600冊。誰が入ってきてもいい。別に本を読まなくてもいい。くつろぐ場所として、みんなが好きなことをして集まる場所として誕生した“本がそばにある、民間コミュニティ施設”。

中心となる場があり、人が集まっていくことでコミュニティは生まれる。寺、寄り合い所、公民館、コミュニティセンター、街には集まる場所は存在していた。が、近年の社会環境の変化は、そのあり方にも変化をもたらしている。学生時代にコミュニティについて学んできた伊藤友香さんは自身も「家でもなく、学校でもない、図書館よりもゆるやかな場所」と、自分の居心地がいいコミュニティをどこかで探し求めていた。ただ、書店で働いていた経験、福井に戻ってきてから生まれた人のつながりから「自分ができるんじゃないか、って」。そして『トンデモ図書室 伊藤堂』は誕生した。「トンデモって付けると何か変わった場所なのか、って思ってくれるかと思って」。

事実、福井にはこれまでなかったもの。図書室といっても“有料図書室”であり、さらに料金も「お客さんの価値で値段を決めてもらえれば」。最近叫ばれているコト消費。ここはさらに一歩踏み込んだ、新たなコト消費。どう価値を感じられるかはアナタ次第。

トンデモ図書室 伊藤堂
【住所】福井県福井市小路町2-121
【時間】10:00~20:00(金~日曜営業)
【休日】月~木曜
【料金】20分以内100円程度、60分まで200円程度 ※2階の個人空間は10回利用カード5000円
【問い合わせ】メール
【HP】あり
【SNS】Twitter

What’s Hot ?②]龍新志 作

龍新志 作
1本4300円(税別)。現在は福井市の雑貨店『テリフリ』のみで取り扱っている

旨い街には旨い技術。構想10年の木べら。

「福井は旨い」。福井に来た人はみな口々にそう言う。海山川湖、素材の豊かさがこの街を形作る。

そして1500年という途方もない歴史の産業がある。人口当たりの伝統工芸品も全国的に高い。福井は一つのことを愚直に行ない続ける職人の街。 知り合いのシェフから「使いやすい木べらを作ってほしい」という要望があったとき、木に携わる仕事をする龍新志(たきしんじ)さんには一つの思いを具現化したい思いがあった。自身も料理をする。素材の豊かさも知っている。だからこそ「旨い街には旨い職人の技がある」と、伝えたかった。

使いやすい=機能的はもちろんのこと、それに「美しさ」も加味していった。職人は微に入り細に入り徹底する意識が強い。20にも及ぶ材料を購入し、一つひとつ試してみた。試作品を使ってもらい、その感想を聞いて回った。たった1ミリ、美的感覚からその1ミリを削るのを躊躇したこともあった。それ以上に使いやすさとは何かを問い続ける日々。納得いくものができたとき、10年の月日が経っていた。

もはや商品というよりも作品に近い。美しいシルエットは同種の木でひたすら磨き、硬度を高めていった。いい調理道具はいい素材と良く合う。料理がもう一段階上がる、そんな“作品”だ。

テリフリ
【住所】福井県福井市文京4-9-349
【電話】0776-76-5392
【時間】12:00~19:00
【休日】不定休
【駐車場】店正面のコインパーキング利用
【HP】あり

What’s Hot ?③]加藤友恵

加藤友恵

十七歳。将来の働き方は、芸妓とSEのダブルワーク。

幕が開いた瞬間、舞台の上の時代感がガラリと変わった。キラキラしながら舞う芸妓達の優雅さと迫力に引き込まれ、「これをやりたい!」と強烈に思った。2017年に初めて見た浜町芸妓温習会で、当時中学3年生だった彼女は、伝統芸能である芸妓の世界に魅了された。母親にも相談し、受験を終えると2018年春から浜町で芸妓の修業を始めた。

日々、福井高専でプログラミングなどIT分野の先端技術を学びつつ、放課後は家に直帰して三味線を触る。三味線の調子合わせはスマートフォンのアプリを活用。気がつくと数時間も練習していることもある。「将来はSEになりたい。できれば芸妓とのダブルワークをしたい。でも大きな企業でも働いてみたいので、就職先によっては福井を出るかもしれない」。
伝統芸能の継承というだけでなく、最上級のおもてなしができる芸妓が福井に存在することの重要性は大きい。10代の新人への期待は高まるものの、彼女には彼女の、選び取りたい人生がある。

芸妓とSE。両極端な分野を軽々と行き来するミレニアル世代の感覚や才能。それを生かせる新しい働き方が、福井でスタンダードになることを願う。

加藤友恵 一般社団法人 福井・浜町芸妓組合週末芸妓部一期生
2002年鯖江市生まれ。現在、福井高専の2年生としてプログラミング等の学業に励む傍ら、浜町の芸妓組合で長唄三味線や舞などの芸事を磨く。2019年6月末にフェニックス・プラザで開催された浜町芸妓温習会にて初舞台を踏んだ。趣味は御朱印集め




月刊ウララ10月号(582円+税)の巻頭特集は「アートってなんだ?」。 福井のアートを身近に感じられる一冊です。 エリア特集は、福井藩の城下町である宝永地区に焦点を置いた「宝永、江戸ストーリー。」。書店、コンビニで好評発売中。通信販売はこちらから。ぜひご覧ください。

#エンタメ#人物#月刊ウララ

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