2019/10/23
約130万冊の蔵書を誇る「福井県立図書館」(分館の「若狭図書学習センター」も合わせる)は、ここ数年、県民一人当たりの貸出冊数で全国TOPクラスを維持しています。一体なぜなのか?
■ ほぼ全ての県民が年間約1冊は借りる図書館
日本図書館協会(東京)が毎年発表する「都道府県図書館の統計」という数値によると、『福井県立図書館』は「県民一人当たりの本の貸出冊数」という項目において47都道府県中、常に上位にランクインしています。しかも数値は1.0冊前後。ほぼ全ての県民が年間約1冊は借りていることになります。
ここ数年のランキングは以下の通り。
2018年度 第2位 (2019年8月発表)
2017年度 第1位 0.973冊
2016年度 第1位 1.048冊
2015年度 第1位
2014年度 第1位
2013年度 第1位
2012年度 第1位
2012年度~2017年度まで、なんと6年連続1位。 今年発表された最新統計こそ第2位でしたが、1位となった高知県は昨年、高知県立図書館と市立図書館の複合施設が新たにオープンし、2施設を合算した統計となったためです。
さて本題ですが、ここまで上位をキープできる理由は何なのか? 数字上、“福井県民は読書・図書館が好き”ということになりますが、実際、県内すべての市町村に1つは図書館がありますし、1人当たりの本屋の数も多いというデータもあります。
このような県民性や、そもそも人口が少ないということはありますが、やはり大きな要因は“図書館そのものの魅力”のように思えます。
■ 建物としての魅力が大きい
設計は日本を代表する建築家の槇文彦さん。開放感のある高い天井に採光に優れた館内はとても快適で過ごしやすいと言えます。さらに車社会である福井になくてはならない広い駐車場。取材当日も平日にも関わらず、多くの車が停まっていました。
活字離れのこの時代、高齢者や子どもの利用率が高まりがちですが、県立図書館には幅広い世代が集います。実際、図書館に来ていた方に聞いてみました。
10代の学生は
「いつも勉強しに来ています。明るい空間で、図書館の周りになにもないのが逆に静かで集中できます。利用できる席数も多いのでうれしいですね」
と話せば、20代の方は
「写真を撮りに来ました。図書館裏の芝や木が個人的に好きで。秋は紅葉もきれいなんですよ」
どうやら外の植樹計画も含めた建物全体としての設計が足を運ぶきっかけになっているようです。
もちろん図書館としての機能も充実していて、誰もが使いやすいデザイン“ユニバーサルデザイン”にも配慮されています。自由に手に取れる本はすべて1階に置かれ、フロアにはほとんど段差はありません。本棚同士の間も車椅子が向き合って通れるようにとゆったりとしたスペースを確保しているそうです。
普段何気なく利用していますが、実はしっかりと配慮されていました。
そして『県立図書館』には、『県文書館』・『県ふるさと文学館』も併設しており、実際の古い資料や書物なども展示されています。深い歴史や文学にも触れつつ、一般図書も楽しむことができるという相乗効果もあるそうです。
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