【炎上エンジョイ!】

「お前ら小学生か」|ウーマンラッシュアワー村本大輔の炎上エンジョイ!

2019/10/31

ただでさえ仲の悪い日本と韓国がいまより一層悪くなってきてる。

ネットを開けば韓国の悪口をやたらみる。

日本を否定するようなことを発言すれば「お前は朝鮮人だろ」と言われる。

韓国で日本人の女の子が韓国人の男に暴行されたニュースが流れ、いま韓国に行くと危険だ、という風潮まで流れ日韓のお互いの観光客は激減した。僕はそんな時は常日頃、ウルトラマンと怪獣の足元にいる人たちが気になる。いつも大きなものがぶつかり合う時に足元で被害にあってる人たちだ。たとえば原発賛成反対のバトルは地元の街を犠牲にする。福島の事故があり福井の大飯原発は3ヶ月稼働停止になった。原発の作業員達で生活をしていた旅館や食堂はその間、収入がなくなる。潰れる店も出てくるという。

だから地元の彼らからすれば原発反対が怪獣だ。最近なんかは高浜町の元助役が関西電力に3億円近いワイロを渡していたことが発覚し、メディアで原発の街の深い闇というふうにとりあげられ、街には沢山の記者が原発の関係者に取材で彼らが訪れる地元の居酒屋に張ってるせいで原発の関係者達がなかなか飲みに外にでれず、飲食店の売り上げもガッと落ちてるらしい。沖縄の基地反対賛成もそうで、米軍の兵士が犯罪を犯した時に米軍は基地から外出禁止令が出る。その米兵目当ての飲み屋は軒並み収入がなくなる。基地がなくなると地獄、あるせいで地獄、立場によって違う。韓国と日本のけんかも、お互いの政治家達がやり合い、互いの右翼達が、そうだそうだ、と煽りまくる。数字が取れるからメディアも同調する。これがウルトラマンと怪獣の戦いだ、その足元で踏み潰されてる人たちは、例えば日韓の互いの観光客で商売をしている人たち、彼らは売り上げが全くなくなり、いま生活が大変だと聞く。あとは日本に住む在日韓国朝鮮人、韓国に住む在韓の日本人達だ。彼らが差別をされ住みにくくなってる。特に在日朝鮮人韓国人なんかはルーツが朝鮮なだけで生まれは日本なので韓国に帰れと言われても言葉も話せない。ウルトラマンと怪獣が戦う時に足元にいる人たちはなかなかメディアでも取り上げられない。テレビのコメンテーターたちはウルトラマンや怪獣の行動ばかりを分析しお茶の間に説明する。犠牲を取り上げない。

日本と韓国の喧嘩を見てて思うのが日本のコメンテーターや大人たちはいつも日本政府の発表、日本のメディアから流れてきたニュースばかりを信じる。最近、仲良くなった女の子が、こんなことを話していた。「わたしはお母さんと仲良し、お父さんとはあまり口を聞かない、いつもお母さんからお父さんの嫌なことばかりを聞くから、お父さんが少し嫌いになってる。でもよく考えたらお父さんからはその話を聞いてない」と。日本人は北朝鮮や韓国のことを、日本のニュースでしか聞いてない、韓国にいま日本人が行けば危険なんだよ、とは言われるけど、そう言えば自分で確認はしてない。「らしいよ」は聞くけど、それはその女友達でいうところの、お母さんからの話ばかりだ。だから僕は韓国に行くことにした。しかし韓国に行く、とSNSに書いたら叩かれた。「お前はどっちの国の人間だ」「いかなくていい」などと言われた。よく日本のアイドルの子たちがいま韓国の音楽がブームで、SNSで「韓国が好きと言えない雰囲気がある」と聞いたことがある。まさにこれがそれか、と実感した。そしてわかったことは「韓国が危なかろうが安全だろうが韓国に日本人を行かせたくない人たちがいる」ということ。さらに言うと「韓国を好きだと言う発言を、おれたちの邪魔をするな」と思ってる人たちがいると言うこと。個人の自由を、自分の偏った思想で邪魔してくるやつらがいる、ということだ。

最近、よく子供の頃の記憶を思い出す。

あれは小学校4年か5年生ぐらいの時だった。うちのクラスの人気者のA君が隣のクラスのB君とけんかしたらしくA君は自分のクラスの仲間達にB君に「あんなことされたこんなことされた」と言ってまわっていた。

普段から彼は性格も良くクラスのリーダー的存在で、その信頼のあるA君の話を疑うものはいなくてすぐにクラス中に「Bくんて最低らしいよ」という噂が広まった。僕は実際にA君とB君がけんかしてるところはみてなくて、又聞きしたクラスメイトからの話だったので「そうなんだ、おれはみてないからなんとも言えないけど」と話すとA君まわりの同級生から「A君が嘘ついてると言うのか!」と急に怒鳴られた。

子供の時から「自分が強く信じてるものを疑われると不安になり、それが怖さになり、そこからの怒りに変わる人たち」が一定数いる。俺の女友達でいうところの「お母さんから聞くお父さんの話」日本人で韓国批判する人たちからすると「信じてる人から学んだ歴史や、信じてる新聞やニュース」だ。

隣のクラスのBくんはBくんで自分のクラスにAくんにこんなことされたと広め、Bくんもクラスでの人気者だったのですぐにその話は広まり、いつしかうちのクラスとBくんのクラスでちょっとしたいざこざが起きた。

廊下ですれ違っても無視。それどころかうちのクラスの生徒が隣のクラスの教室の前を通ると消しゴムのカス投げられたっという子もいたらしい。しかしクラスの中心のA君とそのまわりメンバー、B君とそのまわりのメンバーはどんどん過激になっていたがそれ以外のクラスメイトはあまりそれに関心がなかった。

僕は通学路がBくんと同じだったのでBくんサイドからケンカをした真相も聞いていた。しかしそれはお互いが自分たちの都合のいいことを、自分都合に、話していた。それをクラスメイトに話すと「お前どっちの味方なんだよ」と怒られた。事実より、どっちの味方かが気になる彼らのことが不思議だった。毎日のようにうちのクラスの生徒は隣のクラスの生徒に睨まれたーとブチ切れながら教室で騒いでいた。

ある日、僕がB君のクラスメイトと一緒に帰るところを誰かに見られ翌日学校で「なんであいつらと一緒に帰った?」「スパイじゃないのか」「あっちのクラスにいけ」「あなたはどっちの味方なの?」と責められた。おれは正直どっちの味方でもないので「いやおれ睨まれたこともないし隣のクラスで仲良しもいるからいいやつたくさんいるよ」と話すと、「なんでクラスのみんなを敵に回すようなことを言うの?」と言われた。

長く続いたその喧嘩はある日、突然、終わりを迎えた。それはうちのクラスメイトが隣のクラスの生徒を廊下で足を引っ掛けたらしく、その一週間後に隣のクラスの生徒がうちのクラスの育ててるひまわりを倒した。先生が2人に理由を聞くと2人共が「先にやってきたのはこいつら」「いや先お前らやん」「いやいや先お前らやん」が続きその時の学年主任の先生の怒りが限界を迎え廊下に響く声で「お前ら小学生か!!!」と。

あたりは静まり返り、その場にいたある冷静な生徒が「はい」と答え先生はその瞬間に自分のミスに気付き、顔が真っ赤になり生徒達は皆、下を向き必死に笑いをこらえた。

先生のミスからAとBも爆笑しけんかなんかどうでもよくなった。 しかしその後も僕をスパイとあだ名のように呼ぶやつもいた。それを利用して中学の時、修学旅行のバスの中のカラオケで槇原敬之のスパイを歌い爆笑をとったのを覚えてる。

いまあの時の小学生たちのように「韓国に行くのは危ないらしいよ」「友達が韓国で危険な目にあったから行かない方がいいらしいよ」「韓国好きだった友達がもう韓国嫌いって言って帰ってきたよ」という人たちがいる。

僕はあの時の同じように、いまだからこそクラスメイトたちの言葉を信じるのではなく自分で韓国を見てみたい。それは韓国が危ない国だとか日本人が嫌いだとかそんなことよりも「僕は何を考えるのか」が知りたい。その収穫は十分にあった。

まず韓国に行きソウルに行った。ソウルの街中を歩いてると後ろから肩をぶつけられた、僕は日本人だからか、日本語を話してる声を聞かれたから、日本が嫌いな韓国人が、俺の肩にぶつかってきた、と、ゾッとした。そのぶつかった40歳ぐらいの男性はクルッとこっちを振り返り「すいません」と日本語で話し「あ、村本さん!」と声をかけられた。旅行で遊びに来てる日本人だった。

僕は考えた、もし彼が謝らなかったら僕は韓国人だと思って、日本でそのことを話していたかもしれない、ということは僕はいま「日本人は嫌われてる、のか?」と薄っすらドキドキしながら歩いていた、とバイアスをかけながら韓国を歩く自分に気づけた。

韓国で独演会をやることになり、日本から独演会ついでに韓国を知りたいといって日本人の僕のファンという人たちも韓国に来ていた、その子はタクシーの中で日本人だと気付かれて、日本の歌謡曲を流してくれたらしく、日本大好きよ、こんな時に来てくれてありがとう」と言われたらしい。一回、ツイッターで韓国にくるまえに「タクシーで日本人てバレて怖い目にあった」というツイッターがバズってたが、全然違う経験ができた。駅で僕と後輩が迷っていたら、韓国人のおじさんが飛んできてチケットの買い方から乗り場まで案内して最後に大手を振って見送ってくれた。しかし街中では「日本は出て行け」のポスターもあった。韓国で知り合った女の子は韓国の田舎でおばあさんに、一緒にいた友達が日本人だということでツバをかけられたといっていた。

沖縄で戦争を経験したお年寄りがアメリカ人にツバを吐いたという話を聞いたことがある。

彼らを責められない。彼らは歴史の被害者だ。人種で殺し合いをしていた時を知ってる人たちだ。国が離れても人で繋がれる。

いま国と同化した人たちが人まで分離しようとする。あの時の同級生たちのように。そして、僕が韓国に行って思ったことは、「そう僕は感じた」ということだ。日本人のことを好きと感じた、嫌いと感じた、歴史のせいだと感じた。僕はそう感じた、だけでしかない話。

大人になってから同級生と一度飲んだ時にあの頃のけんかしてた隣のクラスのやつも呼んだ。お互いの話は「そう感じてた」だけだった。相手はあの時睨んでもいないと言っていた。そして友達は睨まれたように感じたと言っていた。

そう感じるのは事実ではない。それを彼らに話すと返す刀で、彼らに「それでいうと大輔がカラオケで歌ってた槇原敬之、そんなまわりウケてなかったで」と言われた。

ぼくもそう感じていただけだった。。

いま日本と韓国で「危ないらしいよ」の空気を作るやつ、彼らは「らしいよ」を信用させ「らしいよ」をふりまき、らしいよを感染させる。韓国で日本人の女性に出会った、彼女は、韓国人の彼氏がいる、いまの日韓の状況をみて両親は彼らの結婚を反対してるといっていた。誰かの「韓国危ないらしいよ」はこの恋人の運命までも変えようとしている。こんなウルトラマンと怪獣の足元で犠牲になる日韓のカップルの痛みを無視する大人たちに今こそ担任の先生にでてきてもらって「お前ら小学生か!」と言ってほしい。

村本大輔(むらもとだいすけ)
福井県おおい町出身。2008年位結成したお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」のボケ担当。賛否両論のコラム「炎上エンジョイ」は、日々URALAにて継続することが決定! ツイッター



日々URALAからのお知らせをLINEで受け取れます!

#コラム#連載

  • ツイートするツイートする
  • シェアするシェアする
  • 送信する送信する