2019/11/18
第一回目は「挑戦です!」のCMでお馴染みの啓新高校(福井市)の理事長兼校長の荻原昭人さん。同校の顔として広く知られる人であり、自他ともに認める熱血漢ですが、果たして、どのような経歴なのでしょうか? プライベートでも熱いのでしょうか? 気になるいろんなことをお聞きしました。
<プロフィール>
荻原昭人(おぎはら・あきひと)
学校法人 福井精華学園 啓新高等学校 理事長・校長
1966年10月3日、福井市生まれ
高校卒業後、京都の大学に進学(教育系)。大学卒業後、日華化学株式会社に入社し、総務部と営業部(東京支社)に在籍。1993年に同社を退社、父が校長を務める啓新高校に就職、教頭となる。2006年に校長、2009年に理事長も兼務。現在に至る。
ザリガニ、プロレス、剣道漬けの少年時代。
――いつも“パワフル全開”のイメージですが、子どもの頃からでしょうか?
小学生の頃はやんちゃで、勉強はあまり好きではなかったですね。でも学校は大好きで、友達も多くて。友達と一緒に用水路に入って、ザリガニやカエル、おたまじゃくしとかもたくさん獲りましたねぇ… 何が面白かったのか、今となっては不思議です。
――中学時代はどうだったのですか?
プロレスが流行ってて、皆でプロレスごっこですよ。窓の桟をリングのロープに見立てて、そこからジャ~ンプ! 掃除の時間には、手ぬぐいを丸めたボールで野球をしたりして。勢いあまって、窓ガラスを割ってしまうことも結構ありました。「また荻原かぁ~」と、よく怒られていました。全部が全部、私が割ったわけじゃないんですけどね。
―― 当時は、今と違って厳しい指導がよく見受けられた時代でした。
そうですね。ある時、教室で雪合戦をしていたら、当然ながらひっでもんに怒られました。
――今なら絶対、ありえない光景ですね……。
確かにそう。でも、今振り返ってみると、何度怒られても、学校は楽しかったし、面白かった。個性的なヤツが何人もいたし、今もその仲間とはつながっています。
――高校時代はいかがでしたか?
剣道一色。クラスメイトよりも、部活動での付き合いが多かったと思います。善い仲間にも恵まれましたが、やはり先輩の存在は大きかったですね。いろいろありましたから。
――いろいろと言いますと?
稽古前の準備や後片付け、道着を洗ったり、小手を乾かしたり、……先輩のために下級生はいろいろやることがあったし、やらなきゃいけなかった。当時の先輩は高校生とは思えないくらい大人びていて、威厳や怖さがありましたね。今の高校3年生なんかはかわいいもんですよ。
――練習自体も厳しかったようですね。
「水を飲むな」が基本。面を外さず、休憩なしの練習なんてザラ。今の常識では、絶対にあり得ないことですね。同期で励まし合いながら頑張ってました。
―― 厳しくとも剣道そのものは好きだったんですよね?
どうですかね……とにかく毎日必死でやっていた感じですね。でも、3年間続けたおかげでいろんなことを学びましたし、先輩にはある意味で感謝しています。
―― 大学は教育学を専攻。選んだ理由は、実家が学校だったからですか?
最初は、学校を継ぐなんてほとんど考えてなくて、「就職、どうすっかなぁ~」くらいの軽さでした。それに父は、「継ぎたくないヤツに、継いでほしくない」と言っていたのを知っていましたから。でも、大学4年の頃、父と将来のことを話す機会があって、自分は何がしたいのか? 改めて自分や家のこと、父、祖父のことを見つめ直したんです。そこで、「後を継ごうかな」って。
――何だか、軽すぎませんか?(笑)
いや、純粋な気持ち! 1927年に祖父が使命感をもって創立・開校して、父が受け継いで60年以上。学校経営には、そこまでしてやる“魅力的なモノ”があると確信したんです。だから自分でやろうと決めました。
――大学卒業後は、すぐに学校の経営に携わるようになったのですか?
いいえ。父から「学校の世界は特殊で、どうしても視野や考え方が狭くなりがちだから、別の世界を見てから入ったほうが良い」とのアドバイスがありました。そこで、父とご縁があり、ご近所だった『日華化学株式会社』さんにお世話になることになりました。
――配属先はどちらに?
会社の仕組みや経営を学ぶということで総務部へ。でも、入社1週間後に開かれた新人歓迎会の帰り道でのこと。上司から突然、「荻原君、次は何をやってみたい?」と聞かれまして……。
―― 歓迎会の帰りとはいえ、上司と一緒ならまだまだ緊張気味。なのに、そのような質問をされて困ったのではないですか?
そう! 何も始まってもないのに、もう次って何?みたいな。思わず、「人と関われる営業ですかね……機会があればやってみたいです!」と答えていました。その結果、2ケ月後、上司から突然、「営業に人が足りないから、行ってくれ!」と。あの夜の答えが人事部に伝わっての結果です。もう、ビックリですよ。
(次ページへつづく)
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