日々URALA(ウララ)

福井でラグビーの魅力を伝えたい! 「福井女子闘球倶楽部」の”ラガール”石渡汐織さん

先日開催されたラグビーワールドカップ。日本代表が史上初の決勝トーナメント進出を果たし、大盛り上がりでしたよね! 今でも“ラグビー熱”が冷めていない人も多いのではないでしょうか?

ここ福井にも、ラグビー界を盛り上げる人たちがいます! 「福井女子闘球倶楽部」という“ラガール”たちのチームです。ラガールとは、ラグビーをする人“ラガー”と女の子を意味する“ガール”を合わせた言葉、つまりラグビーをする女性のこと! 昨年の福井国体に出場し、見事6位入賞した県の代表チームが今年NPO法人化され、新たに生まれ変わりました。

福井女子闘球倶楽部
この日集まったメンバーは大学1年生~28歳の社会人。年齢差を感じさせないくらい仲良しです!
練習中の一コマ。練習といえど果敢に立ち向かいます
「盛れるアプリで撮ってください!」と女の子らしい一面も♡

しかし、ほんの数年前まで、福井には女子ラグビーの選手は1人もいないという状況でした。そこに女子ラグビーを持ち込んだのが、愛知県出身の石渡汐織さん(22)です。

ラグビーが人生を変えた。

石渡汐織さん

――女子ラグビーって珍しいですよね。ラグビーを始めたのはいつですか?

高校からです。諸事情で辞めてしまった競泳に代わって打ち込めるものを探していた頃、強豪ラグビー部に所属する兄に誘われたことがきっかけでした。愛知で歴史のある女子ラグビーチーム「名古屋レディースR.F.C」(以下、名古屋レディース)に所属しながら、平日は家の近くの高校の男子ラグビー部に混ざって練習。“女子だから”と気を遣わないでほしいと思っているのに、男子たちは気を遣って本気でぶつかってきてくれないことが悩みでした。

――愛知県には女子ラグビー部のある高校はなかったんですか?

今は何校かありますが、当時はゼロでした。練習環境が整っていないこともあって、次第に “女子ラグビーをもっと広めたい!”と思うようになりました。そして、将来 “指導者”や“教員”になりたいな、と思いました。それまでは警察官になりたかったのに、ラグビーがきっかけで将来の夢まで変わってしまいました(笑)。

――石渡さんは福井大学の出身ですよね。愛知にも教育学部のある大学はたくさんあるのに、どうして福井を選んだのですか?

せっかく魅力を知ってもらう活動をするなら、女子ラグビーなんて誰も知らないような場所で挑戦してみたかったんです。その一方で、大好きな名古屋レディースを離れたくないという気持ちもありました。そこで、

  1. 教員養成系の大学がある
  2. 女子ラグビーの選手が1人もいない
  3. 名古屋レディースに所属し続けるため、いつでも愛知に帰れる距離

という条件に当てはまる県に行こうと考えました。 そして、これに当てはまったのが福井県。体育の教員になるため、福井大学へ進学しました。

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そんなつもりはなかった…のに、国体メンバーに!

――福井に来てからはどうされたんですか?

私が通う、文京キャンパスには男子のラグビー部もなかったので、松岡キャンパスのラグビー部の練習に混ぜてもらうことにしました。自分で連絡を取り練習場へ行ってみると出迎えてくれたコーチに「汐織ちゃんが来てくれるのを待ってたんだよ! 会ってほしい人がいるんだけど、今晩空いてる?」って、いきなり言われました(笑)。入学式もまだなのに「待ってた」ってどういうこと? 何で私のこと知ってるの? といろいろ疑問はありましたが、とりあえず練習後にコーチに言われて焼肉に行きました。そこにいたのが「福井県ラグビーフットボール協会」(以下、ラグビー協会)の当時の理事長でした。

――ラグビー協会の理事長が登場するなんて、思ってもみない展開ですね。

焼肉の席でいまいちピンときていない私に理事長は、「3年後の2018年開催の福井国体に向けて女子ラグビーのチームを作りたいんだけど、その中心となってくれない?」と言いました。
でも私の答えはNO。多くの人に女子ラグビーの魅力を知ってほしくて福井に来たとはいえ、私にとっての本拠地は名古屋レディースです。福井での活動は大学4年間だけの予定だし、福井県代表で国体に出場する気はまったくありませんでした。

――その後どうなったんですか?

1カ月ほど過ぎ、ラグビー部恒例の新入生歓迎試合や新入生歓迎会が行なわれていた頃、理事長と再び食事をする機会がありました。そこで自分が福井でやりたいことを話すうちに、福井国体が行なわれる2018年は自分が大学4年生になる年だということに気づいたんです。“女子ラグビーの魅力を大学の4年間で伝えたい、という私の思いと、国体に向けてチームを作りたい理事長の思いって一致しているのかも!”そう思い覚悟を決め「私、やります!」とその場で返事をしていました。 その後、理事長と話をして、たくさんの人が集まる大学という場で、部活動として活動していくことに決め、「福井大学女子ラグビー部」を創設し、メンバーを集めることになりました。

仲間との出会い、そして最高の舞台へ。

提供:石渡汐織さん

――メンバーはどうやって集めましたか?

同じ学部の友達など、新生活で出会ったたくさんの子に声をかけました。部員集めの時のキーパーソンとなるのが大学の寮の同期だった大堀朱音さんです。恵まれた体格の彼女はラグビーに向いていると確信。しかも同じ愛知県出身で親近感もわきました。“これは誘うしかない!”と思い、3日連続で彼女の部屋まで行って、3時間にわたって、ラグビーがいかに楽しいか、彼女にはどんなポジションが向いているか、紙とペンを持って説明しました。今考えたらちょっとしつこいですよね(笑)。でもそれくらい、私にとって彼女は魅力的でした。3日目の夜なんて、半分呆れていたのか、寝転んでマンガを読みながら私の話を聞いていましたよ(笑)。

――大堀さん、なかなかその気になってくれなかったんですね。

高校時代の部活でじん帯を切る大ケガを2回も経験していたのが大きかったんじゃないかと思います。私も“彼女がまたケガをすることになったらどうしよう”という不安もあったんです。でもある夜、寮の廊下で会ったとき、彼女は私の顔を見て、

「汐織、私ラグビーやるわ」

と言い残し出かけていきました。あんなに乗り気じゃなかった彼女がラグビーをやると言ってくれて本当にびっくりしました! 一瞬、信じられなかったです!

大堀さん(左)とは、スパイクをお揃いにするほど仲良しに! 2人は友達であり、同志です 提供:石渡汐織さん

――大堀さんが2人目のメンバーになったんですね! 他のメンバーはどのようにしてチームに入ったんですか?

同じ頃、ラグビー協会が県と協力し、膨大なデータの中から福井のラガールとして活躍してくれる選手を探して、一緒に国体を目指すことになりました。
2年経って、ラグビーができる人数は集まりましたがそのほとんどは未経験者。1年後に迫る国体で他県のチームと戦えるレベルになるため、授業の後にグラウンドに向かったり、休日は遠征に行ったりと、ラグビー漬けの日々を送りました。教育実習や教員採用試験の勉強もあったので、本当にハードでした。

――そして迎えた福井国体。振り返ってみてどんな大会でしたか?

大成功でした! 「未経験者の集団がたった数年でこんなに強くなるはずがないのに!」とラグビー関係者が驚くほどの快進撃で決勝トーナメント進出! 目標の5位には届かなかったけれど、6位入賞で、たくさんの方が「おめでとう!」と言ってくれました。大好きな仲間たちと大好きなラグビーができ、幸せな時間でした。特に、大堀から「ラグビーをやっていてよかった」という言葉を聞けた時は胸が熱くなりました。

提供:石渡汐織さん

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「子どもたちの選択肢を増やしたい」。 現在の思い

――国体が終わり、今年3月に大学を卒業。福井での活動は大学在学中だけの予定だったのに、どうして福井に残ることにしたんですか?

大学4年になり、そして国体が終わって、将来について考えたときに、“まだラグビー人口の少ない福井でその魅力を多くの人に伝えられるのは、福井の女子ラグビーの歴史を最初から知っている私しかいないな”って思ったんです。それに、お世話になった理事長やラグビー関係者、そして福井県に恩返しがしたくてここに残ろう、と決めました。

――現在はどのようにラグビーと関わっていますか?

福井のチームと地元の名古屋レディースに所属し続け、現役選手として活動していますよ! また、勤務先の小学校の4~6年生が参加するクラブ活動の時間にラグビーを指導することもあります。児童たちも“石渡先生=ラグビー”と認識してくれているみたいです。休日は福井市内の小学生が参加するジュニアラグビーチームを指導しています。

クラブ活動で指導する石渡さん。子どもたちはラグビーに興味津々!

――現役の選手、小学校教諭、ジュニアチームの指導者とさまざまな立場でラグビーに関わる石渡さん。今後の目標を教えてください!

ワールドカップの影響で「ラグビーをやりたい」と言う子が増えてきました。でも、今の福井にはラグビーを満足にさせてあげられる環境がないんです。やってみたい思った時に競技ができる環境を作ることで、子どもたちの選択肢を増やしてあげることが私の役割だと思っています。また、教員である私が現役で頑張る姿を見せることで、“ラグビーって面白そう!”と言ってくれる子が増えたらうれしいです。そして将来は福井初の、女子ラグビーを指導する女性の指導者として、ずっと福井でラグビーと関わっていたいです!

〈プロフィール〉
石渡汐織 (いしわたり・しおり)
1996年12月8日生まれ。愛知県春日井市出身。 2019年3月、福井大学を卒業。4月より福井市内の小学校に勤務し、2年生のクラスを受け持つ。昨年の福井国体では女子ラグビーの福井県代表として活躍。現在も現役でプレーする“ラガール”。

石渡さんの所属する「福井女子闘球倶楽部」ではメンバーを随時募集中! 年齢制限はなく、小学生も所属しているそうですよ! ラガールの仲間入りをしたい女の子は一歩踏み出してみて! チームのFacebookも要チェック!

(日々ウララ編集部・三好)



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