【炎上エンジョイ!】

コロナから知ること|ウーマンラッシュアワー村本大輔の炎上エンジョイ!

2020/03/30

村本大輔

今日、夕方、近所のカフェに行ってコーヒーを飲んでいたら隣の席の男性が会計の時にバイトの女の子に向かって「今週、土日開けるの?」と聞いた。その女の子は「はい、開けます」と答えた。するとその客は「は? なにやってんの? 小池都知事が不要不急の外出禁止って言ってたろ!?」と大きな声で怒りだした。僕は「でたっ!」と、その近くにサササッと近寄って盗み聞きをした。男性客は「あのさ、バカなんじゃないの? 民度疑われるよ!!! 店、閉めた方がいいんじゃない?!」と説教をされていた。彼女は「そうですね、はい、はい、勉強になります」と平謝りをしていた。おれは思った、不安になると、人は不安から怒り、怒りから一寸先がみえなくなる。彼女はバイト、彼女にいってもしょうがない。そしてクレーマーとは店に電話したりバイトに行ったり絶対言い返さない相手を選んでクレームをいれる。言い返せば店の評判を落とすようなことをSNSに書く、ねちっこい執着心の塊だ。クレームを入れられてた、彼女と話した、彼女たちにも生活がある、店を開けたらコロナにかかるかもしれない、店を閉めると彼女たちの給料が払えず、首にしないといけないかもしれない。彼女たちも生活がある。すべてがウーバーイーツできる店ではない。飲食店やホテル、タクシー、屋形船、人力車などは大変だ。前にタクシー乗ったらおじいちゃんのドライバーでマスクをしてなかった、マスクは?と聞いたら会社から支給されてる分も自分の分も在庫が切れてしもうた、と言っていた。彼らもただでさえ客が少ない中、休むと生活ができなくなる。せめて換気のためタクシーの窓開ければいいじゃないですか? と聞いた、すると、それを決めるのはお客さんなので、我々としてはこちらから開けると失礼ですし、それでクレームも来ます、と言われた。この時期、おじいちゃんの運転手はマスクもなく、換気もできず、乗ってくるお客さんの誰がそれを持ってるかが怖いと。それはもうロシアンルーレット。コロナで色々わかった。


人は不安から怒りに変わり、思考停止し2つしか選択しなくなる。それは自粛するべきではない、か、自粛するべきだ、かだ。例えば、コロナがこれ以上蔓延しないために、自宅から出ちゃダメ、と不安になる人たち。もう1つは自宅にいても仕事にならない、仕事にならないと、家賃や光熱費が払えず仕事を、無理やりでもしないといけない人たちだ。彼らは自粛されると客が来なくなり、店は潰れる。


原発のことでも感情的な人たちは、いますぐなくすべきか必要かでぶつかり合う、しかしそこに住んでる人たちはその原発の作業員で街が潤ってる一面もある。作業員は旅館に泊まり、居酒屋でお金を落としてくれる。だから急になくなると彼らの仕事がなくなる。ありかなしか、自粛も同じでだれかを犠牲にしてる。普段犠牲にしてる側は犠牲に鈍感だ。普段から当たり前に様々なものを犠牲にしてるのでそこに罪悪感がなくなってる。政府が強制で外出禁止にしたらいい、しかしそれはしない、それをすると、補償の話になるから、そこはギリギリまでしない、だからグレーな言葉で、個人的にやらせる。この前、22歳の女の子が今回のことがあって初めて政治に興味が出た、自分の命をこういうときに守ってもらう政治家はちゃんと選ばないといけないと思ったと言っていた。コロナのせいでひどいこともあるけど誰かを目覚めさせるきっかけになってる。

村本大輔(むらもとだいすけ)
福井県おおい町出身。2008年位結成したお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」のボケ担当。賛否両論のコラム「炎上エンジョイ」は、日々URALAにて継続することが決定! ツイッター


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