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【麺 to the future|宗近製麺】
2020/07/09
“麺のプロ”宗近鉄也さんがお送りする麺好きのための連載「麺 to the future」。
前回の連載から早3カ月。その間、新型コロナウィルス感染が猛威をふるい、今なお不安が続いています。終息が見えない状況ではありますが、宗近さんの美味しいそばや麺の話で、少しでも楽しく幸せ、時々「なるほど~!」な気分になって頂ければと思います。
そこで、今回のテーマは「冷し中華」。今年になってすでに何度も食べていらっしゃる方も多く、“県民食”とまで言われる「冷し中華」の歴史やスゴさをお聞きしました。
-ここ数カ月のコロナ騒動で、仕事に影響や変化はありましたか?
変化といえば、お取り寄せのお客様が増えました。ちょうどその頃、弊社のいろんな麺が楽しめる「超バラエティパック」を販売したこともあったのですが、意外にも県内のお客様が多かったのです。お買物に出かけられない時期、弊社の味を求めてご購入頂けることに感動し、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
そして余談ですが、プライベートでは子どもが誕生し、父親になりました!
-超バラエティパックは、数種類のおそばに冷し中華、うどんなどが満載です。特に冷し中華は、「待ってました!」という感じです。
冷し中華の販売は、毎年3月20日頃から9月20日頃までの約半年間。現在、お馴染みの個食タイプ(個包装)が、スーパーの麺売場にど~んと積み上げられています。
冷し中華は昭和46年、二代目の宗近隆基が発売を開始しました。実は最初から個包装で、その後、2食入りや3食入りも作ったものの、個食タイプの使い勝手が良かったのでしょう。それだけが残ったという具合です。
最近では個食ニーズの高まりもあり、売上も順調です。つまり二代目は個食ニーズを先取り、予想していたスゴイ人といえますね。
ちなみに、当初は今のように密封袋ではなくチャック(ファスナー)だったとか。袋の形態は変わりましたが、昔も今も包装は手作業の部分が多いです。
-チャックで、手作業! 手間がかかりますよね。
手作業での包装理由は2つ。まずは、麺製造後すぐに袋詰めをしていないから。製造後一旦、数時間低温熟成してから袋詰め、出荷しています。麺を熟成させることで、美味しさ・旨味を引き出しています。
もう一つは見栄えです。「麺線」といって、袋から麺がキレイに、美味しそうに見えるかどうか。これはもう自己満に近い世界ですが、麺をより美しく見せたいので、麺線にはこだわっています。
ちなみにパッケージデザインも、ほぼ40年間変えていません。
-個包装と同じく、材料も40年前と変わっていないとか?
約5年前、余計なものを極力減らしたかったので、実はガラッと配合を変えています。ただ、食べている方はほとんど気づいていないと思います。良質の小麦に塩加減、水分量を熟考し、茹でた後、茹でのびしにくいような配合にしました。ご家庭では、茹でたてをすぐに食べられるとは限らないので、時間が経っても美味しく食べられるように工夫しているのと、毎日食べても飽きのこない味に仕上げています。
冷し中華の麺に必要なのは、のど越しとモチモチ感、シコシコ感、歯切れの良さで、この麺は冷やし専門。温かいと美味しく食べられません。材料のひとつ、卵白は、パツっとした独特の食感を担っています。
-そばの回(第2回)でもお聞きしましたが、茹でる際の注意点は?
そばと同様、たっぷりのお湯と正確な茹で時間、茹で上がったら冷水でぬめりを取り、水切りをすればOK。キンキンに冷えた氷水で締めれば、具を入れずにそれだけでも美味。私はこれを「かけ冷し中華」と呼んで、皆さんにおススメしています。本当に美味しいですよ!
また、小麦粉は熟成具合で美味しさも少しずつ変化していきますから、製造直後と賞味期限日(この間、20日間))で食べ比べてみると、異なる味わいを感じられるかもしれませんよ。