
達‐TATSU‐(以下略、達):第四回目となりました「まほろばなし」、今回はメンバー二人、それぞれの「音楽との出会い」についてお話していきたいと思います。僕たちが「まほろば」を結成する以前、それぞれ既に音楽の道を歩んでいたのですが、それらの日々や経験は現在「まほろば」として行なっている音楽活動の源とも言えます。
春‐HARU‐(以下略、春):「まほろば」を結成して4年、夫婦になって上京したのは10年前になりますが、それ以前にはそれぞれに福井県内で音楽活動をしていた時期もありましたね。今回は「音楽との出会い」ということですので更にさかのぼっての話になりますが、達の太鼓との出会いは?
――苦手から始まった太鼓の道
達:太鼓を始めたのは6歳の頃ですね。もともと両親も姉も太鼓を打っていて、両親が指導していた子供太鼓に参加したのが始まりでした。
春:お義父さんは今も福井で現役の太鼓講師として活躍しているけれど、達の太鼓奏法のルーツとなっている「野良打ち(*注1)」もこの頃に子供太鼓で習ったの?
達:福井県の大衆太鼓芸能「野良打ち」は即興演奏だから、どちらかと言えば習うというよりは共に演奏して体で覚えていくもので、家族で一緒にお祭りに行くたびに実際に人前で太鼓を打って身につけていったんだよね。当時は即興演奏に慣れていないのに人前で打つことが怖くて、苦手意識が強かったんだけど。
春:でも、幼い頃に歴史ある楽器や奏法に触れる機会があったというのは、大人になった今考えるととても羨ましいことだと思う。その土地で、柔軟な年齢だからこそ吸収できるものがあるよね。
達:上京して各地の太鼓奏者の方と舞台を共にすることが増えて、他を知れば知るほどに、奏法はもちろん「間」や「空気感」など自分の打つ太鼓の根源が福井県にあり、それがどういったものなのかを肌で感じましたね。なかでも野良打ちの独特な様式から得た学びが大きく、その奥深さを幼い頃から経験させてもらえた環境や、野良打ちの名手の方々と打たせていただけたことは本当に有り難い経験だったと感じています。
(*注1)「野良打ち」… https://ja.wikipedia.org/wiki/野良打ち
――「壮大な音楽」への憧れ
春:私は小学生の頃に習い事でエレクトーンを始めたのが音楽との出会いでしたね。
達:鍵盤の習い事と言うとまずピアノを思い浮かべるけれど、エレクトーンだったのはなぜ?
春:一番の理由は、姉が習っていたのを真似したかったというのがあると思うけれど、エレクトーンは様々な音色が出せるんですよ。あの頃はフロッピーディスクにリズム音源等が入っていて、それに合わせて右手でメインメロディ、左手でコード、左足でベースを弾きながら、右足では音量や音色を変えたりもできて。ピアノやオルガンなどの鍵盤楽器の音色はもちろん、ギターやストリングスやホーンセクションや打楽器まで、一人で弾いているのにまるで大勢でアンサンブルしているような、スケールの大きい演奏ができるのがとても楽しかったのを覚えています。
達:その頃から壮大な世界観が好きだったの?
春:好んで弾いていた曲は映画のテーマソングが多かったですね。その頃はまだ映画に興味はなかったので「楽譜にそう書いてあるな」くらいで弾いていましたが、今思えばどの曲もドラマティックな展開のある壮大な曲でした。その後中学で吹奏楽部に入部したのも、そういった音楽への憧れがあったからかなと思う。達も学生の頃ずっと太鼓を打っていたよね?
――音楽から学んだ多くのこと
達:中学時代に偶然にも音楽の選択授業で太鼓が始まって、特別講師として父が先生に、その後何故か僕が講師代理のような形で同級生に太鼓を指導することになって。その時から太鼓の作曲を始めて、曲作りの魅力に取り憑かれていきましたね。高校では郷土芸能部に入部し、日本の民謡・創作太鼓・組太鼓(太鼓アンサンブル)の世界に触れることができました。3年生の時には部長を務めることになり、大勢での演奏に必要となる考え、部員代表としての在り方など大変貴重な経験もさせていただきました。郷土芸能部では改めて「太鼓を打つ」という基本に立ち返り、日々演奏するための体づくりに加え、特に太鼓と向き合う姿勢や精神を学ぶきっかけを多くいただけた事が本当に有り難かったと今も感じています。
春:太鼓は楽器でありながらも体の使い方はスポーツのようだし、歴史ある日本楽器という面で精神性を兼ね備えている必要もあり、本当に独特な存在だね。今でも舞台前に行う長期合宿では「体と精神を作る」というのが一つの大きな目的だけど、そういう面では私も一人の音楽家として、達の「太鼓との向き合い方」から学ぶことはとても多いです。
達:こうして改めて話してみると、思い返すことでの気付きやお互いに知らないことがあって面白いですね。
春:面白いね…!
達:今回はこの辺りで一度まとめましょうか。
春:そうですね、今回の「まほろばなし」はメンバー二人それぞれの「音楽との出会い」についてお話しました。ここまでの内容からはまだ現在の「まほろば」には遠いように感じますが…
達:その後どのようにして「まほろば」の音楽へとつながっていくのかは、また次回の「まほろばなし」でお話していきたいと思います。
達・春:それでは、また次回のまほろばなしでお会いしましょう!
まほろば/ポップスの先端で培われたクリエイティビティーと和太鼓という一見相反する要素をオリジナリティー溢れる幻想的なサウンドとして奏でる夫婦音楽家。2017年1月にリリースした配信デビューシングル「大海に光りの舟よ」はiTunesジャンル別ランキングで1位を獲得。デビューからわずか4カ月後に行われた初単独公演ではチケットが完売など、和太鼓と歌を軸に創り出される音楽世界に引き込まれる人が続出。
まほろばofficial Web Site
【達 -TATSU-/和太鼓・作曲・編曲】
福井県の伝統を継承する和太鼓一家に生まれる。17歳でプロ邦楽集団を立ち上げ、日本のみならず海外での活動も行なう。ソロ奏者に転身後、ミュージカルでの全編作曲・編曲・演奏、様々な太鼓グループへの楽曲提供などコンポーザーとしても活躍する。DAWを使用する和太鼓奏者としても注目を集めており、2020年にRolandが発表した世界初の電子和太鼓〈TAIKO-1〉の開発にアドバイザーの一人として参加している。
【春 -HARU-/歌・作詞・作曲・編曲】
福井県出身。中島美嘉、CHEMISTRY、坂本真綾、Little Glee Monster などメジャーアーティストへの楽曲提供、CMソングの制作なども手がける作詞作曲家。多様なコンピレーションアルバムへの参加や、LOVE PSYCHEDELICO 武道館ライブのコーラスに抜擢されるなど、ボーカリストとしても活躍。まほろばの楽曲に多く見られる「言葉を唱える」ような歌詞は、呪術医(まじない師)であった祖父からの影響であり、独自の世界観をつくり上げている。
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