国内唯一の「恐竜学部」、ついに始動! 福井県立大学での学びをクローズアップ。

2025/04/14


この4月、福井県立大学に日本で初めてとなる学部「恐竜学部」が誕生しました。
日本一の恐竜化石発掘量を誇る福井県をフィールドに、学生たちが学ぶのは恐竜はもちろん、太古のさまざまな古生物学や地質学などを通じた地球の歴史。
壮大な研究スケールで地球の謎をひも解く、県大5番目となる新学部・恐竜学部とは?


いま注目の恐竜学部、今年の春より開学

恐竜は訓物館の隣に2026年春完成予定の勝山キャンパス(イメージ)

2025年4月7日に行われた福井県立大学の入学式。注目を集めたのは恐竜学部第一期生となる34名の学生たち。恐竜に魅せられた若者が全国から福井に集まり、研究の第一歩をスタートしました。
彼らが恐竜学部で学ぶのは、恐竜をはじめとした古生物学や地質学、古環境学など。福井県の豊かな自然を活かしたフィールドワーク福井県立恐竜博物館との連携デジタル技術を活用した研究といった、県大ならではの環境が特長です。これらの研究を通じて、現代社会が直面する環境変化などの自然科学の諸問題に対して、的確に対応し解決できる知識と技術を持つグローバルな人材を育成。
恐竜学部は日本でオンリーワンの学部として、恐竜学や地質学の学術研究拠点となると同時に、福井ブランド〝恐竜〞の中心拠点として、福井県を盛り上げていきます。


恐竜学部入学セレモニー in 恐竜博物館

恐竜博物館で行われた入学セレモニーの様子

永平寺キャンパスでの入学式を終えると、恐竜学部の一期生と教員陣は『福井県立恐竜博物館』へ。国内随一の恐竜の聖地での入学セレモニーに臨みました。
講堂のステージ横には恐竜標本(頭部)が鎮座し、恐竜研究者の卵たちを歓迎。一期生は西弘嗣学部長らによる激励の言葉を受けた後、現在建設中の勝山キャンパスの案内を受けたり、教員の案内で館内の展示を見学したりと充実した時間を過ごしました。


教員の解説を聞きながら館内の常設展示を見学

教員陣は恐竜学だけでなく、古生物学や地質学など、さまざまな研究分野をカバーしており、学びたいことは何でも学べる環境が整っています。一期生は各分野で活躍する教員らとの交流を通し、今後の研究に対する期待と熱意をふくらませました。


恐竜学部の学び 4つのポイント

【1】福井県立恐竜博物館との強力な連携体制

  • 研究設備の共同利用による最新の教育・研究
  • 博物館の研究員や学芸員の実践的な講義・実習
  • 展示や収集などの学芸に関するノウハウの学習

【2】福井県をまるごと使ったフィールド科学を実践

  • フィールドワークを重視し、現場における観察力や判断力を養成
  • 県内外を視野に情報収集スキルと調査能力を育成

【3】国際的視野に立つ教育・研究

  • 世界で活躍する研究者による学生指導や海外研究機関との共同研究により、先端的研究の推進と国際的感覚の養成

【4】デジタル技術を活用した新分野の展開

  • 最新のデジタル技術を活用した研究の実施
  • 大型CT撮影装置などの機器で化石や地形をデジタル化し、データを活用した研究

2026年春完成予定! 勝山キャンパスで広がる探求のフィールド

来春完成予定の勝山キャンパスの外観は地層をイメージ。クリーニング室や地学標本製作室、解剖室などの施設を備えている
恐竜学部の学びの舞台となるのは勝山キャンパス。完成予定は来年2026年の春。恐竜博物館に近接する恵まれた環境で研究を深めていきます。
教員は20名。さまざまな分野の研究が可能な体制が整っています。研究の内容は、化石であればフクイサウルスといった恐竜からアンモナイト、植物、さらにはデジタル技術を駆使しないと見ることができないミクロなものまでと多種多様。日本だけでなく海外も含め、地球規模の謎をひも解くロマン。これこそが恐竜学部の魅力です!

注目の授業を PICK UP!

【1】福井県立恐竜博物館との連携「地球科学フィールド実習Ⅰ」

北谷の発掘現場からは1年間で数千点もの化石が見つかっている
福井県の化石発掘調査が行われている勝山市北谷町の恐竜化石発掘地や海外の発掘現場などを知ることで、多様かつ実践的なスキルを身に付けます。

【2】フィールド科学の実践「地質調査法実習Ⅰ」

県大の学びはとにかく現場主義!
野外でどんな時代のどんな地層や岩石が露出し、どのように形成されているかを調べる地質調査法を学ぶ。野外の歩き方や調査データのまとめ方など、フィールドワークの基礎が修得できます。

【3】国際的視野に立つ教育・研究「恐竜学特論」

世界中が学びのフィールドに。恐竜研究を通じてさまざまな経験ができる
恐竜の分類や生態について学び、研究を企画する力を身に付けていきます。加えて恐竜の研究を深めていくために必要なものは国際的な視野。英語の文献の活用をはじめ、外国人研究者によるオンライン講義を取り入れ、研究者が持つべき国際的感覚を養います。


【4】デジタル技術による新分野の展開「デジタル古生物学概論」

デジタルの力で太古の世界を明らかにしていく
古生物研究の新たな可能性を拓くデジタル技術を体系的に学ぶ授業。X線CTスキャナーや3Dプリンターといった最先端の技術の原理や応用例を学びます。


学部長インタビュー】

アナログとデジタルの2つを軸に、社会に必要な人材を育成する

恐竜学部 学部長 西弘嗣

九州大学大学院理学研究科博士後期課程修了。理学博士。山形大学や東北大学、九州大学、北海道大学などを経て、2020年に福井県立大学恐竜学研究所教授、2025年より現職。専門は古生物学、地質学、古環境学。

 今や福井県の代表ブラントでもある〝恐竜〞。1989年に恐竜化石発掘調査が始まって以降、継続的に調査を行い、2000年には恐竜博物館が開館しました。同時に研究を続けるための拠点と基礎知識を持った研究者の育成、そのための組織が必要となり、今回の恐竜学部新設となりました。
 当学部の特長は2つ。まず、基礎となる自然科学や地質学を学ぶための野外活動を積極的に行うこと。アナログ的な作業ですが、近年の地球温暖化や頻発する自然災害を考察する上では欠かせません。これからの社会や世界では、野外活動やその仕事を習得している人材は重要な存在となっていきます。
 もう一つは、デジタル技術の学びです。あらゆる分野でビジュアル化される現代、古生物学においても然り。「デジタル古生物学」では、化石発掘→データ処理→コンテンツ作成→研究という流れを習得します。主教材は恐竜ですが、デジタル技術は当然、他の多くの分野にも生かせます。ちなみに、私は前職場(東北大学学術資源研究公開センター)で東日本大震災後、「デジタル遺構」の事業を推進した経験がありますので、そのことも生かしながら、デジタル技術の重要性を伝えていきます。
 アナログとデジタル、この2つを大きな柱に、学生たちには地球の自然環境や生物の進化、人類の進化を学んでいってほしいです。教員は、恐竜はもちろん、地質や古環境、デジタルといった幅広い分野をカバーできる構成となっており、学生たちのさまざまな好奇心を受け止めてくれるでしょう。恐竜を楽しみながら、地質学や古環境、そしてデジタル技術を学び、これからの社会に必要不可欠となる人材を育成していきます。



恐竜学部に続き、地域政策学部(仮称)も新設予定!

来春には地域政策学部(仮称)を新設予定。 福井県立大学は6学部10学科を擁することとなり、6つのキャンパスで福井県内をまるごとキャンパスにして学びを展開します。

永平寺キャンパス
・経済学部(経済学科/経営学科)
・生物資源学部(生物資源学科)
・看護福祉学部(看護学科/社会福祉学科)

あわらキャンパス
・生物資源学部(創造農学科)

小浜キャンパス
・海洋生物資源学部(海洋生物資源学科)

かつみキャンパス
・海洋生物資源学部(先端増養殖科学科)

勝山キャンパス 26年4月供用開始予定
・恐竜学部(恐竜・地質学科)

福井まちなかキャンパス(仮称) 2027年4月供用開始予定
2026年4月設置予定
・地域政策学部(仮称)
( 地域イノベーション学科(仮称))



公立大学法人 福井県立大学
【住所】福井県永平寺町松岡兼定島4-1-1
【電話】0776-73-7800
【HP】あり



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