2025/04/28
あわら市のアーティストで造形作家・津谷博子氏の展示会が4月29日(火・祝)~5月6日(火・振休)、福井市の名勝・『養浩館庭園』にて開催。
津谷氏は新聞紙や紙袋、空き箱など、不要となったものを素材として活用し、人型の作品やお面などをモチーフとした作品を制作するアーティスト。
本展では、津谷氏が幼少期の頃に心に刻んだ原風景や自然環境をテーマにした造形作品を複数展示。丁寧に作られた造形と歴史ある空間の調和を楽しむことができます。
また、今回は素材として大野市和泉地区で江戸時代から作られている和紙「穴馬紙(あなまがみ)」も活用。穴馬紙は、紙の性質上、縦には裂けるが横には裂けにくいという丈夫な和紙。一般的な紙素材とは異なる質感にも注目したいです。
普段の作品制作について「なにか狙いやコンセプトがあって作っているわけではないんです。ただ、包装紙や新聞紙などが“もったいない”という想いから。以前は、車の汚れたフィルターを捨てずに作品にしたり、眼鏡の枠を削る際に出てきたものを活用したこともありました」と津谷氏。
「どこか人の手の跡が残っているもの、以前誰かの生活の中にあったもの、が好きなんです」と、廃棄されて終わりではなく、行き場のなくなったものを活かすというのが津谷氏の制作スタイル。よく見ると、例えば目など、作品の特徴的な箇所に、見覚えのあるチラシであったり、新聞などに掲載された著名な方の写真が配置されているということもあるといいます。その繊細な造形を楽しむことはもちろんですが、どのような素材を使っているのだろうと想像しながら鑑賞してみるのも面白いです。
そして今回の『養浩館庭園』での展示について。実は『福井県立図書館』は、1980年まで現在の養浩館がある場所に建てられていました。当時津谷氏は高校生で、図書館によく足を運んでいたそうです。
「現在はとても美しい庭園ですが、ここは高校生の頃の思い出の場所。とても居心地がよかったことを覚えています。なので、この場所で作品の展示ができることがとてもうれしいですね」と津谷氏。
福井の歴史ある空間でアートを楽しむことのできる作品展。きっと庭園を抜ける風も心地よいはず。これまでの思い出やこれからの夢など、さまざまな想いを胸にそれぞれのゆっくりした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
アーティストトークは4月29日(火)・5月6日(火) 10:00~12:00。こちらも併せてお楽しみください。
◎津谷博子・つたにひろこ
1948年あわら市生まれ彫塑を中心に創作活動を行なう。近年は日本海の漂着物や紙管、新聞紙、古い和紙、空き箱、ワイヤーなどの廃棄物を用いて、人体、三本鳥、お面などといったオブジェ制作に力を注いでいる。また、それらを制作するだけではなく、自然とアートと建築による創造的空間に配置するインスタレーション・アートを展開している。
1991年福井県総合美術展知事賞受賞ほか、日展、北陸中日美術展など入選多数。
作家SNS Facebook
津谷博子展 ~鳥よ、蒼き無窮に翔べ~
【日程】2025/4/29(火・祝)~5/6(火・振休)
【会場】名勝 養浩館(福井県福井市宝永3-11-36)
【時間】9:00~19:00(最終入館18:30)
【休日】会期中無休
【料金】一般220円
【問い合わせ】090-7083-3182(津谷博子展実行委員会)
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