【気象予報士 二村千津子の風と雲】
2025/11/01
こんにちは。気象予報士の二村千津子です。
まさか、今年があと2か月なんて…と驚いています。
10月は、もう10月なのに…という暑さが続いていたと思いきや、まだ10月なのに…という寒さがやってきて、正直なところ、体がついていっていません。皆さんはいかがですか?

そんな10月のはじめに、古巣のNHK福井のチームにまぜていただき、芝政のリレーマラソンに参加しました。
この春で番組を卒業し、福井を離れた太田実穂キャスターや、東京のNHKに異動になった記者デスクが復活参加したり、ことしから福井に来たという初めましての方もいたり、総勢17名でタスキをつなぎました。
当日は、雨が降ったりやんだり。
わたしは過去3回中、2回土砂降りにあっているので、今年も土砂降りを覚悟しましたよ。
そして安定の土砂降りの中の1.8キロ(笑)。土砂降り上等!って思いながら走りました(笑)

太田ちゃんにタスキを渡すころにはかなりの小雨になっていました。
さて、今回のテーマは、そのマラソン大会の時に、若手記者のカケルくんから
「雷は雲の中の摩擦で起こるんですか」という質問を受けまして。
冬に向けて福井は雷の発生が増える時期でもあるので、今回は、雷の正体や注意点などをお話します。
まず、カミナリはかけるくんのいう通り、雲の中で、あるものの摩擦がきっかけで起こります。雲の中でも最も背が高い「積乱雲」の中で起こります。

雲は水の粒や氷の粒でできていますが、特に積乱雲のように空高くまで成長する雲は氷の粒が成長します。
雲の中では上へ向かう空気の流れと下に向かう空気の流れがあって、氷の粒のぶつかり合いが起こります。まさにその時、摩擦がおこり、「静電気」が発生します。
あちらこちらで静電気が起こり、雲の中でどんどん電気がたまります。
雲の上の方にプラスの電気、下の方にマイナスの電気がたまります。
そして、雲の中にとどめておけないほど電気が多くなりすぎたとき、地面などに向かって逃がそうとします。「放電」現象といいますが、これが落雷です。
雷が落ちるときには雷光、稲妻とも言われる、まぶしい光を発します。
放電は時間にすると、だいたい0.001秒から1秒に起こる現象です。
あっという間の現象には、およそ1億ボルトという想像できないくらいの大きなエネルギーが発生し、電気の通り道の周りでは、空気の温度がおよそ3万℃に達すると言われます。
物が燃えるときの色は500℃を超えるとくすんだ赤色に光りはじめ、温度が高くなるにつれて明るくなり、1300℃を超えると赤色から白色へ、その後は青色へと変化する性質を持っています。
このように、高温になると色や明るさが変化するのは、空気も同じで、約3万℃になった放電の通り道の周りの空気は、青白くまぶしい光を発するのです。

雷が光るのは一瞬なのでじっくり観察する機会はあまりないかもしれませんが、
雷電を撮影した映像や写真を見みると、光が雲から地表へ、ジグザグと進んでいるのが分かります。
電気はふつう、空気の中を進むことができません。なので、雷は空気をつきやぶって無理矢理進んでいくことになります。このとき、電気は少しでも通りやすい所を選びながら、進んでは止まり、また進んでは止まり、をくり返しながら進むため、通り道はジグザグになるというわけです。(ほんの1秒足らずの間)
普通は電気が流れない空気中を無理やりに電気が通ると、通り道になった空気は急に熱くなって爆発するように激しく膨張します。
その衝撃が周りの空気に伝わって激しく振動させ、「ゴロゴロ」「バリバリ」「ドーン」といった音が鳴ります。これが雷鳴の正体です。
このピカッと光ってからゴロッとなるまでの時間を計ると、雷とのだいたいの距離がわかります。
光の速度は1秒あたり30万kmで、音の速度は1秒あたり340m。
光ってから音が聞こえるまでの秒数に340をかければ、雷が落ちた場所まで何mくらいかを計算できます。
雷の強大なエネルギーを知ると、時として、人の命を奪う危険な現象だということも納得です。ゴロゴロと雷鳴が聞こえたら、まずは屋内へ移動しましょう。
雷の音や光を感じたら、すぐに建物の中へ。

雨が降ってきたからといって、木の下で雨宿りはたいへん危険です。
そのほか、海辺やグラウンド、ゴルフ場などの広くて何もない場所も要注意です。
また、室内では電気製品の対策をしましょう。
落雷が近くにあると、電化製品へ影響が出ることがあります。
コンセントを抜くなどの対策をしておくと安心です。
先日、お声がけくださった方が、「コラム読んでますよ~」とおっしゃってくださって、とても嬉しかったです。なかなかじっくりと取り組むことができず、いつも心残りな部分もありますが、少しでも「へー」とか「なるほど」と、感じていただけるように、そして、福井で暮らしているからこその「そうそう」という共感もしていただけるようなお話ができたらと思っています。
※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。
二村千津子(ふたむらちづこ)
福井県出身。気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー
2017年から7年間NHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」で気象情報を担当。 アメブロ
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