【気象予報士 二村千津子の風と雲】
2026/08/04
こんにちは。福井県住みます気象予報士の二村千津子です。
7月は全国で、酷暑日が続出しました。
ことしの4月に正式に名称が決まった酷暑日。最高気温40℃以上の日を指します。
7月の中旬に夏の高気圧が張り出しを強め、7月21日に岐阜県郡上市八幡で40.0℃を観測したのを皮切りに、愛知県豊田で40.1℃、岐阜県多治見で40.3℃と後を続き、
その後も翌日22日は三重県桑名や岐阜県美濃など4地点、さらに23日には東海地方7地点で、24日2地点、25日には6地点で観測しました。5日連続で酷暑日を観測したのは統計史上初でした。
さらに翌週、27日には九州・大分県日田で40.0℃を記録。意外に思われるかもしれませんが、九州で酷暑日を観測したのは観測史上、これが初めてでした。

記録的な暑さをもたらす原因は「①上空に暖かい空気が流れ込むこと」「②背の高い高気圧に覆われること」「③晴れて、強い日差しが照り付けること」
そして、フェーン現象です。
①~③でも、もちろん猛烈な暑さになります。
その最後の一押しになるのがフェーン現象です。フェーン現象という言葉はご存じの方も多いと思います。
ざっくりいうと、山を越えて吹く風が、吹き降りてくる間に乾いた熱風となって、山のふもとで高温になる現象です。
フェーン現象には2つのパターンがあります。
「湿ったフェーン現象」と「乾いたフェーン現象」です。
いわゆる典型的なフェーン現象は、「湿ったフェーン現象」で、以下のメカニズムです。

まず風下側の湿った空気があって、山にぶつかり上昇します。
基本的には乾燥した空気は100m上昇するごとに、約1℃、気温が下がっていきます。
ところが上昇する空気が湿っている場合、湿った空気が冷やされると、水蒸気が水滴に変わります。この水蒸気から水滴に変わる時にエネルギーを使うので、熱が発生します。
専門用語で「潜熱」と言われるものです。
このため、湿った空気が上昇するときは100m上昇するごとに約0.5℃の割合で気温が下がっていきます。
例えば、1500mの山があって、風下側の山のふもとの空気の塊が25℃だったとすると、
雲ができるまでは100m上昇するごとに約1℃気温が下がります。
500mまでくると5℃下がるので、20℃になります。
500mのところで雲ができ始めると、100m上昇するごとに0.5℃ずつ下がっていくので、
山頂の気温はさらに5℃下がって15℃まで下がります。
上昇する間に空気の中の水蒸気は雲になったり雨として降ったりして、
山頂に到達するころには水蒸気が減って乾いた空気になります。
乾いた空気は100m上昇するごとに約1℃気温が下がると言いましたが、
下降するときには、同じ割合で、気温が上がっていきます。
つまり、100mにつき1℃ずつ気温が上がっていくので、ふもとまで下りた空気は15℃気温が上がるので、30℃になります。風上側と風下側で5℃気温が変わります。
これが典型的な湿ったフェーン現象です。
でも、これには、山を越える前の降水現象が伴います。
今回のように、高気圧に覆われて晴れている中でのフェーン現象は山の手前での降水現象を伴いません。これが乾いたフェーン現象で「ドライフェーン」と言ったりします。

ドライフェーンは、風下側の空気が山を上昇して起こるものではなく、上空に流れ込んだ暖かい空気が、山を越えて吹き降りることで発生します。
山に沿って空気が上昇して、その空気の気温が下がっても、周辺の空気がそれ以上に暖かい時、というのは、上空で冷やされることなく、雲になりづらい状態になります。
一方で、上空1500m付近に暖かい空気が流れ込んだとすると、その空気が山を越えて、地上に吹き降りると100mごとに1℃ずつ気温が上がります。例えば流れ込む空気の気温が22℃だとすると、1500m下降する間に15℃上がります。結果、山のふもとは37℃ということになります。
条件さえ整えば、40℃近い気温は数十年前から観測されることはありました。
それでも、ここ数年で40℃以上を観測する地点が明らかに増えてきたのは、ベースとなる地球全体の気温が高くなっていることも大きな要因の一つと言えると思います。
先月末、熊本で大きな地震が発生して、また甚大な被害が出てしまいました。熊本は度々訪れたことがある、大好きな場所です。10年前の地震から少しずつ復興してきた熊本城の姿も目にしながら、人の生きる力みたいなものを肌で感じたこともあります。
今回の地震で、熊本城の石垣が崩れた映像を見たときに、胸が痛みました。
地震はいつ、どこで起こるかわからない。1000年前も1000年後も発生します。
でも、この先が見えない暑さの限界や、異常な降り方をする豪雨に関しては気候変動を緩やかにすることで、50年後、100年後が変わってくる気がします。
自分たちができることを改めて考えてみたいと思いました。
とはいえ、ひとまず、対処すべき暑さが8月は続きそうです。
7月30日に発表になった1か月予報でも平年より高い確率が高いです。
福井県内でもフェーン現象で40℃に迫るような暑さの日が出てくるかもしれません。
9月のコラムが「お暑うございましたね…」で始まらないでほしいなと思いつつ、覚悟を決めて乗り切りたいと思います。
※回答の掲載時期は未定です。全てのご質問にお答えできるとは限りませんので、ご了承ください。
二村千津子(ふたむらちづこ)
福井県出身。気象予報士・防災士・気象防災アドバイザー
2017年から7年間NHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」で気象情報を担当。 アメブロ
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2026/07/01

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