2019/11/20
あくまでも“神の手”のスタイルを貫く
「これほどまで苦労した作品はありませんでした」と語る通り、完成までは一筋縄ではいかなかったよう。タカマさんの製作スタイルは、間取り図(平面図)を基に内部まで忠実に立体的にしていくが、もともと、この間取り図がどこかにあるわけではない。それを自ら起こすところから始まるのだ。

「製作にあたって「千と千尋の神隠し」のDVDは通しで10回以上観ました。その後部分的にも数10回。図版や書籍、ジブリの展示会などからも調べました」という。しかし、今回に限っては上部階層と地下階層は手がかりが十分に見つからず、登場シーンが多かった湯殿内部のみ再現したそう。それでも、外身だけを作るということはせず、最低限自らのスタイルを貫いたということだ…!


間取り図が描けたらそれに沿って組み立てていくが、もちろんここからも大変だ。屋根や窓は一見同じ作業の繰り返しで、量産できそうだが、「この「油屋」という建物は建築様式が混じりあってとても複雑なんです。例えば屋根部分は、真っすぐの平たい屋根ではなく、反ったり膨らんだりしているので、アールを付けるのに苦労しました」とのこと。

また、障子などの建具に関しては、レーザカッターなどを用いれば画一的に美しく作れるが、「温かみがなくなってしまう。見てもらう方に手作りによる親近感を持ってもらいたいので」との想いから、すべての工程を手作業で行なった。なんとガラスの引き戸や障子戸など、約500枚を作るのに2カ月ほどかかったという。

屋根や橋など湾曲する部分にも手を焼いたそうだ。もともと湾曲しているぴったりな素材などはないので、まっすぐな木材を水につけては曲げ、そしてまた水につけては…という作業を繰り返して製作。まさに忍耐勝負なのである。

完成に至るまでの製作エピソードをほんの少し伺ったところで、ジオラマに対する想いを聞いてみた。
「やはり完成したものは多くの方に見てほしいです。その中で、ただ眺めるだけではなく、知らず知らずのうちに映画の登場人物になったような気分になってもらえたら一番。僕の作品は実際に映画で登場する印象的なシーンを切り取っています。なるべく原作のイメージを表現したいので、そこに注目してもらえたら」。
そしてこの言葉が最も表れているポイントが、“ジオラマが動く”という点だ。