2020/01/15
全国各地のタウン誌やフリーペーパーの中から、誌面内容のクオリティや読者からの支持により選出される「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2019」。昨年11月末に選出が発表され、福井県池田町の情報を発信するフリーペーパー「いけだごのみ」が【自治体PR部門】で最優秀賞を受賞した。
美しい写真や可愛らしいデザイン、そして深掘りされた池田の魅力が生き生きと誌面から伝わり、審査員一同、池田に足を運びたくなったと評価されたわけだが、この「いけだごのみ」、池田町で働く宗倉伸子(そうくらのぶこ)さんと小林智映(こばやしともえ)さん、このたった“2人の女性”によって制作されている。
さらに、実は小林さん、元々池田町が大嫌いだったと言うのだ。
そんな彼女が今や、嫌いだった町の魅力を多くの方に伝える側に。一体そこにはどんなメッセージが込められているのか。制作エピソードを交えながら、宗倉さんと小林さんに、池田に対する想いを伺った。
—まず、簡単に「いけだごのみ」について教えてください。
宗倉:2013年に創刊された池田町を紹介するフリーペーパーで年に数回、これまでに16冊が刊行されています。単に観光情報を紹介するのではなく、例えば料理だと、作り方や作り手さんの想いなど、深いところまで紹介しています。
小林:それと、メインターゲットを20代女性にしていて、彼女たちが池田に足を運びたくなるような切り口の内容、デザイン、写真など、世の中の流行を取り入れた誌面作りを心掛けています。
ホームページで全て公開しているので、是非見て下さい。
―2013年創刊ということは2019年で丸6年。その間、制作はお2人でしていたのですか?
宗倉:いえ、創刊当時は約5人で制作していたようです。私が福井に引っ越して来て、池田で働くようになってからは3人で、そして現在はともちゃん(小林)と私の2人体制になりました。
―元々池田出身ではないのですね。
宗倉:はい、私は香川県高松市出身です。約6年前に結婚を機に岡山から福井に移住してきました。現在は越前市在住です。
―小林さんもそうでしょうか?
小林:私は池田町生まれ、池田町育ちのこってこての池田人です(笑)。私は逆に結婚を機に池田から離れ、現在は坂井市に住んでいますが、勤め先は池田の林業会社なので毎日通っていますよ。
―岡山県からの移住で、池田のPRをしようと思ったのはどうしてですか?
宗倉:元々大阪や岡山で観光・旅行関係の仕事をしていました。福井に来た当初は別の仕事をしていましたが、やっぱりもう1回観光業に携わりたくて。それから約2年前、2017年ですね、縁あってこちらに。
ともちゃんが池田で働くようになったのもそのあたりだよね。
―小林さんもずっと池田で働かれていたわけではないのですね。
小林:はい、私は創刊から携わっていますが、当時は、福井市やあわら市の印刷会社で働いていました。そして、2017年4月に現在の林業会社に転職しました。もっと深く池田と向き合いたい、知りたいたいという想いが強くなっていったのが、転職の理由のひとつですね。
―林業の会社を選んだ理由は何かあったのですか?
小林:池田って9割が山や森なんですね。それで、池田の山のことを知れば、「池田町」についてもより深く知ることができると思ったからです。
そこで「企画デザイン部」のような部署を立ち上げて、林業の仕事もしつつ、「いけだごのみ」を制作しています。
―もっと深いところを追求したいという想いからなんですね。
誌面の制作にあたってそれぞれの役割はありますか?
宗倉:各号の企画は2人で案を出し合いながら行なっています。
小林:良くない案だと「その案なし」ってはっきり言われます(笑)
宗倉:私たちが伝えたいことを念頭に企画していますが、やっぱり足を運んでくださる側の目線から、それって面白いのかな、分かりにくくないかなというのを考えて、調整をしています。
それから取材は2人で行き、誌面デザインや撮影、文章はともちゃんがしています。私はそのサポートや校正チェックなどを行なっていますね。
―誌面デザインと撮影は全て小林さん。同じメディア人として、その多彩なスキルに驚きです。
小林:デザインの方は、前職もデザイナーだったのでその経験を活かしています。写真は、表紙や体験もの、インタビュー記事など、町民の方たちに協力してもらうような撮影は主に私が担当しています。必要があれば料理なども撮りますよ。
宗倉:季節の風景などは横浜のカメラマンさんの写真ストックも使っています。
小林:阿部さんといって、私の師匠です。15年くらい池田に通われているカメラマンさんで、主にパンフレットなど、広報の写真を撮られています。
私はこの阿部さんの写真を見て、池田の良さを再発見できました。池田で育ったのに、全然池田のことが見えていないってことに気づかされて…。池田をPRするには絶対に写真を極めないといけないって感じて、独学で勉強してきました。
なので、誌面の写真は、阿部さんと私の写真で構成されています。
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語られる池田への想い。
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