越前市・今立地区の伝統工芸品「越前和紙」の老舗工房『五十嵐製紙』からこの春、新しい紙ブランド「Food Paper」がスタートしました。

4月1日(水)から販売されたFood Paperは廃棄される野菜や果物を原料としています。素材の色がほんのりとついた、和紙とも洋紙ともちがう独特の風合いが特徴。こちらを手掛けるのは伝統工芸士の五十嵐匡美さんです。
きっかけは和紙の原料である楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)の不足。これを受け、現在Food Paperに携わる、デザイン事務所TSUGIの新山さんとともに「何か代わりになるものってないんかな?」とアイディアを出し合っていたところ、五十嵐家の次男・優翔さんの夏休みの理科研究が話題にあがりました。
現在中学3年生の優翔さんは、小学5年生から中学2年生の夏休み、理科研究で家にある身近な食べ物を使って紙を作る研究を行ないました。小さい頃から家族の仕事を見てきて自然と紙を作ることに興味を持った優翔さんは、バナナの幹の皮を使って作るバナナペーパーを扱ったTV番組を見て食べ物で紙を作ることを思いついたそうです。お母さんに紙の漉き方を教わり、ごぼう、セロリ、エリンギ、さらにはお父さんのおつまみのピーナッツの殻や枝豆の皮など、家にあるあらゆる食べ物を使って紙を作り、強度や文字の書きやすさを調べていきました。
「食べ物を使って紙を作るなんて、子どもならではの発想ですよね。台所や冷蔵庫にあるものを勝手に使っていたので、ご飯を作ろうと思ったら食材がない、ということもありました(笑)」
■次ページ→いよいよFood Paper誕生!
商品化の苦悩、そして五十嵐さんが知った社会の現状とは?
Food Paperを商品化するにあたって大事にしたのは色合いと季節感。鮮やかな色の食べ物を使い美しい色合いに仕上げます。また、その時季旬の食べ物を使うことで、四季を感じられるような製品を目指します。そして、できるだけ福井県産のものを使うように心がけているそうです。
素材の色だけを使ったFood Paperは時の経過による色合いの変化も楽しむことができます。
「漉いてみるまでどんな紙に仕上がるかわからないところが大変なところでもあり、面白いところでもあります」と五十嵐さんは言います。
梨を使ったときは色が茶色くなってしまう、ジャガイモを使ったときは破れやすい紙になってしまうといった失敗も重ねましたが、逆に紫色のケールを使ったときは想像よりもはるかにきれいな紙ができたそうです。
Food Paperの原料になる廃棄する食べ物は農家の方などからいただいており、その過程で五十嵐さんは美味しく食べられるにも関わらず廃棄される食べ物があまりにも多いことを知ったそうです。ブロッコリーは茎にほんの少し虫食いがあっただけで売り物にならず捨てられてしまいます。焼き鳥のねぎまを作るためのネギは太い白い部分を使って、上の方の白い部分と青い部分は廃棄されます。
「今の社会では、使わなかった食べ物やほんの少し汚れてしまっていた食べ物がたくさん捨てられているんです。農家さんから、廃棄するブロッコリーが1日でゴミ袋10袋分以上出ることもあると聞いたときは本当に驚きました。その事実を私たち消費者は知らないといけないし、たとえ少し汚れていたとしても“これくらい大丈夫”と思えるような社会になってほしいです。そして、Food Paperを作ることで、捨てられてしまう食べ物が少しでも減ったら幸せなことだな、と思います」。
Food Paper
2020/04/01(水)より販売開始
福井県内では、『TOURISTORE』(福井県鯖江市河和田町19-8)にて、4月中旬〜店頭・インターネットでの販売スタート。
【ブランドHP】あり
五十嵐製紙
【住所】福井県越前市岩本町12-14
【電話】0778-43-0267
【時間】8:00~17:00
【休日】日曜、祝日 ※土曜不定休
【駐車場】あり
【HP】あり
【SNS】Instagram
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