“麺のプロ”宗近鉄也さんがお送りする麺好きのための連載「麺 to the future」。
今年のお盆は、コロナ禍の影響で帰省なども自粛ムード。でも、季節の贈り物やお土産で互いの近況を報告、これまでのお付き合いは続けたいものです。
そこで今回は「福井の贈り物やお土産事情をプロにお聞きしたい!」ということで、福井のお土産のプロ、かゞみや(福井市)の四代目、木瀬將盛さんをお訪ねしました。

「コロナ自粛期間中、宗近さんのそばを愛食していました」(木瀬さん)
1.お土産に“かわいい”はマスト! 積極的に発信する店づくり
-お二人の共通点は、県外大学に進学~県外企業に就職~Uターンで家業を継承、四代目です。
宗近さん(以下、宗近) 木瀬さんとの最初の出会いは、弊社の工場見学でした。
木瀬さん(以下、木瀬) 約8年前、得意先回りの時でした。初めて製造工程を見て、「こんな風に作られているのか~すごいなぁ」と終始感心、楽しかったです。
宗近 初対面の印象は、小洒落てて熱意があり、もっともっと羽を広げられる人。一方で、抱えている母体(かゞみや)が大きいので苦労もあるんだろうなぁと。今は“ひょうきんな人”です。
-木瀬さんはハピリン開業に合わせてUターン。ハピリン店は他店舗と比べて客層や品揃えがかなり異なります。
木瀬 これまでの土産物店は来店客を待つ“待ちの店”で、そのままでは衰退していくだけ。だから、店側の発信が重要、必要だと痛感しています。
大学卒業後、東京の百貨店に入社。食品部や販売促進部に在籍、福井フェアも担当して本当に面白くて、その時の経験を活かした店づくりを、ハピリンで試してみたかったんです。
例えば、女性に人気の「おみやげバイキング」。ハピリン店だけの個包装や小サイズもあり、ちょっとずつ、色んな種類を好きなだけ購入することが出来ます。
価格も手ごろで、実は普段のおやつとしても最適
宗近 いろいろあるということは、在庫や売れ残りの心配はないですか?
木瀬 それが、ほとんどロスはゼロに近い。強いて言えばせんべいが割れてしまうくらい。
宗近 すごい! 女性に人気ということはパッケージも大事。かわいいんですね?
木瀬 お土産に“かわいい”は絶対ですね。ハピリン店限定のかわいいパッケージもありますよ。
わかりやすいPOPが購買意欲を駆り立てる
-ちなみに、宗近さんのパッケージデザインの特徴は?
宗近 弊社は、洗練されたスタイリッシュなイメージですね。外部のデザイナーですが、DJ時代のCDジャケット制作時からの長いお付き合い。私の考え方を理解してくれています。
木瀬 あっ、CDジャケットでひらめいた! CDケースに蕎麦を入れるのはどう?
宗近 えぇ~!? でも面白そう。一見、蕎麦に思えないのがいい。
木瀬 そうなんです。食品が食品用の箱に入っているのは面白くない。食品に見えない食品のお土産を作りたいなぁと。CDケースなら、そば1食分くらい入りますよね? それをCDのように並べて販売する…北野エースのレトルトカレーコーナー“カレーなる本棚®”のようにね。
次ページ → 試食や食べ比べ、売り方次第で、モノの売れ方はぐんと変わる。
いろんな蕎麦を食べ歩き、自信のあるものを販売している
2.試食や食べ比べ、売り方次第で、蕎麦が夏の人気商品に!?
-売り方もアイデア次第ということ。
木瀬 売り方次第で、モノは売れると思います! 四苦八苦はしますが…。
宗近 私達はメーカーなので、やはり企画力や販売力の不足を実感しています。その辺りを教えてください、というか、何か一緒にしてみたいです。
-かゞみやでの一番の売れ筋は、やはり蕎麦ですか?
木瀬 一番売れているのは「五月ヶ瀬」。もちろん蕎麦も売れてますし、水ようかんとのセットならさらに売れる。というより、水ようかん入りのセットなら売れるという感覚でしょうか。それくらい、福井の水ようかん人気はすごいです。
宗近 蕎麦が売れるのは、やはり冬季ですよね?
木瀬 おっしゃる通り。でも、「今夏、かゞみやでは、そうめんでも冷やし中華でもなく、“そば”がオススメ!」と大々的に告知し、さらに店頭での食べ比べなどをすれば夏季でも売れるかもしれませんね。まさに、売り方次第!
-蕎麦の食べ比べ…店頭では調理が大変ですが、詰め合わせならすぐにでもできそうです。
木瀬 水ようかんの食べ比べはすでに商品化されているので、蕎麦もできそう。ちなみに、越前そばの定義とは? 以前から疑問でした。
宗近 明確な定義はないと思います。福井では越前そばと呼ばれ、大根おろしをかけて食べる“おろしそば”が定番、郷土食というくらいでしょうか。
木瀬 定義があると販売する側としてはお客様に説明しやすくて便利。宗近さんもそう思いませんか?
宗近 う~ん、実は、そうは思ってないんです。越前そばの伝統はすごいけれど、定義云々には興味がなくて、それよりも“宗近そば”を売っていきたい。
木瀬 “宗近そば”というブランド構築は重要ですよね。
次ページ → かゞみやから、贈る文化をさらに進化させていきたい。
3.かゞみやから、贈る文化をさらに進化させていきたい。
-売り方にブランド力が加われば、売り上げも上がる。
木瀬 数多ある土産物店から、弊社を選ぶだけの理由、企画が必要です。例えばセットもの。ナショナルブランドもいいですが、弊社なら福井ブランドでの組み合わせが自由、それが強みでもあります。宗近さんのそば+そうめん+冷し中華で麺の詰め合わせもできますよ。
宗近 いいですね。今、弊社企画の“超バラエティパック”が人気ですが、自宅用ということで包装や熨斗を省きました。でも、それを贈り物として利用される方も多い。純粋に「美味しいモノを贈りたい!」ということです。
木瀬 美味しいモノが届けば、包装紙はそれほど重要ではないということ。それに、コロナ禍で店舗営業を自粛しましたが、インターネット注文は好調でした。お土産を含めいろいろな考え方や習慣が変わる過渡期なのでしょう。
一方、変わらないのは日本ならではの“贈る文化”。今後は、これまでになかった新しい贈る文化(習慣)”を、弊社発信で作りたいです。
宗近 弊社の発信といえば、先月オープンした対面販売スペースです。1日数名ですが、コンスタントに来客があります。
店づくりについて話をする二人
-インターネット販売は時流ですが、やはり実店舗は必要ですね。
木瀬 実店舗は大事だし、信用にもつながります。宗近さんの蕎麦を実店舗で食べられる日も近いとか?
宗近 いつかはと思っていますが、出店知識がまだまだ不足。まずは、弊社を知っていただく環境を整えることが先決。そして、インターネットと店舗の融合も考えています。
木瀬 宗近さんのそばは、生活の一部ながらお土産にもなる。手軽で庶民的なのに、高貴な雰囲気もあり、決して手を広げすぎない。そのバランスが素晴らしいと思います。
宗近 手を広げられないのが本音ですが(笑)。いつかの出店のために、いろいろと教えてください、よろしくお願いします!
地酒コーナーも充実している
『株式会社かゞみや』
昭和28年、株式会社を創業。福井県内ではテレビCM「ありがとうございます。かゞみやでございます」でお馴染み。現在、福井県内で5店舗を展開中。
宗近製麺(むねちか)
【住所】福井県越前市北町45-63-1
【電話】0120-22-3139
【時間】10:00~17:00(日曜、祝日除く)
【HP】あり
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