【まほろばなし】
2020/09/10
達‐TATSU‐(以下略、達):第三回目となりました「まほろばなし」、今回はまほろばの「公演」についてお話していきたいと思います。まほろばは和太鼓と歌の音楽ユニットということもあり、公演はアコースティックな形態になると思われる方も多いのですが、実際は同期演奏という手法を基本としています。
春‐HARU‐(以下略、春):結成当初から、「音楽」としてまほろばの世界観をお楽しみいただくのはもちろんのこと、和太鼓と歌との融合を多くの方に生で体感していただきたいという想いが強く、初期の頃はこのふたつを満たせる公演をどのように創りあげることができるか、ということを常に模索していました。その結果現在のような形態となりましたね。
――まほろば「ならでは」の公演を求めて
春:達さんは、これまでの公演の中でどのような事が印象に残っていますか?
達:2017年12月に行いました主催公演『HO. KO. LA』にて、まほろば公演作品で初めて脚本家、役者、イラストレーター、映像作家という異業種の方々と共に一つの公演を創り上げるという事がありました。脚本家の川名幸宏さんのご提案で、作品の一場面で僕自身の生い立ちを描いたお芝居を役者さん(丸山港都さん、笹本志穂さん)が演じてくださったのですが、自分たちの中にはなかった視点からの演出が斬新で、楽曲の色が変わっていくような新しい感覚があり、演奏にも大きく変化があったことをよく覚えています。
春:あの公演は新しい試みがとても多く、一つのイメージを全員で共有すること、そして同じ目的地に向かって仕上げていくことの大変さと喜びを改めて知りましたね。その経験を共にした皆さんとは、その後何度も一緒に公演を創り上げることになるのですが、まさにその始まりとなった回でした。
達:2018年8月に行ないました『HO. KO. LA ‐螢火‐』では「里帰り」をテーマに、まほろばによる演奏と役者さんによる演劇を交互に繰り広げる舞台を創り、2019年3月に行ないました『HO. KO. LA ‐風記‐』では「まほろばの音楽世界を旅する」というテーマのもと、演奏・朗読・映像で進行していく物語を創り・・・。公演の都度考え出す「音楽を具現化していく」ような演出の過程を経て、自分たちが行うべき公演というものの様々な形が見えていきましたね。
春:そうですね。反対に、演出から新しい楽曲の着想が浮かぶようなこともありました。実際に「開門」という楽曲は、まほろばを「祠の主」と設定した舞台演出から生まれた楽曲です。そのようなことも含めて、まほろばの音楽と舞台演出というのは常に深く結びついていると感じますね。
達:2017年5月に行った初単独公演『まほろばの夜明け』では、映像や演劇による演出もなく休憩も無しに、緊迫感・疾走感あふれる構成で世界観を演出しました。『HO. KO. LA』の華やかな舞台とは真逆とも言える『まほろばの夜明け』のような舞台も印象的でしたね。
春:昨年末の福井での公演は、私たちがこれまでに培ってきた様々な要素を生かしつつ、初めてまほろばの公演をご覧いただく故郷の方々にもお楽しみいただける、そんな演出・構成にこだわり創り上げた大きな節目となる公演になりました。
――まほろばにとって「公演」とは
達:公演では、お越しくださった皆様を「日常」から遠く離れた「非日常」へ、その日その場所にしか存在しない「まほろば(素晴らしい場所)」へとお連れしたい。僕たち二人が舞台に上がり演奏するだけでなく、時と空間も含めて別世界にするということを一番に考えて、様々なテーマで公演を創って来ました。
春:今思えば2017年に開催した第一回目の単独公演から、その想いは変わっていませんね。公演は音楽だけではなく、照明や映像、その他演出などによる空間創り、いわゆる「まほろば」という世界を創ること。そこに皆さんをお招きしてお楽しみいただくというのが理念となっています。
達:聴いてお楽しみいただける音楽作品として、そして公演では「非日常」を体感していただく舞台作品として、これからも多くのまほろば作品を生み出し、磨き上げていきます。
春:今回はまほろばの「公演」についてお話しました。
達・春:それでは、また次回のまほろばなしでお会いしましょう!
まほろば/ポップスの先端で培われたクリエイティビティーと和太鼓という一見相反する要素をオリジナリティー溢れる幻想的なサウンドとして奏でる夫婦音楽家。2017年1月にリリースした配信デビューシングル「大海に光りの舟よ」はiTunesジャンル別ランキングで1位を獲得。デビューからわずか4カ月後に行われた初単独公演ではチケットが完売など、和太鼓と歌を軸に創り出される音楽世界に引き込まれる人が続出。
まほろばofficial Web Site
【達 -TATSU-/和太鼓・作曲・編曲】
福井県の伝統を継承する和太鼓一家に生まれる。17歳でプロ邦楽集団を立ち上げ、日本のみならず海外での活動も行なう。ソロ奏者に転身後、ミュージカルでの全編作曲・編曲・演奏、様々な太鼓グループへの楽曲提供などコンポーザーとしても活躍する。DAWを使用する和太鼓奏者としても注目を集めており、2020年にRolandが発表した世界初の電子和太鼓〈TAIKO-1〉の開発にアドバイザーの一人として参加している。
【春 -HARU-/歌・作詞・作曲・編曲】
福井県出身。中島美嘉、CHEMISTRY、坂本真綾、Little Glee Monster などメジャーアーティストへの楽曲提供、CMソングの制作なども手がける作詞作曲家。多様なコンピレーションアルバムへの参加や、LOVE PSYCHEDELICO 武道館ライブのコーラスに抜擢されるなど、ボーカリストとしても活躍。まほろばの楽曲に多く見られる「言葉を唱える」ような歌詞は、呪術医(まじない師)であった祖父からの影響であり、独自の世界観をつくり上げている。
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