【まほろばなし】

【第ニ回】最新曲「さざらし」への想い

2020/08/03

7月17日(金)に配信リリースされた
最新曲「さざらし」のアートワーク

達‐TATSU‐(以下略、達):第二回目となりました「まほろばなし」、今回は先日7月17日(金)に配信リリースされました最新曲「さざらし」についてお話していきたいと思います。そもそも曲名となっている「さざらし」という言葉自体をあまり耳にしたことがない方も多いのではないかと思います。

春‐HARU‐(以下略、春):そうですね、「さざらし」は空想上の獣の名前として私たちがつけたものですが、実際に関東の一部地域では土地名や名字として存在しています。漢字表記は「九石」となり「石のような九つの牙を持つ獣」という意味でこの名前をつけました。


7月17日放送の日本テレビ系列音楽番組「バズリズム02」で紹介された、最新曲『きざらし』のMV

――新曲「さざらし」に込めたメッセージ

達:メインテーマは「もののけの世直し」ということで、いわゆる〈村祭り〉のイメージで作り始めましたよね?年に一度、土地神の化身である「さざらし」を山からおろし、褒め称えながら村中を練り歩かせることで穢れを祓う。その際に人々によって演奏される曲、というのがこの作品の軸となっています。

春:日本には様々なお祭りがありますが、大規模に行われる有名なお祭り以外にも、とても狭い地域内で人知れず言い伝えられているような古いものも多く存在していて。そういったものを調べていくと「人々が恐れるような容姿の生き物に神を宿らせて穢れを祓う」というものが各地域にあり、それを音楽で表現し、まほろばの作品として残したいなと思ったのが「さざらし」制作のきっかけですね。

達:そのようなお祭りや風習など、古い時代の日本で生まれ培われたものの中には、日本人としての生き方への学びも多くあるように感じています。「さざらし」の中にもそのような想いを込めたいと思いました。

春:「さざらし」は【まほろば羅針盤(*注1)】という企画の中の1曲ということもあり、イラストレーターの中塚理恵さんにイメージイラストを描いていただいています。デモ音源の段階からご本人に聴いていただき、実際にお会いして様々なやり取りを重ね、まほろばの世界観をイラストにしていただきました。日本文化に深く精通していらっしゃる中塚さんとのやり取りは非常に刺激的で、「さざらし」の世界観も見事に具現化をしていただきとても有意義な時間でしたね。

達:公演ではイラストの「さざらし」も映像で登場するのですが、昨年の「みくに未来ホール」さんでの単独公演では大きなスクリーンを使用させていただいたので、さざらしも大迫力でしたね!


昨年11月、三国町で行なわれた単独公演の様子

――制作時の想い出

春:これはまほろばの作品全てにおいて言えることですが、日本的なメロディや歌詞・サウンドはもちろんのこと、エレクトリックな部分も融合させていくことで新しい「祭り感」を出して行きたかったので、そのバランスには苦戦しましたね。特に〈まだ見ぬ民族楽器による賑々しい入場曲(ファンファーレ)〉を意識して制作したイントロ・間奏部分は、華やかさに加えてどこか狂気のようなものを感じさせる、中毒性のあるものに仕上げたかったので、音選びとメロディライン作りには特に時間をかけました。

達:おどろおどろしい雰囲気を作るにあたり、もののけの唸り声や足音をイメージした音も散りばめましたね。迫りくる感覚や湿度の高さを感じさせるような演出、世界観の表現にも力を入れました。太鼓では、駆け回るような疾走感や、さざらしが持つ「力」を表し、太鼓の打音が邪気を祓うが如く演奏をしています。

春:達は幼少時代から太鼓奏者として福井県の様々なお祭りでも実際に太鼓を打ってきていますし、私の中にある「お祭り」のイメージにもやはり地元福井県のものが強いので、老若男女誰もが楽しめて、でもどこか異空間に来てしまったようなあの独特な雰囲気を思い出しながら曲作りをしていました。

達:「日々URALA」をご覧の皆さんにも、そのような雰囲気を感じながら「さざらし」をお楽しみいただけると嬉しいですね。

春:今回は7月17日(金)に配信リリースされました最新曲「さざらし」についてお話しました。

達・春:それでは、また次回のまほろばなしでお会いしましょう!

(*注1)【まほろば羅針盤】…〈音と絵が紡ぎ出す、新たなまほろばの物語〉をテーマにした特設サイト。https://www.w-mahoroba.jp/rashinban/


PROFILE

まほろば/ポップスの先端で培われたクリエイティビティーと和太鼓という一見相反する要素をオリジナリティー溢れる幻想的なサウンドとして奏でる夫婦音楽家。2017年1月にリリースした配信デビューシングル「大海に光りの舟よ」はiTunesジャンル別ランキングで1位を獲得。デビューからわずか4カ月後に行われた初単独公演ではチケットが完売など、和太鼓と歌を軸に創り出される音楽世界に引き込まれる人が続出。
まほろばofficial Web Site

【達 -TATSU-/和太鼓・作曲・編曲】
福井県の伝統を継承する和太鼓一家に生まれる。17歳でプロ邦楽集団を立ち上げ、日本のみならず海外での活動も行なう。ソロ奏者に転身後、ミュージカルでの全編作曲・編曲・演奏、様々な太鼓グループへの楽曲提供などコンポーザーとしても活躍する。DAWを使用する和太鼓奏者としても注目を集めており、2020年にRolandが発表した世界初の電子和太鼓〈TAIKO-1〉の開発にアドバイザーの一人として参加している。

【春 -HARU-/歌・作詞・作曲・編曲】
福井県出身。中島美嘉、CHEMISTRY、坂本真綾、Little Glee Monster などメジャーアーティストへの楽曲提供、CMソングの制作なども手がける作詞作曲家。多様なコンピレーションアルバムへの参加や、LOVE PSYCHEDELICO 武道館ライブのコーラスに抜擢されるなど、ボーカリストとしても活躍。まほろばの楽曲に多く見られる「言葉を唱える」ような歌詞は、呪術医(まじない師)であった祖父からの影響であり、独自の世界観をつくり上げている。



日々URALAからのお知らせをLINEで受け取れます!




#コラム#連載#音楽

  • ツイートするツイートする
  • シェアするシェアする
  • 送信する送信する