【まほろばなし】

【第六回】音で繋がる世界

2020/12/09


達‐TATSU‐(以下略、達):第六回目となりました「まほろばなし」。今回は今年最後の記事ということもあり、この先の未来に想いを馳せる、そのような回にできたらと思います。

――希望の連鎖

春‐HARU‐(以下略、春):2020年は世界的にも大きな変化の年となりました。多くの方が予定通りには物事が進まず、今も不安な日々を過ごされていることと思います。まほろばも予定されていた公演等を中止にするなどありましたが、その中で私たちに出来ることは何か、すべきことは何かと問いながら活動する、そんな日々が続きました。

達:元々、絶望のなかの光を求めてはじまった「まほろば」。だからこそ、このような時に寄り添える「音」があるのではないかと二人で話していました。まずは僕たちの「音」に触れている方々に希望のかけらを感じていただくことができれば、その希望はその方を通じて次の誰かの希望へと繋がっていくのではないかと思いました。現状、僕たちの活動に制限はあるものの、その中でもやはり音楽を作り届けることが僕たち自身にとっても希望を作ることになると感じています。

春:そうですね。本当に多くの想いや考えが、今も絶え間なくめぐり続けています。一方で、昨年の6月にまほろばのブログ《まほろば日記》の中で「2020年からは『風の時代』が始まる」という話に少し触れたのですが、まさに新しい時代の到来を予感させるような一年、という面もあったように感じます。

達:「風の時代」というと、《まほろば日記》の中では「時代の節目」について話していたよね。

春:「風の時代」というのは、およそ200年ごとに訪れる「時代の節目」のひとつらしいのだけど、2020年までは「地の時代」が200年以上続いていたらしくて。「地」は物質的なものの象徴、そして「風」は情報や精神などを象徴しているということで、一般的には「価値の意識が物質的なものから情報や精神的なものに移行していく」と言われているようです。この概念には様々な見方があると思うけれど、私としてもこの1年「人と人とのつながり」や「人と土地とのつながり」「心の源」のように、目には見えない部分を更に深く考える機会が多くあって、生きるために本当に必要なもの、大切にしたいものがどんどんはっきりしていくような、そのような年だったと感じています。

――故郷を想い作り上げた曲「我が里」

春:突然会えなくなってしまった家族や友達、足を踏み入れることが難しくなってしまった土地のことを思うと、やはりこれまでにないやりきれなさがあって。窓から入ってくる風の中に、たとえわずかでも、懐かしい香りを見つけたり、日常の一つ一つの行いの中に家族や故郷を思い出すことがとても増えました。そのような中で、2020年最後となるこの記事で、故郷福井県のウェブメディア「日々URALA」をご覧いただいている方々にぜひ聴いていただきたいと思う曲がありまして、こちらの記事に合わせて映像を公開しました。

達:僕たちは夫婦ともに同じ「福井」という土地を故郷に持ち、今は故郷から離れた場所で音楽活動をしていますが、そんな僕たちが2017年に発表した「我が里」という曲です。

春:この曲は、人々が様々な土地をまだ自由に行き来できなかった時代、生まれた場所で一生を過ごすことが当たり前だった時代に生きた人々に想いを馳せ、そして今、東京で活動する自分たちに故郷と呼べる場所があること、そしてその故郷を守ってくれている家族や土地の人々がいることに、感謝の気持ちを込めて作ったものです。

達:この曲はまほろばの作品の中でも非常にシンプルな構成ですが、「民唄」として、皆で声を合わせて歌う様子を想像して作りました。例えば、遠いご先祖様が村の農業などでの作業歌として、また祭りの焚き火を囲み皆で歌われていたような。子供たちへと伝えたい想いを込めて語られていくよう、時に歌詞が変化しながらも長く歌い継がれてきたような、そんな歌にしたいという想いを込めています。まほろばの公演では時を越えて、場所を越えて「人と人とのつながり」や「人と土地とのつながり」を感じながら、今では直接会えなくても遠くにいても、想いを受け継ぎ奏でることで繋がり互いを感じ合えたなら。いつもそのような気持ちで演奏をしています。

春:以下でご覧いただけます映像は、昨年11月にまほろばとしては福井初の単独公演となりました「みくに未来ホール」での演奏となります。まほろばの「我が里」、ぜひ歌詞とともにご視聴ください。

達:今の僕たちもそうなのですが、思うようにいかない日々はこれからも暫く続くかもしれません。それでも心は貧しくならないよう、温かく優しい光をひとつずつ作り、少しずつ世界が明るくなっていくように、明日が来ることが楽しみになるように、僕たちの音をお届けしていきたいと思います。一人で戦わなければいけないときはありますが、自分が誰かを気にかけているように、真には一人ではないということを感じていただければ。かつての僕が音楽で救われたように、不安な日々を過ごされている方にまほろばの音楽が寄り添ってくれればと強く願います。

春:本当にそう思います。今後もまほろばの音楽を通して多くの方と繋がっていきたいですね。

達・春:それでは、新しい年が皆様にとって良い年となりますよう心よりお祈り申し上げます。また次回の「まほろばなし」でお会いしましょう!


「我が里」
作詞・作曲・編曲:達-TATSU- 春-HARU-

男らは 汗をかき田を耕す
焼けた肌に いくつもの運命を背負い
海も知らぬが 山も知らぬが その足で
男らは 我が里の田を耕す

女らは 風を読み種をまく
揺れる裾に 染みついた土の香りよ
鳥にもなれぬ 蝶にもなれぬ その腕で
女らは 我が里に種をまく

子供らは 命をつないでゆく
光る眼に 汚れなき明日を宿して
にらめっこしましょ 笑うは負けよ その笑顔
子供らは 我が里を歌い継ぐ

時の世は 古より続く道
巡り巡るは 幸せと不幸せ
恐れはいらぬ 迷いもいらぬ その命
いつか必ず 我が里の土に還る


【まほろば「我が里」- Live(2019)】


PROFILE

まほろば/ポップスの先端で培われたクリエイティビティーと和太鼓という一見相反する要素をオリジナリティー溢れる幻想的なサウンドとして奏でる夫婦音楽家。2017年1月にリリースした配信デビューシングル「大海に光りの舟よ」はiTunesジャンル別ランキングで1位を獲得。デビューからわずか4カ月後に行われた初単独公演ではチケットが完売など、和太鼓と歌を軸に創り出される音楽世界に引き込まれる人が続出。
まほろばofficial Web Site

【達 -TATSU-/和太鼓・作曲・編曲】
福井県の伝統を継承する和太鼓一家に生まれる。17歳でプロ邦楽集団を立ち上げ、日本のみならず海外での活動も行なう。ソロ奏者に転身後、ミュージカルでの全編作曲・編曲・演奏、様々な太鼓グループへの楽曲提供などコンポーザーとしても活躍する。DAWを使用する和太鼓奏者としても注目を集めており、2020年にRolandが発表した世界初の電子和太鼓〈TAIKO-1〉の開発にアドバイザーの一人として参加している。

【春 -HARU-/歌・作詞・作曲・編曲】
福井県出身。中島美嘉、CHEMISTRY、坂本真綾、Little Glee Monster などメジャーアーティストへの楽曲提供、CMソングの制作なども手がける作詞作曲家。多様なコンピレーションアルバムへの参加や、LOVE PSYCHEDELICO 武道館ライブのコーラスに抜擢されるなど、ボーカリストとしても活躍。まほろばの楽曲に多く見られる「言葉を唱える」ような歌詞は、呪術医(まじない師)であった祖父からの影響であり、独自の世界観をつくり上げている。



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#コラム#連載#音楽

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