冬の静けさを残しながら、春の足音が近づいてくる季節。
近くの自然に足を伸ばしてみたり、カフェに寄り道してみたり、ちょっとだけアクティブに「ひとり時間」を楽しんでみませんか?
作品と向き合い、自分と向き合うアートな時間も贅沢。春を先取りした豊かな彩りを毎日の生活に。

美術鑑賞 / 大人の教養
作品と向き合い、審美眼を磨く時間。
美術館に足を伸ばして、作品を前に知識を深めたり、感性を磨いたり。大人の教養を身につけたい時にも「ひとり時間」はうってつけ。「茶杓や茶入れにはマニアックな見どころがあって面白いですよ」と話すのは、『福井市愛宕坂茶道美術館』の学芸員、髙島礼さん。茶道具と聞くと、つい茶碗や掛け軸を思い浮かべてしまいがちだが、素朴な印象のある茶杓や茶入にも奥深い日本の美を見いだすことができるという。
例えば、茶入は伝来や所持者が重んじられ、茶道具の中でも特にこだわりがあるもの。お茶会の拝見物の中でも主格の道具とされ、通常は焼き物で象牙のふたがつき、仕覆(しふく)という袋に入れて用いられる。全体のフォルムや釉薬の調子、細部の意匠、付属品からかつての持ち主に思いを巡らせるなど、鑑賞のポイントも多岐に及ぶ。「ちょっとの予備知識があるだけでもアート鑑賞の楽しみ方は広がります」と髙島さん。
髙島礼さん 学芸員
企画展「茶人のお言葉」について、「現代にも通じる茶人たちの名言を取り上げます。春に向けて、新生活へのヒントが見つかるかもしれません」。訪れた先では近くの美術館を訪れて、企画のヒントを探す「ひとり時間」を過ごすことも多い。「何か1点でも印象に残るような作品との出会いを心がけています」。日常の暮らしにちょっとの贅沢を取り入れるのが「理想のひとり時間」だそう
企画展情報
茶人のお言葉
2月27日(土)~5月12日(水)
武野紹鴎や千利休、古田織部ら茶人が残した名言とともに、ゆかりの茶道具を紹介する企画展。千利休筆の掛け軸など20点あまりを展示。
観覧料100円。会期中、無休
福井市愛宕坂茶道美術館
【住所】福井県福井市足羽1-8-5
【電話】0776-33-3933
【時間】9:00~17:15(入館は16:45まで)
【休日】年末年始、展示替え等による臨時休館日
【駐車場】あり
【HP】あり
カカオ / テイスティング
カカオの繊細で奥深い香りを五感で楽しむ。
大きな窓越しに足羽山の自然と街並みを眺めながら、静かな時間を過ごすことができる『山奥チョコレート 日和』。「ひとりで過ごすのであれば、ぜひテイスティングセットを楽しんでいただきたいですね」と話すのは、マネージャーの桑原正成さん。
チョコレートの原料となるカカオ豆の産地や素材から厳選して、一貫して自社で作り上げる「ビーントゥバー」のお店ならではのメニュー。マダガスカルやタンザニア、コスタリカ、ガーナ、ベトナムと5種類の産地のカカオ豆で作る本格チョコレートを食べ比べ。「一口サイズに割って、口の中でころがすように溶けていくのを待つのがポイント。そのため、一通り食べ終わるまでに時間が必要となります」(桑原さん)
5種類の中では比較的、個性や特徴が強くないマダガスカルから順番にじっくりと。ひとりなら時間を気にすることなく、味や香りの違いを感じながら、テイスティングを楽しむことができそうだ。
桑原正成さん マネージャー
県外でパティシエとして経験を積む中で、本格的なチョコレートづくりに興味を抱くようになり、『山奥チョコレート 日和』のオープンに合わせて福井にUターン。店舗運営や製造、商品開発などを手掛けている。「(仕事で朝が早いので)朝ご飯をしっかりと食べたり、コーヒーを飲んだりしながらゆったりとした朝の時間を過ごすのが贅沢なひとり時間の過ごし方だと思います」
山奥チョコレート 日和
【住所】福井県福井市山奥町58-85-1
【電話】0776-25-0108
【時間】10:00~17:00(16:00LO)
【休日】月・火曜(祝日の場合は営業)
【席数】50席
【駐車場】17台
【HP】あり
【SNS】Instagram
月刊ウララ3月号(582円+税)は『静かなひとり時間』より福井で見つける、私のためだけの自由時間をご紹介。また今、気になる場所・ヒト・コトをご紹介する『What’s Hot』もお見逃しなく。書店、コンビニ、通信販売で好評発売中です。ぜひご覧ください。
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春を感じる / 季節のスイーツ
気持ちも春色になる穏やかなひととき。
芽吹きの季節を先取りするように、黄色く小さな花を咲かせるミモザ。ヨーロッパでは春を告げる花として人気が高く、イタリアでは3月8日を「ミモザの日」と呼んでいるそう。その美しく、華やかな雰囲気と重なるような「ミモザケーキ」を見つけた瞬間、雪解けのように心の緊張もほぐれていく。
『TRONC』の紺野千春さんが作る「ミモザケーキ」は薄めのスポンジ生地に、柔らかめのクレームディプロマート、3種の柑橘類を使用したマーマレードを重ねた七層仕立て。細かく砕いたスポンジ生地をミモザの花に見立てた淡い色彩で、「春に向けた雰囲気を感じてもらえるようにと、味や食感をイメージしながら作っています」(紺野さん)。
「ミモザケーキ」は、桜が開花して本格的な春が訪れる前の1か月ほどの期間限定。去り行く冬への別れを惜しみながらも、確かな春の足音に心を弾ませながら、季節のひとりスイーツ時間を楽しみたい。
紺野千春さん スタッフ
「仕事が終わってお店を離れるとすぐに気持ちが切り替わるので、特に『ひとり時間』を意識することは少ないですね。好きな音楽を聴いたり、好きな動画を見たり、好きな香りと一緒に家での時間を過ごしていることが多いかもしれません。『ひとり時間』で思い浮かべる言葉は準備や練習。社会に出る前に心を準備するための時間だと思います」
TRONC(トロン)
【住所】福井県福井市加茂緑苑町222
【電話】0776-63-6567
【時間】11:00〜16:00(売り切れ次第終了)
【休日】不定休(HPを参照)
【駐車場】5台(土・日曜、祝日は第2駐車場も利用可)
【HP】あり
【SNS】Instagram
※現在はテイクアウトのみ
丁寧な食 / 自分ご褒美
おうちの食卓を彩るように、心躍る贅沢。
一見シンプル。だけど味付けにこだわった『salut』のごはん。
メニューは日替わり。ある日の献立は、ごぼうやひじき、木綿豆腐をつなぎにつかったハンバーグと、塩を振って一夜干ししたサバのマスタード焼きがメインのおかず。「ハンバーグは特製の照り焼きタレ。マスタードも自家製。市販のものを使わず、一つひとつの工程を大事にしながら調理しています」と説明してくれたのは、店主の中野環さん。できるだけ季節の食材を取り入れるように心がけているのはもちろんのこと、冬から春への季節の移り変わりに合わせて、煮物から焼き物へと調理法にも変化を取り入れていく。
週に何度も訪れる常連客の姿も。平日には贅沢なひとりご飯を楽しむ人の姿も増えているそう。調理は注文を受けてから。帰り際に「『丁寧に作っていますね』『夜の献立の参考にします』などとお客様から声をかけられるのが一番うれしいですね」と、中野さんは笑顔を見せる。
中野環さん 店主
「2年ほど前から働き方を見直して、余裕をもって自分時間を過ごせるように考え始めました。家や時には静かなカフェにも寄り道して、珈琲を飲みながら過ごす時間が大好きですね。読書をしたり、考え事をしたり、時々“無”になってみたり。いろいろなことをリセットするための大切な時間だと思います。朝の決まった時間に効率よく家事をこなすことで、平日の夕方などに『ひとり時間』を確保できるよう心がけています」
salut(サリュ)
【住所】福井県福井市門前1-204-1
【電話】0776-33-3603
【時間】11:00~15:00
【休日】月曜、金曜
【席数】20席
【駐車場】10台
【SNS】Instagram
月刊ウララ3月号(582円+税)は『静かなひとり時間』より福井で見つける、私のためだけの自由時間をご紹介。また今、気になる場所・ヒト・コトをご紹介する『What’s Hot』もお見逃しなく。書店、コンビニ、通信販売で好評発売中です。ぜひご覧ください。
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注目の作家 / 読書
森博嗣 著 講談社文庫/620円(税別)
思う存分、ひとり読書に没頭してみる。
JR鯖江駅からほど近い場所で、昭和30年から続いている『富士書店』。2年前にリノベーションを行い、テラス席もある「本屋カフェ」には、読書好きな人たちが居心地の良さを求めるように足を運ぶ。
常連客からのおススメも取り入れながら、訪れるたびにワクワクする本に囲まれた空間を作るのは店主の山本みどりさん。彼女にとってもたくさんの本が並べられた場所は、「不思議と心が落ち着いて、ひとり時間を過ごすことができる理想的なところですね」。プライベートなひとり時間にも「本屋や図書館に行きたくなります」。
お店の一角に特設コーナーを設けるほど今、注目しているのが作家で工学博士の森博嗣(もり・ひろし)さん。柔らかい雰囲気の装丁とは対照的に、鋭い視点から書かれた短いエッセイ、代表作には『すべてがFになる』などのミステリー小説と、多作の著者としても知られ、思う存分、ひとり読書に没頭できそう。
山本みどりさん 書店店主
新刊や注目の本を積極的に取り入れながら、何度訪れても飽きさせないお店作りを心掛けている。店内ではドリンクメニューも提供していて、ブックカフェのような時間と空間を提供しているほか、「富士商店」と題したイベントも開催している。「私がイメージするひとり時間は、好きなことに自由に使える時間のこと。最近は家族や友達と一緒にいる時もひとり時間を楽しめるようになりました」
富士書店
【住所】福井県鯖江市本町1-1-20
【電話】0778-51-0475
【時間】正午~18:00(水曜は17時まで)
【休日】日・月曜、不定休
【席数】15席
【駐車場】3台
【HP】あり
【SNS】Instagram
家電ゴミ / アート
至高のアートと対峙してSDGsについて考える。
ハリウッド製作の映画が米映画祭で4部門を受賞し、ベンチャー企業の登竜門「ICCカタパルトGP」で優勝を果たすなど、世界のアート界、ビジネス界が注目している福井出身の美術家・MAGO。彼の作品を展示するギャラリーが福井の駅前に昨年オープンした。
彼のアートには先進国がガーナに不法投棄した電子機器のゴミが付いている。中には日本語で書かれたものも。日本から遠くアフリカの地に捨てられ、そこに住む人はそのゴミを燃やし金属を取り出すことを生業とし、その結果、有毒ガスの影響で平均寿命が30代という現実。そんな状況を救いたいとひとり活動を始め、その輪が世界中に広がっている。
彼のアートはまさにSDGsの根幹を象徴している。実際にアートを前にすると環境問題や平和、自分たちの行動を見つめ直す意識が生まれてくる。「サスティナブルキャピタリズム」を掲げ、SDGsを行動で示す彼のアートが胸を打つはず。
長坂真護さん 美術家
1984年福井市生まれ。大阪・滋賀・福井・銀座に次いで、倉敷の美観地区に5番目のギャラリーがオープン。日本橋のアトリエにて日々制作が続く中で作る「ひとり時間」は、週末急に思い立って車で田舎に出かけ、そこにある自然を眺めること。さまざまな事業を展開し、時間も少なくなっていく中、メンバーとスケジュールをシェアしているが、空白の時間帯を作ってもらうことでひとりになれる時間を設けているという。
MAGO GALLERY FUKUI
【住所】福井県福井市中央1-13-4
【時間】正午~19:00(日曜日は18:00まで)
【休日】火・水曜
【駐車場】なし
【SNS】Facebook
月刊ウララ3月号(582円+税)は『静かなひとり時間』より福井で見つける、私のためだけの自由時間をご紹介。また今、気になる場所・ヒト・コトをご紹介する『What’s Hot』もお見逃しなく。書店、コンビニ、通信販売で好評発売中です。ぜひご覧ください。
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