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2021/04/11
今、SNSで加速度的に注目を集める写真家がいるのをご存知でしょうか? その人の名前はAkine Coco。何気ない福井の風景や日常を投稿したTwitterが多くの人に「いいね」をもらい、遂には写真作品集『アニメのワンシーンのように。』を発売してしまった、福井県在住の写真家です。
「旅行が好きで、もともとミラーレス一眼は持っていましたが、普段は埃を被っていましたね」。そう語り始めたAkineさんに、本格的に写真を撮り始めてからのこと、写真集が出版されるまでのこと、出版後の反響など、さまざまなことを伺いました。
――埃を被るまで放っておいたカメラですが、本格的に写真を始めたのはいつからですか?
2019年6月ごろです。まわりで写真を始める知人が増えたというのが一番の理由です。
――今ではフォロワー数20万人越えのTwitterですが、投稿を始めたのはいつからですか?
写真を始めてから2カ月後の2019年8月からです。SNSで写真を投稿して盛り上がるという文化があるのを知らなくて、面白そうだなと思って。Twitterを始めたことは誰にも言わなかったので、フォロワー0からのスタートでした。
――作品集のタイトルであり、Akineさんの写真テーマでもある「アニメのワンシーンのように。」。この言葉が生まれたきっかけを教えてください。
もともとアニメが好きで、アニメを見てから寝るっていう習慣があったくらい、ずーっと見てたんですけど、去年の3月くらいかな……。暇ができたので、常にカメラを持ち歩いて、いろんな場所を撮影していたんですが、仕事帰りに見た夕日がすごくきれいで。その時に何気なく撮った写真が、新海 誠監督の映画『君の名は』みたいな雰囲気があって、めちゃめちゃかっこいいなと思ったんです。その時ですかね「アニメのワンシーンのように。」っていう、自分の撮りたい写真のテーマがはっきり見えたのは。
――Akineさん目線で切りとった福井の風景を1ページ、1ページ見ていると、「何もないけど、何かある」「何もないが面白い」そんなことを感じました。
僕もそうだったんですが、学生のころは遊びたいじゃないですか? でも福井には遊ぶ場所がないから、金沢まで行ったりして……。常に“何もない、何もない”っていうネガティブな発言ばかりしていたんですが、写真を撮るようになって「何もないがある」っていう、その良さに気づけました。
写真を始めた当初は京都や大阪といった、人の多い場所で写真を撮ったりもしていたんですけど、コロナの影響もあって、県外に行くことができなくなってしまって。それで、もっと身近な地元で撮っていこうと思ったんですよね。そしたらすごく楽しくて。それこそ人気のスポットはみんな撮ってるじゃないですか。もちろんそれもいいんですけど、身近な場所って誰も撮ってないから、自分だけのお気に入りのスポットになったり、特別感を感じるというか。それは、ただの道でもいいんですよね。
――作品集『アニメのワンシーンのように。』のお話になりますが、出版社の方からコンタクトがあったのはいつごろですか?
2020年の7月ごろだったと思います。ちょうどそのころ投稿したTwitterに40万超えの「いいね」がついて、それを見た出版社の方がダイレクトメッセージを送ってきてくれたんです。初めてのことだからよく分からなくて、こういうことってよくあるのかなって笑。でも、すごくうれしかったことは覚えています。
担当の方がめちゃめちゃ熱い方で、「こうしたいです! ああしたいです!」って何回も連絡をくださって、「ああ、この人に任せれば、絶対にいいものができる!」と、自分の中で感じるものがありました。今はこんな時期なので、まだリモートでしかお会いしたことがなくて、直接ご挨拶できる日をとても楽しみにしています。
――作品集を制作するにあたり、何枚もの候補カットがあったと思います。写真のセレクトはAkineさんご自身が行なったんですか?
たまに「こうしたら?」というアドバイスはいただきましたが、写真のセレクトや構成は自由にさせていただきました。撮り下ろしも含め、200以上の写真を掲載しているんですが、7割が福井、3割が県外です。作品集に物語性を出したかったのでコンテンツを「夏の記憶を巡る」「夕暮れの魔法」「アフターダーク」「秋風に吹かれて」「続く世界」の5つに分けています。また、アニメっぽさを表現したいと思い、画角は基本的にはヨコ主体になっています。
――「アニメのワンシーンのように。」というテーマをくれた、仕事帰りに見た夕日の写真は掲載されているんでしょうか?
最初は候補に入っていたんですが、途中で外したんです。作品集を作るのに半年ほどの時間をかけているんですが、何度も何度も流れを考えていく中で、言葉では言い表しにくいんですが、感覚的に何かが違うなと思ったんでしょうね。