【福井ラーメン探検隊】
2021/04/09
今回我々が訪れたのは敦賀市役所近くにあり、「敦賀ラーメン」の礎を築いたひとつともうたわれる老舗『中華そば 一力(いちりき)』だ。約60年前に屋台から創業し、1977年より今の場所にお店を構える。現在は2代目が店を継いでいるが、なんと元フレンチのシェフという経歴の持ち主。
その腕を生かして屋台からの味をさらにブラッシュアップさせた中華そばは、2008年に期間限定ではあるが北陸のラーメン店では初となる『新横浜ラーメン博物館』に出店を果たした。『一力』の名は一躍全国的となり、今でも昼時にはその味を求めて客があふれる人気店なのだ。
「肉汁がジュワッ! 熱々が旨いワンタン」
その中でもコアなラーメンファンに根強い人気なのが、今回狙うお宝「ワンタン麺」。
元々は飲茶(ヤムチャ)の一品であるワンタンだが、この中華そばでは脇役ではなく、麺の存在を奪うほどの主役クラスなのだ。
皮は麺と同じく、特注で多加水のものを使っているからプリプリ。そして餡にはチャーシューと同じ部位の豚ロースを粗く挽いたミンチがたっぷり。麺とチャーシューの“良いとこ取り”をしたようなワンタンは、頬張るとスープの旨みを吸った肉汁がジャワッとあふれる! それはまるで小籠包のようでもあり、熱々のときに食べると火傷しかねないので、心してかかるべし。少し待てば、よりスープを吸い濃厚な味へと変化するのだ。
ワンタンを食した後は麺とスープ。国産の豚骨・鶏ガラベースの醬油スープは、こってりした見た目だが意外とスッキリ。素材をじっくり“煮出し”しているので、やさしい味ながらも深いコクを感じる。さらに、香りづけのために振られている黒コショウが、さりげなく味をキュッと引き締める。
「やわらかくても切れない! その秘密はウェーブにあり」
このスープの味をしっかり絡めとるのは、特注の“多加水熟成ウェーブ麺”。かなりやわらかめだが、ウェーブをかけることより絶妙な食感を残しているのだ。彩りを鮮やかにしている紅ショウガもさっぱりとしていい箸休めに。さりげなくいい仕事をする。
このこだわりが詰まった『一力』の中華そばだが、実は自宅でも楽しめるのだ。パッケージには「銀河鉄道999」のメーテルと鉄郎がラーメンを食べるデザインが。これは1999年、敦賀駅前のシンボルロードに「銀河鉄道999」のオブジェを設置することになった縁で、作者の松本零士先生が『一力』のラーメンに出会い、気に入ったことからデザインを描き下ろしたのだとか。
今回いただいたのは、敦賀ラーメンの祖ともうたわれる『一力』の「ワンタン麺」だ。昔ながらの変わらぬ味のようだが、実は、屋台時代からの味をそっくりそのままにせず、良い部分だけを残して進化し続けているのだ。だから、時代とともに変わっていく人の味覚にフィットしていく。今でも店主は、ときどき新しいダシ作りにチャレンジすることもあるのだとか。新メニューが加わる日はそう遠くないかもしれない……。その時が待ち遠しい!
探検隊レポート
スープの濃さ:こっさり
麺の種類 :中細ウェーブ
ボリューム :普通
中華そば 一力
【住所】福井県敦賀市中央1-13-21
【電話】0770-22-5368
【時間】11:00~18:30
【休日】火曜(祝日の場合は翌日)、不定休
【席】24席
【駐車場】21台
【HP】あり
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