タグを指定
【気象予報士 二村千津子の風と雲】
2021/05/01
5月です。大型連休まっただなかですが、今年も、新型コロナウイルスのために、存分にお出かけを楽しむ空気ではなくなってしまいましたね。でも5月の福井は、桜がほかの花々に主役を譲り、ハナミズキや藤、ツツジや色とりどりのバラなど、植物の勢いを感じる1カ月です。
遠出せずとも、ぜひ、おうちの周りの植物のパワーを味わっていきましょう。
5月は、暦の上では夏が始まります。よく「暦の上で」という言葉を耳にすると思いますが、今回はこの暦について少しお話します。
暦の上で…のベースになっているのが二十四節気。二十四節気は、ざっくり言うと太陽と地球との位置関係で季節を24に分けたもの。
春分、夏至、秋分、冬至、なども二十四節気です。
そして、24の季節をさらに3つずつ分けて、「七十二候」といわれる暦もあります。さすがに、すべてはご紹介できませんが、今月の二十四節気と七十二候をお話しすると
5日/立夏(りっか)
6日/蛙始鳴(かわずはじめてなく)
→カエルが鳴き始める頃
10日/蚯蚓出(みみずいずる)
→みみずが地上に出てくる頃
15日/竹笋生(たけのこしょうず)
→たけのこが出てくる頃
21日/小満(しょうまん)
22日/蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)
→蚕が桑の葉を盛んに食べだす頃
26日/紅花栄(べにはなさかう)
→紅花の花が咲き誇る頃
31日/麦秋至(むぎのときいたる)
→麦の穂が実り始める頃
「立夏」と「小満」が二十四節気そのほかが七十二候です。お気づきだと思いますが、二十四節気は漢字2文字、七十二候は漢字3~4文字です。七十二候は、その時々の植物や動物の季節ごとの移ろいをそのまま表現しているのでよりイメージしやすいかもしれません。
厳密にいうと、少し実際の季節とずれを感じるものもあるのですが、もともと、この二十四節気や七十二候は、ものすごい昔の中国の黄河流域の地域で生まれた暦なので島国の日本の気候とは少し季節感にズレがあるのです。ただ七十二候に関しては、時代とともに日本の風土気候に合うものに変わったものもあり、季節の歩みの目安には十分になるんですよね。
例えば、竹笋生(たけのこしょうず)は文字通り、たけのこが出てくる頃を意味しますが、
私も去年5月にタケノコ掘りに参加させていただきました(笑)
そして5月の終わりの頃の麦秋至(むぎのときいたる)というのは、福井の方にとってはなじみのある風景かと思いますが、麦が黄金色に輝く時期です。
七十二候を意識していると、「そろそろこの時期なんだな」と旬のものをいただいたり、それから、着る服の準備をしたりすることができます。
皆さんの生活の中に「暦」が少しでも身近なものになってくれると嬉しいです。
二十四節気の「立夏」と「小満」。「立夏」はその名の通り、夏のスタートです。
この時期に使われる風の名前に「薫風」とか「若葉風」などがあります。新緑の鮮やかさが伝わるような風の名前です。春までとはちょっと違う、太陽の力強さも確実に増してきたけれど吹く風が心地よく感じられるからかもしれません。
一方、「小満」は、「立夏」に比べるとマイナーな(笑)暦です。
小満は「草木などが次第に生長し、いろいろなものが満ち溢れてくる」頃を意味しています。この満ちてくるものの中に「水蒸気」があります。それもそのはずで、沖縄地方など、「小満」の頃には梅雨の時期を迎えています。県内も梅雨の時期に向かって、少しずつ、空気感が変わってくるころです。
いずれにしても、5月は、太陽の力強さの存在感が確実に増します。というのも福井市の月ごとの日照時間(日差しが出ている時間)の統計を見てみると、5月の日照時間は8月に次いで多いのです。
ちなみに東京は、12カ月中、5番目なんです。年間で最も多いのが1月、ついで12月、4月、5月ときて5番目の多さ。昼間の長さが短い冬に日照時間が多いのは、東京の「冬晴れ」の多さを表していますね。
日差したっぷりの5月の福井の紫外線は、残暑が厳しい9月よりも強いです。
9月とは空気感が全く違って、空気がカラッとして、過ごしやすいだけに油断をしがちです。私は、5月の晴れた日は、だいたいこんな感じです(笑)
最近は男性も日傘を差す方も増えているようです。ぜひとも本格的な紫外線対策をきょうから始めましょう。
そして、5月の下旬ころまでには一度は真夏のリハーサルのように、最高気温が30度を超えるような日があります。そして、私は、必ずと言っていいほど、これを食べてました(笑)
あるデータによると、気温が25度以上で”冷や麦”の売れ行きがよくなる、というものがあるので、そろそろ食べたくなる方も増える頃かもしれません。
8月は確かに晴れの日が多いですが、暑さが猛烈です。それを考えると、5月の晴れを楽しまない手はありません。
新年度が始まって1カ月。
ちょっと緊張しながら過ごす中で、少しずつ凝り固まってきた体や心をほぐしに森の中で思い切り深呼吸するもよし、お堀端をお散歩するもよし、積極的にリフレッシュしましょう。
ただし、くれぐれも5月が終わったら一気に日焼けしてた…なんてことがないようにご注意を。私も気を付けます。
二村千津子(ふたむらちづこ)
福井市出身。気象予報士、防災士、健康気象アドバイザー。2008年7月から2009年9月まで、中京テレビ「おめざめワイド」「ズームイン!SUPER!!」お天気キャスター。2014年4月から2017年3月までテレビ朝日「モーニングバード」(現在は「羽鳥慎一モーニングショー」)にて「ふた天」を担当。同年4月からNHK福井放送局「ニュースザウルスふくい」に出演中。アメブロ
日々URALAからのお知らせをLINEで受け取れます!